電機大手の業績について想う 〜 パナソニックとソニーの再生を心から願う 〜

2012年2月10日金曜日 | ラベル: |


素敵な京都の雪景色 その2です。
HP 「京都の四季」より  鳥居本 平野屋(鮎料理)















 2月4日の日本経済新聞に、「電機大手8社の2012年3月期連結決算は、パナソニックのほかシャープ、ソニー、NECが大幅な最終赤字となる。日立製作所、東芝、三菱電機の総合電機3社は減益ながら安定収益を確保し、くっきりと明暗が分かれる。これまでのリストラ効果や収益源絞り込みの成否が、稼ぐ力の差につながっている。」と報じられています。
 私は昭和35年(1960年)から数年間銀行の調査部門で電機業界を担当しましたので、それからずっと電機業界の動向をフォローして来た積りですが、電機大手8社の業績の明暗には思うことが多々あります。
 昭和35年ころの電機業界は発電機、変圧器などの電力設備を作る重電メーカーとテレビ、洗濯機、エアコンなどを作る家電メーカー、電話交換機、通信設備などを作る通信機メーカーなどに分かれていました。当時、重電に加え家電製品も手掛けていた日立製作所・東芝は総合電機メーカーとして,家電メーカーの松下電器産業(現パナソニック)・ソニー・シャープなどより業界では一段格上のメーカーだとされていました。また、日本電信電話公社(現NTT)の膨大な設備投資を受注する電電ファミリー企業の頂点に日本電気(NEC)が君臨していました。
 重厚長大の総合電機メーカーに比べ松下電器産業(現パナソニック)・ソニー・シャープなどの家電メーカーは、マーケット志向の経営で消費者の需要にマッチした製品を次々に量産・販売して急成長を遂げ世界のトップ企業になりました。
 下記は、2月4日の日本経済新聞の記事の表(一部付加)です。8社の明暗がはっきりしています。総合電機メーカーの健闘、家電メーカー・NECの転落です。
 あれから50年経った今,再び総合電機メーカーが格の違いを示したとも言えます。

                                            (単位 億円)

 
電機大手の連結業績
会社名
  期     間
売上高
最終損益
 



日立製作所※
2011 年4~ 12 月期実績
6兆 8376 (   1 )
852 (   ▲61 )
12 年3月期通期見通
9兆 5000 (   2 )
2,000 (   ▲16 )
三菱電機 ※
2011 年4~ 12 月期実績
2兆 5603 (  ▲2 )
820 (   ▲30 )
12 年3月期通期見通
3兆 6700 (   1 )
1,000 (   ▲20 )
東芝 ※
2011 年4~ 12 月期実績
4兆 3538 (  ▲7 )
120 (   ▲70 )
12 年3月期通期見通
6兆 2000 (  ▲3 )
650 (   ▲53 )
 
 



 
 
 
ソニー ※
2011 年4~ 12 月期実績
4兆 8927 ( ▲13 )
▲2,014 (連続赤字)
12 年3月期通期見通
6兆 4000 ( ▲11 )
▲2,200 (連続赤字)
シャープ
2011 年4~ 12 月期実績
1兆 9036 ( ▲18 )
▲2,135 (赤字転落)
12 年3月期通期見通
2兆 5500 ( ▲16 )
▲2,900 (赤字転落)
パナソニック
2011 年4~ 12 月期実績
5兆 9653 ( ▲10 )
▲3,338 (赤字転落)
12 年3月期通期見通
2兆 5500 ( ▲16 )
▲7,800(赤字転落)



富士通
2011 年4~ 12 月期実績
3兆 1720 (  ▲2 )
14 (   ▲96 )
12 年3月期通期見通
4兆 4900 (  ▲1 )
350 (   ▲36 )
NEC
2011 年4~ 12 月期実績
2兆 1122 (  ▲4 )
▲975 (連続赤字)
12 年3月期通期見通
3兆 1000 (  ▲0 )
▲1,000 (連続赤字)
 カッコ内は前年同期比増減率%、 ▲は減または赤字、 ※は米国会計基準

 日本経済新聞の記事によれば、
『日立は平成10年3月期からテレビなど不採算部門のリストラに取り組み、「得意のインフラ関連事業へとシフトしてきた」(中西宏明社長)ことが実を結び、前期比では16%減ながら、2000億円を稼ぎ出す見通し。東芝、三菱電機もインフラ事業などが伸び、家電部門の落ち込みを補う。この3社はリーマン・ショック直後の09年3月期に合計1兆円超の最終赤字となったが、今期は3650億円の黒字の見通し』
 『テレビ事業の不振が業績を直撃するパナソニック、シャープは今期の最終赤字が過去最大となる。ソニーは4期連続の赤字となる。3社は09年3月期にも合計6000億円強の最終赤字に陥ったが、今期の赤字は合計1兆2900億円にのぼり、リーマン・ショック後を上回る苦境だ。「リストラ不足」も否めず、収益回復に手間どるようだと、生き残りを賭けた合従連衡が現実味を帯びてくる。』
『富士通は国内シェア首位のIT(情報技術)サービスが安定し、黒字を確保する。』
と記述されています。

 前回2月1日のブログ「コダックの破綻に想う」でも書きましたが、「本業再強化の戦略」の中核事業(Core Business)の定義にある「企業の成長ミッション(持続的な売上、利益の創出)達成のために不可欠な、商品、スキル、顧客、チャネル、地理的要因の組み合わせについて、総合電機メーカーは富士フィルム同様に事業内容の変革を実行し、家電メーカーやNECはそれが成功しなかったのだと思います。
              *クリス・ズック、ジェームス・アレン著,須藤美和監訳 2002年日経BP社  P.26

 私が勤務していた銀行は松下電器産業(現パナソニック)のメインバンクでした。松下幸之助氏が銀行で行員に講話をされたこともあります。
 松下電器産業は消費者の好む製品を徹底した生産管理・品質管理のもとで生産・販売しました。昔は総合電機メーカーのテレビはある部分は過剰品質ではないかとも言われていました。また、ナショナル店会という、傘下電器店の組織化・育成を強力に推進し、松下電器産業の家電販売網の強さは圧倒的でした。しかし、これが後に家電量販店対策の際問題になりました。又、傘下に工場をもち、研究開発から生産販売、収支に至るまで一貫して担当する独立採算の事業体である、事業部制と言う他社に例の無い組織で企業内の活性化を図り、ユニークな発展を遂げましたが、単品商品の販売時代から、システムの販売の時代になるとこの体制にも問題が生じました。同社は再三の危機を経営改革により乗り切って来ました。しかしここに来てお家芸のテレビの採算が悪化し、家電分野内だけでの改革では行き詰まっているのかなと思います。今後どうなることか。シャープも同様だと思います。
 ソニーは、当初から世界トップレベルのブランドイメージを意識し、独創的な製品の開発で発展を遂げて来ました。私の若いころはトランジスターラジオ・トリニトロンテレビ、その後VTRのβ方式は一般向け商品分野では販売政策で負けましたが、β方式は今も放送用・業務用機材では圧倒的な製品声価を保っています。ウオークマンも画期的な新製品でした。今のソニーの有価証券報告書の「事業の概況」を読むと、昔日の面影は全くありません。
 私はソニーの元社長・会長の大賀典雄氏とオペラの団体東京二期会で監事をご一緒しました。大賀氏はカラヤンと親交があり、カラヤンが亡くなった日大賀氏はカラヤン宅を訪れていて、次期カラヤンの映像企画の打ち合わせの最中に体調が急変し、カラヤンの最後を看取られたそうです。(ブログ 浅間通信員 21年7月16日) 
 http://asamatsuushin.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-40d8.html
 
 大賀氏は東京芸術大学音楽学部声楽科卒業で、二期会の創設者の一人故中山悌一先生のお弟子です。現在のCDは、大賀氏がベートーベンの第九が録音出来る74分を録音容量にすればほとんどの音楽は録音出来るとフィリップスに提案して規格が決まったと言うことが大賀氏のお別れ会の年表に記載してありました。お別れ会に行って、大賀様のご逝去はソニーの輝かしい一つの時代の終わりを象徴する出来事だと思いました。(ブログ6月30日)

 ソニーの輝きは失われてしまいました。将来の方向も見えず、赤字を続けるソニーの現状は残念無念です。
 NECは脱電電後、色々事業の再展開を図りましたが、結局上手く行っていません。経営者の問題もあったと思います。
 私は、パナソニック・ソニーという我が国の二大家電メーカーが再生することを心から願っています。