ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑩ 第一章 7-2・7-3 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年3月1日金曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 長崎シリーズその4です。

○孔子廟
 

○グラバー園から長崎港を望む


○元船町 唐船   
グラバー園のそば、長崎伝統芸能館(重要無形民俗文化財「長崎くんち」の資料館)にて
 

○ターンブルの実行ー取締役会への説明
                ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか 
 
 7.役員レベルで検討すべきこと

 7-2.役員会はどこで確信を得られるか

 中小企業のリスクマネジメントと内部統制に関する確信の根拠となりうるものを次に示す。


●確信の根拠
  • リスクマネジメントプロセスの役員会での見直し
  • 業績およびリスク指標に関する月次報告
  • 取締役(Maanaging Director)の意見
  • 管理職による確認
  • 早期警告メカニズム
  • 独立的なモニタリング活動  
  • 財務諸表の監査
  • 特定の研究・リスク見直し
  • 主要従業員の意見と確認
  • 業務担当役員の意見
  • 財務担当役員の意見
これらの根拠の効果は、以下の要素によって変わる。
  • プロセスが実施されている範囲
  • 役員までの伝達速度
  • 残余リスクの管理能力
  • 主要事業目標に対する重点
  • リスクか確認のタイミング
 
 コストと利益を検討することは、〝独立したモニタリング活動〞をどこまで使うかを決めるにあたって、中小企業にとっては特に大切になるだろう。

 確信の根源は、ラインの管理職から得られるであろう。内部監査、健康および安全、そして環境の監視チームは〝独立したモニタリング活動〞になり、会社がこれらの機能を持っていれば、通常は客観的な保証と助言のためのよい形態である。また役員会は求められる根拠を得るのに、事業リスクの確認のための有効な技術(1月20日 ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑥ 第一章 5 ○Deloitee & Toucheによる事業リスク確認のための有効な技術に関する調査〈1999年〉参照)を使うこともできる。例えば、役員会はCSA(Control Self Assessment)を使ったワークショッや、体系化された面談、もしくは円卓会議などで従業員の意見を纏めることが出来よう。

 役員たちは、年に一度の評価を行うとき、最初に確認された重要リスク、すべての新しいリスク、統制が満足に機能しているかどうか、そして彼等が考慮している確信の根拠のしるしを記載したペーパーを作ることが有用であると知るであろう。

7―3. 役員会は報告をレビューするとき何を考える必要があるか

 ターンブルは、管理職から役員会に提出される報告は、それぞれの担当領域に関連して、それらのリスクを管理する統制システムに関するバランスの取れた評価を提供するものであると言っている。重要な統制の失敗や弱点を見つけたら、それらが会社にもたらした、あるいはもたらしたであろう影響と、それを正すための行動について、報告書の中で述べるべきである。検討すべき有効な問題は下記のようなものである。
  • 報告書が新しい重要リスクを示すものかどうか
  • 前に確認したリスクが今もあてはまるかどうか
  • 手順に修正が必要かどうか
  • システムの監視を追加する必要があるかどうか
  • リスクマネジメント方針書をアップデートする必要があるかどうか
  • 変化への対応の時間を早める必要があるかどうか
  • 会社全体の情報伝達経路が有効であるかどうか、また修正を加える必要があるかどうか

 
●評価の頻度
 役員が現在の統制の状況を常に知っておくことを確実にするため、役員への報告は定期的に行われることが望ましい。これは実際、事業におけるすべての重要事項に取り組みがなされていることを確実なものとするのに必要な、機械的な評価プロセスなのである。

 重要な統制の失敗や弱点が発生した場合、責任を持っている管理職は、この問題を議論する役員会、もしくは任命された委員会に呼ばれるべきである。

(所感) 
 前回に引続き、経営資源や人材の不足、またノウハウの不足から、リスクマネジメントや内部統制の実践に苦労されている中小企業に対し、自社のリスクマネジメント・内部統制が確実に行われているかを確認する要件と、モニタリング・評価について、極めて現実的な解説が書かれています。必すや参考になるものと確信されます。

 また書きますが、わが国の関係者は「Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing」や、「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)

http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf
などをもっと実務の参考にして、「中小企業なりのリスクマネジメント・内部統制」を行って、企業の価値を高めるべきだと痛感します。