7月17日(日)の日本経済新聞3面の左上の記事で、大林尚編集委員が冨田哲郎副社長のお話の内容に触れておられます。大林尚編集委員も7月6日のBBLセミナーに参加されて感じることがおありだったのだと思います。
日比谷公園の角、今新築中の飯野ビルの向かい、経済産業省別館のビルに中小企業庁があります。入口のチェックカウンターの前の書架に中小企業庁のパンフレットが並んでいます。そこに「中小企業向け支援策ガイドブック」が置いてあります。今回の東日本大震災に対する中小企業庁の対策の詳細が記載されていますから、霞が関界隈にお越しの折には是非お立ち寄り頂き、ガイドブックをお持ち帰りになることをお勧めします。
東日本大震災についての 中小企業庁の支援策は3月13日の「 2011 年東北地方太平洋沖地震等による災害の激甚災害の指定及び被災中小企業者対策について」で詳細に述べられています。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/2011/110313TohokuGekijinShitei.htm
特に注目すべきことは「措置の対象は 〈全国〉 」 と言う点です。従来は地域を限定するのが普通でした。今回こういう指定となったため、例えば船橋市の液状化による損害も措置の対象になるなど大きな効果を挙げています。
更に、5月2日「平成 23 年度第 1 次補正予算を踏まえた東日本大震災の被災中小企業者向け資金繰り支援策のご相談の開始について」にその後の追加の施策が述べられています。
http://www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/110502Eq-F-K.html
以下は「東日本大震災復興緊急保証」の概要です。
直接被害を受けた中小企業者に加えて、全国的な震災被害対策として、3階建ての信用保証枠が用意されています。
一般保証枠とは別枠で セーフティネット保証・災害関係保証とあわせて、無担1億6千万円、最大5億6千万円まで利用が可能です。
○東日本大震災復興緊急保証の概要 ①
項 目 | 内 容 | 限度額 | 最大限度額 |
東日本大震災復興緊急保証(法律により新設) | ① 対象 震災被害により経営に支障を来たしている次の中小企業者等 ア. 特定被災区域内 * で今般の地震・津波等により直接又は間接被害を受けた方。 イ. 原発事故に係る警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域内の方 ウ. 特定被災区域外で特定被災区域内の事業者との取引関係により被害を受けた方 ② 保証割合 融資額の 100 % | 無担保 8 千万円 最大 2 憶 8 千万円 (別 枠) | 東日本大震災復興緊急保証 セーフティネット保証・災害関係保証 とあわせて 無担保 1 億6千万円 最大 5億6千万円 |
災害関係保証 | ① 対象 ・今般の地震・津波等直接の被害を受けた中小企業者等 ・原発事故に係る警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域内の中小企業者等 ② 保証割合 融資額の 100 % | 無担保 8 千万円 最大 2 憶 8 千万円 (別 枠) | |
セーフティネット保証 | ① 対象 業況が悪化している中小企業者 ( 平成 23 年度上期は。原則全業種― 82 業種― ) ② 保証割合 融資額の 100 % | ||
一般 保証 | ① 対象 すべての中小企業者 ② 保証割合 融資額の 80 % | 無担保 8 千万円 最大 2 憶 8 千万円 |
* 特定被災区域:東日本財特法第2条第3項に規定する区域 ( 岩手県、宮城県、福島県の全域、青森県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県の一部の市町村 )
○東日本大震災復興緊急保証の概要 ②
区域 | 利用対象者 | 要 件 | 内 容 |
特定被災区域 *1 | ① 地震・津波等により直接被害を受けた中小企業者 ( 原発事故に係る警戒区域等内 *2 に事業所を有する中小企業者を含む) | 〈罹災証明書〉 (寫しも可) 警戒区域等の事業者は商業登記簿 / 納税証明書等 | 1. 【 対象資金 】 事業再建資金その他経営の安定に係る資金 2.保証限度額 ○普通2億円 ○無担保8千万円 最大2億8千万円 ○無担保無保証人 1千250万円 *災害関係保証、セーフティネット保証と合わせて 無担保で1億6千万円 最大5億6千万円 ( 一般保証と別枠 ) ア)保証割合 融資額の100% ィ)保険てん補率 90% 3.【保証料率】 0.8%以下 4.【保証人】 代表者保証のみ(第三者保証人については原則不要) |
② 震災の影響により業況が悪化している中小企業者 | 〈市区町村長の認定〉 震災後の3ヶ月 *3 の売上高等が前年同期比10%減 | ||
特定被災区域以外 | ③ 特定被災区域内の事業者との取引関係により 業況が悪化している中小企業者 | 〈市区町村長の認定〉 震災後の3ヶ月 *3 の売上高等が前年同期比10%減+理由書 | |
④ 震災災害により風評被害による契約の解除等の影響で急激に売上が減少している中小企業者 ( 主に宿泊業、旅行業を想定 ) | 〈市区町村長の認定〉 しない後の3ヶ月 *3 の売上高等が前年同期比10%減+理由書 |
*1特定被災区域:東日本財特法第2条第3項に規定する区域 ( 岩手県、宮城県、 福島県の全域、青森県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県の一部の市町村 )
*2警戒区域等: 警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域
*3 震災後の3ヶ月の売上高等は、3ヶ月の実績集計前の場合、1ヶ月(平成23年3月又は同年4月に限る)の実績+2ヶ月の見込み(実績値が集計されている月は実績値)を含む3ヶ月とする。
○被災した地域市町村長の認定の取得が困難な場合については、関係の地方自治体と協議中。
詳しくは各保証協会にご相談下さい。 中小企業庁のHPに融資実績が公表されています。下記のように、7月8日までの 中小企業への災害復旧貸付実績は , 政府系中小企業向け金融機関の貸付件数 79,732 件 金額 1 兆 4877 億円 , 保証協会の保証件数 148,432 件 金額 2 兆 7173 億円、 合計件数 234,338 件、金額 4 兆 3,597 億円 です。
6月20日に、 阪神淡路大震災における中小企業への災害復旧貸付実績は、 合計件数 82,704 件、金額 1 兆 1,807 億円 だったと書きました。今回政府の復旧対策は遅遅として進んでいませんが、その結果を大幅に増加した金融支援が支えているのだと思います。
○融資実績( 3 月 14 日 〜 7 月8日)
貸付合計 ( 公庫‣商中 *4 ) | 東日本大震災 復興特別貸付 (5 月 23 日 〜 ) | 災害復旧貸付 | セーフティネット貸付 | ||
累 計 | 件数 | 81,796 件 | 35,071 件 | 7,369 件 | 39,356 件 |
金額 | 1 兆 5,242億円 | 8,211 億円 | 884 億円 | 6,147 億円 |
○保証実績 ( 3 月 14 日 〜 7 月8日)
保証合計 ( 保証協会) | 東日本大震災 復興緊急保証 (5 月 23 日 〜 ) | 災害関係保証 | セーフティネット保証5号 | ||
累 計 | 件数 | 152,542 件 | 23,835 件 | 3,190 件 | 125,517 件 |
金額 | 2 兆 8,355億円 | 6,665 億円 | 474 億円 | 2 兆 1,216 億円 |
*4 日本政策金融公庫の災害復旧融資制度については「東日本大震災により被災された皆様への支援体制について」
http://www.jfc.go.jp/c_news/news_bn/news230318.html
商工中央金庫の災害復旧融資制度については 「 東日本大震災の影響を受けている中小企業等の皆さまへ ~ 東日本大震災復興特別貸付の概要 ~」
http://www.shokochukin.co.jp/chusyosien.pdf 参照。