日本銀行決済機構局 「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」について

2012年4月10日火曜日 | ラベル: |

昨年7月10日に「東日本大震災におけるJR東日本の対応」をご紹介致しました。
BCPが上手くいった事例ですが、わが国では上手く行ったことはあまり報道されません。
 日本銀行決済機構局の「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」もBCPが上手くいった事例のレポートですが、あまり世間では注目されていません。
昨年6月のレポートで少し古いのですが、是非皆様にも知って頂きたいと思いご紹介申し上げます。
 今回も先ずは、「京都の四季」の写真です。
    素敵な京都の櫻 その2です。


HP 「京都の四季」より  哲学の道
   60年前の1952年4月、大学に入学したころの哲学の道は鄙びた趣で春でも人通りが多くなく、思索をするには恰好の場所だと思いました。今は綺麗に整備され、毎日大変な賑わいのようです。
 哲学の道から少し上の、浄土宗法然院にある谷崎潤一郎夫妻のお墓の目印は、旧墓地の山沿いの小高いところにある枝垂れ桜です。京都の風物を愛した潤一郎氏が生前買い求めたもので、こよなく愛していた平安神宮の枝垂れ桜と同じ桜だそうです。「細雪」上巻・十九に平安神宮のお花見の記述があります。


法然院 谷崎潤一郎夫妻の墓  ブログ 京都検定を目指す京都案内(2011.4.13)より

「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」

 日本銀行決済機構局の平成23年6月24日のレポート、「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」の「1.はじめに」には下記のように書かれています。
「東日本大震災は、わが国決済システムや金融機関にも大きな直接的な被害と間接的な影響をもたらした。それにもかかわらず、日本銀行を含め、わが国決済システム、金融機関は、震災発生後も全体として安定的に業務を継続し、金融インフラとしての正常な機能を維持してきた。これには、とくに被災地に所在する金融機関が店舗の復旧と業務の再開に尽力し、預金者や企業のニーズに懸命に応えてきたことが大きい。また、わが国決済システムと金融機関が日頃から業務継続体制の整備に地道に取り組んできたことも寄与している。

 金融は、電力、水道、ガス、通信、鉄道、道路などと並ぶライフラインの一つであり、国民生活や経済活動を支える重要なインフラである。仮に決済システムや金融機関が十分な機能を提供できなくなるような場合には、預金の受払いや資金の決済に支障が生じ、国民の不安を増幅しかねない。決済システム、金融機関、あるいは金融・資本市場は、国民経済を支える金融インフラとして、緊急事態にあっても極力通常どおりの金融・決済機能が維持されるよう、日頃から業務継続体制の強化に尽力していくことが重要である。

本稿は、今回の震災において、日本銀行を含め、わが国決済システムや金融機関がどのような初期対応をとり、どのように金融・決済機能を維持したかを解説するものである。本稿は、主として決済にかかる金融機能維持の面に焦点を当て、決済システムや金融機関の対応を記録することに主眼を置く。あわせて、業務継続体制に関する今後の課題についても言及する。」
以下は、同レポートの抜粋です。

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1. 東日本大震災の発生 (略)

2.日本銀行の震災対応

(1) 災害対策本部の設置
 日本銀行は、3 月11 日(金)地震発生の約15 分後となる午後3 時、総裁を本部長とする災害対策本部を設置した。(後略)

(2) 金融機関に対する現金供給と損傷現金の引換え
① 金融機関に対する現金供給
 日本銀行は、取引先金融機関を通じて、わが国の国民生活と経済活動が必要とする現金(日本銀行券および貨幣)を供給している。大きな災害が生じると当座の生活資金の手当てや先行きに対する不安から、預金者による預金の引出しが増加する傾向がある。金融機関は、こうした預金引出しの動きに備えて日本銀行本支店から多めの現金を入手し、手許現金を確保することになる。
 今回の震災では、被災が広範かつ大規模であったため、日本銀行に対する金融機関からの現金手当ても多額にのぼった。日本銀行は、金融機関と連携しつつ、これに対応した。すなわち、被災直後の12 日(土)、13 日(日)には、青森、仙台、福島の各支店や盛岡事務所(盛岡市保管店)(注1)において、金融機関への現金供給を継続した。また、週明け14 日(月)以降も、被災地金融機関による現金手当ては増加を続けた。東北地方に所在する日本銀行支店・事務所での現金支払いは、被災後1 週間で累計約3,100 億円となり、前年同期の約3 倍の規模に達した。
(注1) 日本銀行は、近隣に日本銀行の本支店がない地域の利便を図るため、一部の金
融機関の店舗(保管店)に銀行券を寄託し受払いを行っている。この寄託銀行券
の受払いには、日本銀行本支店または国内事務所の職員が立ち会っている。
 また、東京に所在する日本銀行本店でも、12 日(土)には、臨時に窓口を開け、硬貨を中心に現金を金融機関に供給した。首都圏では、地震発生当日の11日(金)夜から12 日(土)朝にかけて、帰宅困難となった方々を中心に、コンビニエンスストアや商店で飲食物や日用品が大量に購入された結果、一部に硬貨の不足が懸念されたことに対応したものである。
② 損傷現金の引換え
 日本銀行は、国民が現金を便利に、かつ安心して利用できるよう、水に濡れて汚れたお札や火災で損傷した現金など(損傷現金)を、法令に定める基準に基づき新しい現金に引き換える業務を行っている。あわせて、後述の「金融上の特別措置」に基づき、金融機関に対し、預金者等からの汚れた紙幣の引換え要望に応じるよう要請している。
 今回の震災ではとくに津波の被害が大きかったため、水に浸かった現金の引換え依頼が目立っている。また、火災で損傷した現金の引換え依頼も生じている。こうした損傷現金の引換え依頼は、被災者が遠隔地に避難したこと等を背景に、東北地方だけでなく全国の日本銀行本支店で発生している。
 日本銀行は、こうした損傷現金の引換え依頼に全力で取り組んでいる。すなわち、本支店のみで行っている損傷現金の引換え事務を、支店のない岩手県においても実施できるよう、金融機関の協力を得て、盛岡市内に臨時引換え窓口を設置した。また、被災地に所在する支店の損傷現金引換え事務を円滑に進めるため、本支店から応援要員を派遣して引換え事務に当たっている。
 東北地方に所在する日本銀行支店および盛岡市内の臨時窓口での損傷現金引換え実績は、震災発生後6 月21 日(火)までの間に24.2 億円に達した。この金額は、阪神・淡路大震災後6 か月間における日本銀行神戸支店の引換え実績(約8 億円)をすでに大きく上回るものとなっている。

 (3) 日銀ネットの安定的な運行確保
日本銀行は、日本銀行券を発行するとともに、取引先金融機関に対して当座預金を通じた決済サービスを提供している。こうした当座預金を通じた決済サービスは、日本銀行が運営するコンピュータ・ネットワークシステム(日本銀行金融ネットワークシステム:日銀ネット)上で処理されている。具体的には日本銀行のシステムセンターと、利用先金融機関に設置する日銀ネット端末または金融機関のシステムセンターを通信回線で接続し、オンライン処理している。(中略) 日銀ネットでの1 営業日当たり当座預金決済額は約104 兆円、同国債振替決済・移転登録決済額は約76 兆円(2010 年中)に達している。
 日銀ネットは、わが国決済システムの大もとをなすものであり、万一その運行に支障が生じると、金融機関間の資金決済や国債決済の履行不能を通じて、国民生活と経済活動に多大な悪影響を及ぼすことになる。このため、日本銀行は、日銀ネットにかかる業務継続に関して万全の体制を構築すべく、これまで努力を重ねてきた。今回の地震では、システムセンター所在地でも震度5 弱を記録したが、日銀ネットの運行に支障はなく安定的な稼働が維持された
 (4) 「金融上の特別措置」の要請
 3 月11 日(金)、内閣府特命担当大臣(金融)と日本銀行総裁の連名で、「平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震にかかる災害に対する金融上の措置について」(金融上の特別措置)を発出した。
 同措置は、銀行、信用金庫等の金融機関や証券会社等に対し、被災者に対する便宜が図られるよう、金融上の措置を適切に講ずるよう要請するものである。
 具体的には、①預金証書、通帳を紛失した場合でも、預金者であることを確認して払戻しに応ずること、②届出の印鑑のない場合には拇印にて応ずること、③災害時における手形の不渡処分について配慮すること、④汚れた紙幣の引換えに応ずること、⑤有価証券喪失の場合の再発行手続きについての協力をすること、などを金融機関等に要請している(注2)。
 金融機関も、「金融上の特別措置」の要請を受け、後述のとおり、利用者の便宜が図られるよう、これまで様々な対応を講じてきている。
 (注2)3 月13 日(日)には、長野県北部地震の発生を受けて、関東財務局長野財務事務所長と日本銀行松本支店長が、同新潟財務事務所長と同新潟支店長が、それぞれ連名で「金融上の特別措置」を発出した。
(5) 国庫・国債代理店事務の円滑な遂行に向けた措置  (略)

(6) 正確かつ迅速な対外情報発信
 今回の震災では、わが国金融インフラの状況に関し、一時、様々な噂が一部に広がり、海外投資家などを動揺させかねない状況にあった。日本銀行の業務体制に関しても、「システムセンターを大阪に移した」とか、「本部機能の一部を大阪に移管する準備に入った」といった、全く根拠のない噂が一部に聞かれた。東京金融市場に関しても、「証券取引所が閉鎖される」といった、誤った噂が流れた。こうした事実に反する噂は、金融・資本市場を動揺させ、震災によって生じた市場の不安を増幅させかねない。それだけに、これを明確に否定するとともに、正確な情報を国内外に発信することがきわめて重要となった。
日本銀行は、震災発生直後から、金融庁とも連携するなどして、決済システム、金融機関の被災・対応状況に関する情報収集を進めるとともに、日本銀行の業務継続状況や、わが国決済システムや金融機関の対応状況につき、国内外に正確かつ迅速に発信することに努めた。(中略)
 今回の経験では、金融インフラの正常な稼働の可否が、内外の金融市場にとっていかに大きな関心事であるかが改めて浮き彫りとなった。金融インフラの安定的な稼働の継続は国民生活や経済活動を支える前提条件であり、その強化に努めるとともに、正確な情報の対外発信に配慮していくことがきわめて重要である。
3.民間決済システム・金融機関の震災対応

(1) 被災地金融機関・決済システムの対応
① 預金者への対応
 地震と津波の発生によって、東北から関東の太平洋沿岸にある金融機関を中心に、多くの店舗が損壊した。ATM も多数が稼働停止となった。福島第一原子力発電所の事故にかかる避難指示を受けて、閉鎖した店舗もあった。これらの結果、東北6 県および茨城県に本店のある72 金融機関全営業店約2,700 のうち、3 月16 日(水)時点で、11%に相当する約310 ケ店が閉鎖となった
 被災地の金融機関は、みずからも被災者であるという極めて困難な状況にありながらも、震災直後から被災店舗の復旧と業務の再開に懸命に取り組んできた。この結果、上記閉鎖店舗数は、6 月21 日(火)時点で72 か店(全営業店の約3%に相当)まで減少している
 金融機関は、この間も、復旧困難な店舗について近隣に臨時窓口や仮設店舗を設ける、あるいは近隣店舗で業務を代替するなどの措置を講じながら、預金者への対応や融資先からの相談に全力を挙げてきた。たとえば、震災直後の3月12 日(土)、13 日(日)は、休日にもかかわらず、多くの金融機関が営業可能な店舗の窓口を開け、預金者からの相談や預金払戻しに応じた。その後も被災地の金融機関では、預金証書やATM カードの再発行、融資や相続に関する相談など、被災に伴う事務の処理が続いている。
 また、各金融機関では、前述の「金融上の特別措置」の要請も踏まえ、被災した預金者に柔軟な対応を図っている。すなわち、預金証書、通帳を紛失した場合でも預金者であることを確認のうえ払戻しに応じている。また、届出の印鑑がない場合にも、本人を確認のうえ、拇印での払戻しに応じている。さらに、水に浸かったり、火事の被害を受けて損傷した現金が店舗に持ち込まれた場合には、みずから鑑定し引換えを行う、あるいは日本銀行本支店に取り次ぐといった対応を講じている
 被災地における金融・決済機能は、震災の発生にもかかわらず、こうした金融機関の懸命な努力によって維持されてきた。日本銀行も、前述のとおり、金融機関との緊密な連携のもと、金融機関の業務が円滑に行われるよう支援に全力を挙げている。
② 金融機関間の連携・協力
 今回の震災対応にあっては、各地の金融機関が連携・協力して被災者への対応強化を図る動きが目立った。被災地金融機関の一部では、預金の引出し増加に対応するため、手許現金を追加的に手当てする必要が生じた。この場合、金融機関自身が大きな被害を受けていたため、近隣の金融機関が協力して現金を現地金融機関に配送する例がみられた。このほか、緊急時対応として、金融機関が共同して現金輸送車を運行し、現金の配送を行う例もみられた。近隣の金融機関が協力して、被災地金融機関の業務継続に必要な帳票等をリレー搬送する例もあった。
 また、今回、多くの被災者が、地元を離れ遠隔地に避難した。この場合、避難地域に被災者の取引金融機関が存在しないケースも少なくない。こうしたケースに対し、各地の金融機関は協力して「取引金融機関以外での預金の払戻し」の取扱いを行い、被災者の便宜を図った。具体的には、被災者が避難先の金融機関を訪れる場合、①当該金融機関の窓口で預金者本人の確認を行い、②預金口座のある被災地域金融機関と連絡をとったうえで、③一定限度まで当該金融機関が預金者に代理払いを行う仕組みである。
こうした金融機関間の連携・協力は、震災という緊急事態のもとで、わが国全体としての金融・決済機能維持に大きく貢献したものと評価される。
③ 手形交換所の動向 (略)
(2) 被災地を含む全国的な決済システム・金融機関の対応
① 決済システムの動向 (略)
② 一部行のシステム障害発生と全銀システムの決済時間延長
 上記のように、わが国決済システムは、震災の発生にもかかわらず、正常な稼働を続け、安定的に金融・決済機能を発揮し続けた。
 こうしたなかにあって、14 日(月)夜、一部大手行でシステム障害が発生し、その後、日をおって決済不能件数・金額が拡大した。(中略)
 全銀システムと日銀ネットの決済時間延長の措置は、国民生活や経済活動に不可欠な取引の決済を、できる限り多く予定日当日中に完了させることで、通常どおりの金融・決済機能を維持しようとしたものである。
③ 市場レベルBCPの対応 (略)
④ 金融市場取引の急増への対処 (略)
⑤ 被災地における停電、東京電力管下における計画停電等への対応
 東北地方では、震災直後ほぼ全域にわたって停電が発生した。日本銀行の4支店を含め、東北地方に所在する金融機関は自家発電機の稼働により、震災当日11 日(金)の業務を継続した。また、多くの金融機関が、預金者の便宜を図るため、12 日(土)、13 日(日)も自家発電機の稼働により一部の店舗を開き、預金者に対応した。その後13 日(日)夜にかけて、県庁所在地など中核都市の停電は解消に向かい、14 日(月)以降は多くの先が商用電力のもとで業務を行った。
 なお、震災直後は、燃料の供給・流通機能が一時的に低下したため、自家発電機用の燃料の機動的な補充に懸念が生じた金融機関もみられた。そうした金融機関にあっても、近隣所在の金融機関の支援などにより最終的に燃料を確保し、業務の遂行に支障は生じなかった。
 一方、東京電力管下にあっては、3 月14 日(月)から、管内を5 つのエリア に分けて輪番で電力供給を停止する仕組み(計画停電)が実施された。金融機関は、計画停電の対象となった地域に所在するものと、東京23 区内など対象外となるものに分かれた。計画停電の対象となった金融機関の本部やシステムセンター、主要支店等では、停電時間帯に自家発電機を稼働させ、業務を通常どおりに継続した。一方、自家発電機を備えていない支店やATM は、計画停電時間中に営業を停止する先がみられた。また、節電に協力するため、店舗外ATM の休止や稼働時間短縮などを行う動きがみられた。(中略)この結果、金融機関、決済システム全体として、安定的に金融・決済機能を維持した。(後略)
4.まとめ

 (1) 全体評価
 金融は、電力、水道、ガス、通信、鉄道、道路などと並ぶライフラインの一つであり、国民生活や経済活動を支える重要なインフラである。仮に決済システム、金融機関が機能不全に陥り、十分な機能を提供できなくなるような場合には、預金の受払いや資金の決済に支障が生じ、国民の不安を増幅しかねない。決済システム、金融機関、あるいは金融・資本市場は、国民経済を支える金融インフラとして、緊急事態にあっても極力通常どおりの金融・決済機能が維持されるよう、日頃から業務継続体制の強化に尽力していくことが重要である。
 わが国決済システム、金融機関は、これまで述べてきたように、東日本大震災にあっても安定的な稼働を続け、円滑な金融サービスの提供継続を実現してきた。(後略)

(2) 今後の課題
(前略)
 第1 に、業務継続体制構築の前提となるストレスシナリオが、今回の震災の経験を踏まえたうえで、潜在的なストレス事象に見合う十分なシナリオとなっているかを改めて点検する必要がある。(後略)
 第2 に、そのうえで、ストレスシナリオに見合った体制の強化を図っていくことが重要である。(後略)
 第3 に、金融機関全体に加えて、将来的には社会インフラ等を担う企業の協力も得ながら、ストリートワイド訓練等を実施・充実させていくことが有効と考えられる。(後略)
 以上のように、わが国決済システム、金融機関は、今回の震災にあっても安定的に金融・決済機能を発揮し続け、国民生活や経済活動を下支えする役割をしっかりと果たしてきた。そのうえで、業務継続体制に関しては、――新しい事象を踏まえた不断の点検・見直しが求められるという事柄の性格もあり、――上述のとおり課題は少なくない。
 日本銀行も、日本銀行券の発行主体であるとともに、日銀ネットを運営する主体として、みずからの業務継続体制の一層の整備に注力していく考えである。
 また、今後とも、日常のモニタリングやオーバーサイト、考査などの場を通じて、民間決済システムや金融機関に対し業務継続体制の整備を促すとともに、その主体的な取組みを積極的に支援していく方針である。
以  上
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【 所 感 】
 今般の東日本大震災に対する政府の対応については多くの問題点が指摘されています。然し、7月10日の記事・JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)の対応、7月20日の記事・東日本大震災に対する中小企業庁の支援策など、有効な対応が行われている部分もありますが、こう言った部分は殆ど報導されません。
 わが国の決済システム、金融機関が、今回の大震災にあたり安定的に金融・決済機能を発揮し続け、国民生活や経済活動を下支えする役割をしっかりと果たしたことは高く評価されるべきことだと思います。日本銀行は平時から金融機関のBCP(事業継続計画)の重要性を強調し、色々なレポートも作り、各金融機関を指導していました。その努力は無駄ではなかった訳です。ただその最中、東日本大震災直後の3月14日(月)夜から発生したみずほ銀行の大規模なシステム障害は誠に遺憾な出来事であったと痛感します。
こうしたわが国金融機関のBCPに対する取り組みのノウハウが、金融機関の取引先企業にもしっかりと伝わることを心から希望します。

○「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2011/data/ron110624a.pdf