ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑪  8 情報開示 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年3月11日月曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 早春の一日、列車で京都から亀岡を通りました。
○北野天満宮
 

○雪の保津峡
 

○亀岡は一面の雪でした。
 

○ターンブルの実行ー取締役会への説明
             ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

8.情報開示
 1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間についての、グループとしての情報開示の例を示す。これが標準の文言であると言う訳ででは無く、会社の状況に応じて作成することが望ましい。

中小企業のための内部統制報告書(ステートメント)の見本
 (1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間について)

内部監査
 当グループは,1999年9月末にロンドン証券取引所から上場企業に対して出された通達
 のコンバインド・コードに対する暫定的なアプローチを採用し、次の通り報告する。

内部監査のより広汎な観点
 当役員会は『経営監査 - コンバインド・コードに関する役員会のためのガイダンス』*1の実行に必要な手続を確立した。
 もしくは、
 当役員会は200年5月に『内部統制 - コンバインド・コードに関する役員会のためのガイダンス』*1の実行に必要な手続きを整備する予定である。
これは、役員会が合意した手続きが実行されるのに必要な時間を考慮に入れている。
 これには、変更の問題やグループの目標およびリスクの優先順位付け、ならびに主要なリスクそれぞれに対する統制戦略の決定とともに、全ての役員が出席するリスクマネジメントに関するワークショップの開催も含まれる。リスクマネジメント方針書も、事業リスクに関わるリスクへの役員会の姿勢を示し、全ての従業員に回付する。月次経営情報も、いくつかの主要リスク指標とともに改善する。*2
 当役員会は内部監査の必要性について検討したが、グループの規模から見て、現時点では必要であると判断出来ない。この決定については、来年、再検討する予定である。*3当役員会はリスクマネジメントおよび内部統制について一年を通して定期的に検討出来るように会議日程および議題を変更した。そして2000年12月31日締めの年度末報告の前にリスク及び統制に関する完全な評価を行うこととした。*4


*1:本段落では、このグループが1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間において、翌会計期間なためのガイダンスを完全に遵守するのに必要な手続きの準備を整えることによって、証券取引所の実行計画を満たしたと仮定している。
*2:あるいは本段落では、このグループが証券取引所の実行計画のもとで手続を準備中である仮定している。会社がガイダンスを実行するのに必要な手続きを準備できていない時は、それをいつまでに行うかと言う期日を示さなければならない。何を行おうとするかについての議論は、付加的で自発的な情報開示である。ここでの説明は、誤解の恐れのある印象を与えることのない、意味のある、高度な情報を提供しようとするものである。(*1と*2は二者択一)
*3:この開示は義務付けられていないが、目下のところ内部監査が無いことを示すのに役立つであろう。しかし、もし内部監査機能を持っておらず、その必要性について見直したことが無い場合は、それを開示することが求められる。
*4:この開示は義務付けられていないが、役員会は翌年報告プロセスの見直しについて言及することが有効だと考えるかもしれない。


○内部財務監査
 当役員会は、内部監査のグループ全体のシステム及びその効果のレビューについて、責任を負う。このようなシステムは重大な虚偽表示(material misstatement)及び損失に対して合理的な(reasonable)保証を与えるものであり、絶対的な保証を与えるものでは無い。
 主要な手順は次の通りである。
 当役員会は、毎月財務成績の見込みと実際の比較を行う。○○ポンドを超える支出の申請の全てについて見直し、財務担当役員(financial director)は費用抑制の理由で外部委託された給与について見直す。役員は皆、それぞれの担当事業の財務成績について、役員会に対し責任を負う。この1年、外部監査人が調達システムについて特別な見直しを行ったので、この部分のコントロールは強化されている。
 役員会は1999年12月31日に終了する年度の財務に係る内部統制システムの有効性についてレビューを行い、年度末以降に実現した重要な進展を考慮に入れた。このレビューは1994年12月に発行された、役員のためのガイダンス『内部統制と財務報告』に示されている基準に基づいて行われた。*5

*5:内部統制に関する報告書は外部監査人によるレビューを受けることが条件であり、ターンブルはこの報告書のために役員会が健全、且つ適切に文書化されたサポートを期待している、ということに留意すべきである。
このグループがターンブル・ガイダンスをまだ完全に遵守していないことを踏まえ
て、ルッテマン・ガイダンスに基づく財務に係る内部統制の開示が求められる。
http://www.icaew.com/en/library/subject-gateways/corporate-governance/codes-and-reports/rutteman-report

(所感)
 我が国の企業では、情報の開示は必ずしも積極的にはなされません。情報の機微性を重視するあまり、記録を出来るだけ簡略化する傾向さえあると思われます。
 特にリスクマネジメントに関してはこの点を再考すべきだと痛感します。今回の記述もそう言った部分に関して参考になります。
 また、常に財務に関しても言及されています。経済産業省の「リスクファイナンス研究会報告書」で言っている「全社的な財務戦略の中で自社のリスクファイナンスの最適化を検討するためには、こうした(リスク管理)部門の知見と企業財務の観点を融合させることが重要である。」 にも相通ずるところがあり、我が意を得たりの思いがします。 
 
 下記のように、11月20日から4ヶ月に亙り「ターンブルの実行 取締役会への説明」についてご紹介して来ましたが、次回で終る予定です。その後は「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)をご紹介致したいと思っています。
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf

○ターンブルの実行 取締役会への説明 

 1. 何故ターンブルか        (11.20)
 2. 付加価値の付け方       (12.1 )
 3. いますぐにやること       (12.20)
 4. リスク               (1.1)(1.10)
 5. プロセスの定着         (1.20)(2.1)
 6. モニタリングと内部監査    (2.10) 
 7. 役員レベルで検討すべきこと (2.20)(3.1.)
 8. 情報開示             (3.10)
 9. その他の検討事項       (3.20予定)
 10. 結び  ターンブルはあなたの会社にどんな効果をもたらすか(3.20予定)