「私はご縁があってオペラの団体〈東京二期会〉の監事を致しておりますが、戦争の悲惨さ・無念さは、絵の世界でも音楽の世界でも同じだと思っておりました。私は九州の佐賀で育ちましたので、お話に出ました佐賀県鳥栖の小学校で上野音楽学校卒の方が、特攻出撃の前にベートーベンの「月光」を弾いたという話は良く存じておりました。窪島様がご講演でこのことに触れられたことに感慨一入でございます。なお、仰っていました、音楽関係の学生さんのご本、インターネットで検索出来ませんでしたので改めてお教え頂けたら幸甚でございます。」と書きました
窪島誠一郎様からのご返事で、「〈戦争〉についての思いは小生も同感です。」と仰って頂いた上、ご著書「夜の歌」を頂戴しました。
○「夜の歌」の表紙です。 2013年1月・白水社。
この本は、浜松の老舗旅館(今は無いそうです)「松月」の末っ子として生まれ、東洋音楽学校へ進学し、昭和20年5月15日中国で30歳で戦病死した作曲家尾崎宗吉氏の物語です。
「あの戦争下、美術と音楽、それぞれ異なる〈自己表現〉に打ち込んだ若者たちだけが共有した〈哀しみ〉〈歓び〉を確かめてみたい。その短い生の輝きのありかたをつきとめてみたい。」
「あの大戦は万余の命を奪っただけでなく、その命が生み出すであろう数知れぬ「創造」の命を奪った。この世に生み出されたであろう数々の名作の、名画の、名曲の命を╍╍╍╍╍。」と窪島誠一郎氏は書いておられます。
2011年11月12日夜、無言館で尾崎幸吉氏の遺曲「夜の歌」他のコンサートが開かれました。「その夜〈無言館〉に尾崎宗吉の音楽がバトンタッチされた記念すべき演奏会だったといえるだろう。」と記述されています。
CD「夜の歌」を注文することにしました。
「リスクとキャッシュフロー」に戻ります。
6.キャッシュフロー検討の基礎
(4)キャッシュフロー計算書
国際会計基準の一元化の流れの1つとして「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の導入に伴い、上場企業では2000年3月期からキャッシュフロー計算書の作成が義務づけられました。
下記は「キャッシュフロー計算書」の一例です。
資本の増加額+減価償却費+流動資産・負債の増減額を考慮した結果が、「営業活動によるキャッシュフロー」になります。表の中程に表示されています。これは「フリー・キャッシュフロー」とも言われます。
「フリー・キャッシュフロー」が企業価値を決するとされています。企業活動の結果、手元にいくらキャッシュが残るかが企業の価値だというわけです。「フリー・キャッシュフロー」を原資として、株主への配当や、将来の発展のための投資が行われます。
これは、一面の真理であり、正しい考えだとは思います。然し、上場していない中小企業の場合は、こうした「キャッシュフロー計算書」を作成するのは困難です。また、上場企業の場合とは異なった考えを取っても良いのではないかと私は考えます。
伝統的な旧住友銀行の考え、「固定資産を流動負債で賄っている場合(金融基調 マイナス)の場合は、短期資金繰りは不安定だと判断すうrす。」という思想は「キャッシュフロー計算書」には入っていません。
私は、資金運用表を縦に並べ替えて、簡易な「キャッシュフロー計算書」を作成すれば中小企業のキャッシュフローの検討には十分役立つと考えます。私はこれを「キャッシュフロー検討表」と称しています。次項でご説明致します。
〇キャッシュフロー計算書の例 (単位 百万円)
区 分
|
金 額
|
Ⅰ営業活動によるキャッシュフロー 資本の増加額 減価償却費 売上債権の増減額 (増加△) 棚卸資産の増減額 (増加△) 前鍍金の増減額 (増加△) 前鍍費用の増減額 (増加△) 未収入金の増減額 (増加△) その他流資の増減額 (増加△) 仕入債務の増減額 (減少△) 固定資産購入支払手形の増減額 (減少△) 未払金の増減 (減少△) 未払費用の増減額 (増加△) 預り金の増減額 (増加△) 貸倒引当金の増減額 (減少△) 賞与引当金の増減額 (減少△) 返品調整引当金の増減額 (減少△) 売上値引引当金の増減額 (減少△) 売上割戻引当金の増減額 (減少△) 役員退職引当金の増減額 (減少△) 従業員退職引当金の増減額 (減少△) 年金費用引当金の増減額 (減少△) 未払法人税の増減額 (減少△) 未払事業税の増減額 (減少△) 未払消費税の増減額 (減少△) |
56096 13258 △ 516 △6986 △39 55 2151 1080 △4552 △2884 516 979 637 △225 △563 10 5 123 △2 6175 90 1831 △9893 △1091 |
営業活動によるキャッシュフロー | 56297 |
有形固定資産の取得による支出 無形固定資産の取得による支出 投資の増加による支出 自己株式取得による支出 |
△29295※ 1898 △6246 △21 |
投資活動によるキャッシュフロー | △33664 |
短期借入金の純増減額 (減少△) 転換社債の純増減額 (減少△) |
△300 △2 |
財務活動によるキャッシュフロー | △302 |
現・預金の期首残高 ⓐ | 139685 |
市場性のある一時所有価証券の期首残高 ⓑ | 117277 |
ⓐ + ⓑ
|
256962 |
手元資金の増減額 (減少△) | 22331 |
現・預金の期末残高 ⓒ | 116184 |
市場性のある一時所有価証券の期末残高 ⓓ末 | 163103 |
ⓒ + ⓓ
|
279293 |
※ (有形固定資産増加額 16、037)
+(当期減価償却額 13、258) =29、295
2013年9月20日(金)のブログ、6.キャッシュフロー検討の基礎・(3)資金運用表で例示した、私が銀行員の現役時代に担当した、ある衣料品販売会社の資金運用表を縦に並べ替えたいと思います。
〇資金運用表の実例
〇資金運用表 (○○ /○ -○○ /○) (単位百万円)
資 金 需 要 | 資 金 調 達 | |||
項 目 | 金 額 | 項 目 | 金 額 | |
短 期 資 金 |
現預金 増 受取債権増 (受取手形増 (売掛金増 棚卸資産増 ) 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 |
192 343 122) 221) 226 125 77 2 |
支払債務増 (支払手形増) (買掛金増) 短期借入金増 ( 長期から流用 ) |
323 ( 115) ( 208) 431 ( 211 ) |
計 | 965 | 計 | 754 | |
長期 資金 |
固定資産増 ( 短期へ流用 ) |
206 ( 211) |
投 融資減 長期借入金増 資本 増 |
54 285 78 |
計 | 206 | 計 | 417 | |
合 計 | 1,171 | 合 計 | 1,171 |
(5)3種類のキャッシュフロー計算書
下記は、前記の資金運用表の数字を縦に並べ変えた、3種類のキャッシュフロー計算書です。
一般の「キャッシュフロー計算書」と区別するため、それと異なった並べ方をした「キャッシュフロー計算書を仮に「キャッシュフロー検討表 Ⅰ・Ⅱ」と表示致しました。
今回は長くなりましたので、「3種類のキャッシュフロー計算書」の解説は次回に致します。
〇キャッシュフロー計算書 (単位 百万円)
項 目 | 金 額 |
期初現・預金 | 200 |
自己資本の増加額 受取債権増 棚卸資産増 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 支払債務増 |
78 343 226 △ 125 △ 77 △ 2 323 |
営業活動によるキャッシュフロー | 372 |
固定資産増 投融資減 |
△ 206 54 |
投資活動によるキャッシュフロー | △ 152 |
短期借入金増 長期借入金増 社 債 |
431 285 0 |
財務活動によるキャッシュフロー | 716 |
総合資金 収支 | 192 |
現・預金 増 |
192
|
期末 現預金 |
392
|
〇キャッシュフロー検討表 (Ⅰ) (単位 百万円)
項 目 | 金 額 |
期初現・預金 | 200 |
自己資本の増加額 | 78 |
受取債権増 棚卸資産増 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 支払債務増 |
343 226 △ 125 △ 77 △ 2 323 |
営業活動によるキャッシュフロー | 450 |
固定資産増 投融資減 |
△ 206 54 |
投資活動によるキャッシュフロー | △ 152 |
短期借入金増 長期借入金増 社 債 |
431 285 0 |
財務活動によるキャッシュフロー | 716 |
総合資金 収支 | 192 |
現・預金 増 |
192
|
期末 現預金 |
392
|
〇キャッシュフロー検討表(Ⅱ) (単位 百万円)
項 目 | 金 額 |
期初 現預金 残高 | 200 |
受取債権増 棚卸資産増 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 支払債務増 |
343 226 △ 125 △ 77 △ 2 323 |
営業活動によるキャッシュフロー | 450 |
短期借入金増 | 431 |
短期資金収支 | 19 |
資本 増 固定資産増 投融資減 |
78 206 54 |
投資活動によるキャッシュフロー | △ 74 |
長期借入金増 | 285 |
長期資金収支 | 211 |
総合資金収支 | 192 |
現・預金の増減額 | 192 |
期末現預金 残高 | 392 |