〇指揮者ウラディミール・ミーニンです。(プログラムの写真より)
〇国立モスクワ合唱団です。(プログラムの写真より)
プログラムには「ミーニンは輝かしい個性を持つソリストたちによる優秀なアンサンブルとしての合唱を具象化した。」と書いてあります。東京二期会の合唱団でもそう思いますが、「ソリストとしても十分通用する人たちのアンサンブル」の合唱だからこそ人々の心を打つのだと痛感しました。その上に優れた指揮者の存在です。
私の旧制中学生時代の1940年代後半、兄が通学していた旧制高校の音楽会では「ステンカ・ラージン」や「ヴォルガの舟曵き歌」などが歌われていました。
1950年代に「うたごえ運動」や「歌声喫茶」で歌われていた懐かしいロシア民謡の数々「カチューシャ」「ともしび」「トロイカ」等が私の青春時代を思い出させてくれました。聴衆には白髪の方が多く、きっと同じ思いの方々だろうと感じました。そのことを抜きにしても、素晴らしい合唱で万雷の拍手でした。
6月10日のブログ、「アンネ=ゾフィー・ムターさんのサイン」でも書きましたが、この歳になっても美しい音楽に感動出来るのは、誠に幸せなことだと思います。
「リスクとキャッシュフロー」に戻ります。
6.キャッシュフロー検討の基礎
(5)3種類のキャッシュフロー計算書 ②
①有価証券報告書のルールに準じたキャッシュフロー計算書
(単位 百万円)
項 目 |
金 額
|
期初現・預金 | 200 |
自己資本の増加額 受取債権増 棚卸資産増 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 支払債務増 |
78 △ 343 △ 226 △ 125 △ 77 △ 2 323 |
営業活動によるキャッシュフロー | △ 372 |
固定資産増 投融資減 |
△ 206 54 |
投資活動によるキャッシュフロー | △ 152 |
短期借入金増 長期借入金増 |
431 285 |
財務活動によるキャッシュフロー | 716 |
総合資金収支 | 192 |
「営業活動によるキャッシュフローの不足は372百万円、投資活動によるキャッシュフローの不足は152万円、合計524百万円のキャッシュフローのキャッシュフローの不足を長短借入金716百万円で補い、結局総合資金収支は192百万円のプラスになった。」という説明でこの企業のキャッシュフローの問題点が鮮明に浮かび上がるでしょうか。この表では、どこに問題があるのかが分かりにくいと思います。
繰り返しになって恐縮ですが、9月20日のブログの記述を再度引用致します。
○資金運用表 (○○ /○ -○○ /○) (単位百万円)
資 金 需 要 | 資 金 調 達 | |||
項 目 | 金 額 | 項 目 | 金 額 | |
短 期 資 金 |
現預金 増 受取債権増 (受取手形増 (売掛金増 棚卸資産増 ) 短期貸付金増 雑流動資産増 雑流動負債減 |
192 343 122) 221) 226 125 77 2 |
支払債務増 (支払手形増) (買掛金増) 短期借入金増 ( 長期から流用 ) |
323 ( 115) ( 208) 431 (211 ) |
計 | 965 | 計 | 754 | |
長期 資金 |
固定資産増 ( 短期へ流用 ) |
206 ( 211) |
投 融資減 長期借入金増 資本 増 |
54 285 78 |
計 | 206 | 計 | 417 | |
合 計 | 1,171 | 合 計 | 1,171 |
資金運用状況の説明は下記のようになります。
1) 金融基調の動向
先ず最初に、長期資金から短期資金にお金が流れているか、短期資金から長期資金にお金が流れているかをみると、長期資金から短期資金に211百万円流用された形になっています。従って、この期間は、長期資金についてのキャッシュフローの不安定要因は生じていないと判断出来ます。
2)短期資金について
現・預金の増減は資金運用の結果なので除外して検討を行います。現・預金の増加192百万円を除くと、短期資金需要は773百万円になります。即ち、受取債権の増加343百万円(内訳・受取手形増122百万円・売掛金増221百万円)、棚卸資産の増加226百万円、短期貸付金の増加125百万円、雑流動負債の増加77百万円、雑流動負債の減少2百万円で合計773百万円の資金需要があった訳です。
これに対して、支払債務増323百万円(内訳支払手形増115百万円・買掛金増208百万円)の資金調達が出来たものの、なお短期資金は450百万円不足し、短期借入金を431百万円増やし、その上長期資金から流れて来た資金211百万円のうちの19百万を不足分に充当しています。残額の192百万円は手元現・預金の増加になりました。
3)長期資金について
固定資産増206百万円の資金需要に対し、投融資減54百万円、資本増78百万円計132百万円の資金調達では74百万円不足し、長期借入金285百万円を借りています。
長期資金調達の余りは短期資金に流れ、大半は現預金の増加になりました。
上記の結果下記のことが浮かび上がって来ます。
1)この期間は、長期資金についてのキャッシュフローの不安定要因は生じていない。
2)別途損益計算書を見ると、売上高が前期比244百万円増加している。この場合、受取債権増343百万円、棚卸資産増226百万円計567百万円の資金需要は過大ではないか。短期貸付金125百万円の増加の内容の検討も必要。
3)長期資金の不足74百万円に対し、何故285万円もの長期資金を借り入れたのか。
最も重要な問題点は、短期資金で、「売上を増加させるのに無理をしているのではないか、従来の売上回収条件・仕入条件との対比などが必要」、また「244百万円の売上増に対し棚卸資産が226百万円増加しているのは過大な在庫の増加ではないか。デッドストックは生じていないか。」などの検討を要します。
ここで、再度前掲の ①有価証券報告書のルールに準じたキャッシュフロー計算書と、その説明を読んで頂きたいと思います。
私は有価証券報告書のキャッシュフロー計算書の考え方が間違っていると思っている訳ではありません。ただ中小企業などのキャッシュフローの検討には、旧住友銀行の考え方も役に立つのではないかということを主張したいと思うだけです。
下記のキャッシュフロー検討表(Ⅰ) は自己資本の増加額を外に出したものです。その結果営業活動によるキャッシュフローの不足金額が強調されていますが、まだ問題点を明確に認識出来る形にはなっていません。
○キャッシュフロー検討表 (Ⅰ) (単位 百万円)
項 目
|
金 額
|
期初現・預金
|
200
|
自己資本の増加額
|
78
|
受取債権増
棚卸資産増
短期貸付金増
雑流動資産増
雑流動負債減
支払債務増
|
△ 343
△ 226
△ 125
△ 77
△ 2
323
|
営業活動によるキャッシュフロー
|
△ 450
|
固定資産増
投融資減
|
△ 206
54
|
投資活動によるキャッシュフロー
|
△ 152
|
短期借入金増
長期借入金増
|
431
285
|
財務活動によるキャッシュフロー
|
716
|
総合資金 収支
|
192
|
現・預金 増
|
192
|
期末 現預金
|
392
|
キャッシュフロー検討表(Ⅱ)は旧住友銀行の考え方に基づいて、資金運用表を縦に並べ変えたものです。
9月20日のブログに書きましたが「現・預金の増減は資金運用表の理論上は資産の増加であり資金需要ですが、キャッシュフローの実際ではその期間の資金運用の結果です。最終的に長期・短期資金の資金調達・資金需要の過不足の結果で現・預金が増減します。」と言うことで、現・預金残高の増減は資金需要・調達から外し、最初と最後に預金残高を表示しています。
この表の検討・説明は次回に致します。
○キャッシュフロー検討表 (Ⅱ) (単位 百万円)
項 目
|
金 額
|
期初現・預金残高
|
200
|
受取債権増
棚卸資産増
短期貸付金増
雑流動資産増
雑流動負債減
支払債務増
|
△ 343
△ 226
△ 125
△ 77
△ 2
323
|
営業活動によるキャッシュフロー
|
△ 450
|
短期借入金増
|
431
|
短期資金収支
|
△ 19
|
資本増
固定資産増
投融資減
|
78
△ 206
54
|
投資活動によるキャッシュフロー
|
△ 74
|
長期借入金増
|
285
|
長期資金収支
|
211
|
総合資金 収支
|
192
|
現・預金の増減額
|
192
|
期末現預金 残高
|
392
|