「A Risk  Management  Standard」について ⑨ 8.リスクマネジメントの制度及びその運営 (2)9. リスクマネジメント・プロセスの監視及び見直し 10.参考資料

2013年7月10日水曜日 | ラベル: |

今回で寫真は終りにします。最後は私の好きな景色です。


 ○軽井沢 鹿島の森

 ○九州 唐津 虹の松原

 ○横浜 ベイブリッジの朝日


「A Risk  Management  Standard」
  8.リスクマネジメントの制度及びその運営 (2) 
8.5 内部監査の役割
 内部監査の役割は各組織により異なると考えられる。実際には内部監査の役割としては、
以下の全部又は一部が挙げられる。
  • 経営幹部の特定した重要なリスクに内部監査作業を集中させ、組織全体のリスクマネジメント・プロセスについて監査を行う。
  • リスクの管理に対する信頼を提供する。
  • リスクマネジメント・プロセスを積極的にサポートし、これに関与する。
  • リスクの特定・アセスメントを促進し、リスクマネジメント及び内部統制担当者の教育を行う。
  • 取締役会、監査委員会に対するリスク報告の取り纏めを行う。
組織に取って最適な役割を決定するにあたり、内部監査は。独立性及び客観性に関する職業上の義務に違反することが無いよう、注意しなくてはならない。
 
8.6 資源及び実行
 組織のリスクマネジメント方針実施に必要な資源は、各管理者レベル及び各事業部門内において明確にされていなければならない。
  
 
リスクマネジメントは、戦略・予算プロセスを通して組織内に浸透されるべきであり、導入時及びその他全ての研修・発展段階並びに商品・サービス開発プロジェクト等の業務プロセスにおいて、これが強調されるべきである。

9.リスクマネジメント・プロセスの監視及び見直し
 効果的なリスクマネジメントを行う為には、リスクが効果的に特定・査定され、適切な管理・対応が行われるよう、報告・見直し制度の整備を行うことが必要である。このため、
方針・基準のコンプライアンスについての定期的な監査、及び改善の機会を特定するための基準の実行について検討を行うべきである。また、組織は活動しており、ダイナミックな環境の下で活動している、ということを念頭におくべきであり、組織及びその活動する環境の変化を特定し、制度に適切な修正を加えることが必要となる。
 監視プロセスは、組織の活動について適切な管理制度が整備され、この制度が確実に理解され,遵守されるよう、保証しなければならない。
 組織及びその活動する環境に変動が生じた場合には、これを特定し、制度について適切な修正を施さなければならない。

 監視・見直しプロセスにおいては、以下の事項について決定を行う。
  • 採用された措置が当初の意図通りの結果をもたらしたか。
  • アセスメント実施に当たり採用した制度及び収集した情報が適切であったか。
  • 知識の向上が行われていれば、より良い決定を行い、将来のリスクのアセスメント・マネジメントに役立つ教訓を得ることができたのではないか。
  • 発生確率及び事業への影響を最小化させる企業の能力
  • リスク及び実施される管理対策の費用便益
  • スクマネジメント・プロセスの実効性
  • 取締役会の決定の有するリスク
10.参考資料
リスク特定の手法  具体例
  • ブレーンストーミング
  • アンケート
  • ビジネス・プロセスの検討を行い、これらのプロセスに影響を与える内部プロセス及び外部要因双方について解説する、ビジネス・スタディー
  • 業界のベンチマーキング
  • シナリオ分析
  • リスク。アセスメント・ワークショップ
  • 事例調査
  • 監査・検査
  • HAZOP(ハザード&オペラビリティ・スタディ)
リスク分析の手法   具体例

アップサイド・リスク
  • 市場調査
  • プロスペクティング
  • テスト・マーケティング
  • 研究開発
  • ビジネス・インパクト分析
アップサイドリスク及びダウンサイド・リスク
  • 依存モデル化
  • SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)
  • イベント・ツリー分析
  • 事業継続計画
  • BPFST分析(事業・政冶・経済・社会・技術)
  • リアル・オプション・モデル化
  • リスク・不確実性の条件下での意思決定
  • 統計に基づく推測
  • 代表値・分散度
  • PESTLE(政冶・経済・社会・技術・法律・環境)
ダウンサイド・リスク
  • 脅威分析
  • フォールト・ツリー分析
  • FMEA(故障モード影響分析)
  
【 所感 】
  リスクマネジメント実践における監査の役割については、2012年5月10日(木曜日)のブログでご紹介した、『藤井範彰著 「内部監査の課題解決法」を読んで』の中で、藤井さんは、リスクマネジメントと内部監査との連繋の最適化をどうするかなど、実務のご経験からの詳細な提言をしておられます。 A Risk  Management  Standardで述べられている、「リスクマネジメントにおける内部監査の役割」と併せ読めば大変参考になります。
リスクマネジメント・プロセスの監視及び見直しの記述で「監視・見直しプロセスにおいては、以下の事項について決定を行う。」として挙げられている具体的な項目も実務上大変参考になります。
 10.参考資料については、25.4.20の「3.リスク・アセスメント」、25.5.10の「4.リスク分析」で引用していますので、ここでは再度触れません。
 最後にまた繰り返しますが、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合に、「A Risk  Management  Standard」の記述は大変参考になります。 
 4月1日以来3ヶ月に亙ってご紹介して来た、「A Risk  Management  Standard」は今回で終ります。
 次回以降は、私のメインテーマである「リスクとキャッシュフロー」について、銀行時代の経験も含めての私の考えを書きます。
 ○「A Risk  Management  Standard」(日本語版)
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf


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「A Risk  Management  Standard」について ⑧ 8.リスクマネジメントの制度及びその運営 (1)

2013年7月1日月曜日 | ラベル: |

 6月16日(日)に昨年春に亡くなった、小・中・高校で最も親しかった友人のお墓参りに佐賀市に立ち寄ってきました。

○佐賀県立佐賀師範学校附属小学校(現佐賀大学文化教育学部附属小学校)の校門
 場所が同じなだけで、建物は一変しています。
 


 ○附属小学校の校門のそばに、唯一残る、佐賀城「鯱の門」

 
 
 ○附属小学校の裏の南壕端
 
 ○佐賀県立佐賀高等学校(現佐賀西高等学校)校門。場所も建物も一変しています。



 「A Risk  Management  Standard」
  8.リスクマネジメントの制度及びその運営 (1) 
 
8.1 リスクマネジメント方針
 組織のリスクマネジメント方針においては、リスクの対処方法及びリスク・アピタイト、並びにリスクマネジメントの対処方法について記載をしなければならない。また、組織全体のリスクマネジメントに対する責任についても言及すべきである。

 これに加え、例えば「健康・安全」に関する基本方針の作成等、法的要請がある場合には、これについて言及しなければならない。
 
リスクマネジメント・プロセスには、ビジネスの様々なプロセスにおいて利用される、一連の統一されたツール・技術が付随する。また、このプロセスが効果的に機能するよう、以下が要求される。
  • 組織の最高経営者及び経営幹部によるコミットメント
  • 組織内の職務の割り当て
  • 研修の為の適切な資源の配分及び全ステークホールダーのリスク意識の向上
8.2 取締役会の役割
 取締役会は、組織の戦略的な方向性を決定し、リスクマネジメントが効果的に機能するよう、環境・制度を整備する責任を有する。
  
これは、経営幹部、構成員が役員ではない委員会、監査委員会、その他それぞれの組織の運営方法に適した、リスクマネジメントの「スポンサー」としての役割を果たすファン
クションにより実行される。
  取締役会は、内部統制システムの評価に当たり、最低限、以下の事項について検討しなければならない。
  • 企業が特定の事業内において受容可能なダウンサイド・リスクの性格及びその限度
  • 上記のリスクが現実となる可能性
  • 受容不可能なリスクの管理方法
  • 発生確率及び事業への影響を最小化させる企業の能力
  • リスク及び実施される管理対策の費用便益
  • リスクマネジメント・プロセスの実効性
  • 取締役会の決定の有するリスク

8.3 事業部門の役割
  • 事業部門は日常的にリスクを管理する主要な責任を有する
  • 事業部門管理者は、その業務の範囲内でリスク意識を向上させ、リスクマネジメント目標をビジネスに取り入れる責任を有する
  • リスクマネジメントは、リスク・エクスポージャーについて検討し、効果的なリスク分析という観点から作業に優先順位を付す目的から、経営会議の定期的な議題とされるべきである。
  • 事業部門管理者は、リスクマネジメントがプロジェクトの構想段階及びプロジェクト全体を通じて採用されるよう対処すべきである。
 
8.4 リスクマネジメント・ファンクションの役割
 リスクマネジメント・ファンクションは、組織の規模に応じ、リスク管理担当者1名、
非常勤のリスク・マネージャー、又は専門のリスクマネジメント部が担当する。リスクマネジメント・ファンクションにおいては、以下を実施する。
  • リスクマネジメント方針・戦略の立案
  • 戦略・業務レベルにおけるリスクマネジメントの主要担当部門としての役割
  • 適切な教育の提供等、組織内においてリスク意識の文化を構築すること
  • 各事業部門のリスク方針・制度の構築
  • リスクマネジメントの立案・見直しプロセス
  • 組織内においてリスクマネジメントの問題について助言を与える各ファンクションの活動の調整
  • 災害対策・事業継続計画等、リスク対応プロセスの策定
  • 取締役会・ステークホールダー向けリスク報告書の作成 
【 所感 】
 「リスクマネジメント・プロセス、が効果的に機能するためには、組織の最高経営者及び経営幹部によるコミットメントが要求される。」「 取締役会は、組織の戦略的な方向性を決定し、リスクマネジメントが効果的に機能するよう、環境・制度を整備する責任を有する。」と言う記述は、多くのわが国企業のリスクマネジメントの実践において欠けている部分だと痛感致します。リスクマネジメントの実践に限らず、わが国企業の組織運営の在り方の基本について深く考えるべき点だと思います。
 「取締役会は、内部統制システムの評価に当たり、最低限、以下の事項について検討しなければならない。」として列挙されている項目も具体的で、わが国のリスクマネジメントの参考書にはあまり記載されていない事項です。
 「事業部門の役割」「リスクマネジメント・ファンクションの役割」の記述も具体的で実務の参考になります。
今回も繰り返しますが、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合に、「A Risk  Management  Standard」の記述も参考にすることは大変意義があることだと思います。
 4月1日以来3ヶ月に亙ってご紹介して来た、「A Risk  Management  Standard」も、次回の、8.リスクマネジメントの制度及びその運営(2)と、9.リスクマネジメント・プロセスの監視及び見直し のご紹介で最終回を迎えます。
 その後は、私のメインテーマである「リスクとキャッシュフロー」について、銀行時代の経験も含めて、私の今日までの実務の集大成を書きたいと思っています。


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「A Risk  Management  Standard」について ⑦ 7.リスクの報告及びコミュニケーション 7.1 内部報告 7.2 外部報告

2013年6月20日木曜日 | ラベル: |

 6月15日(土)に雲仙へ行ってきました。

○雲仙市国見神代小路(こうじろくうじ)にある鍋島邸は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。私は、小・中・高校と佐賀市で過ごしましたので鍋島藩の島原半島における拠点の跡、鍋島屋敷は興味ある場所でした。
 
○鍋島邸の長屋門です。

 
○鍋島邸主屋の玄関です。


○通りの長屋門です。 



「A Risk  Management  Standard」
  7.リスクの報告及びコミュニケーション 
  
7.1 内部報告
 組織内の異なるレベルにより、リスクマネジメント・プログラムから入手すべき情報も異なる。

取締役会として行うべきこと
  • 組織が直面している最も重要なリスクを認識すること。
  • 期待される結果の範囲からの逸脱が株主価値に与える影響を認識すること。
  • 組織全体について適切なレベルの意識を維持すること。
  • 組織としてどう危機に対処するのかを知っていること。
  • ステークホールダーの組織に対する信頼の重要性を認識すること。
  • 必要に応じ投資業界とのコミュニケ―ションをいかに行うかを理解すること。
  • リスクマネジメント・プロセスが効果的に機能していることを確認すること。 
  • リスクマネジメントの理念・責任を含む明確なリスクマネジメント方針を公表すること。
事業部門として行うべきこと
  • 各職務領域におけるリスク、当該リスクが他の分野に与える可能性のある影響及び他の分野から影響を受ける可能性のある結果について認識すること。
  • 主要な事業・財務活動、目標達成状況の監視を行い、(予測・予算策定等)介入が必要な段階を設定する為の業績指標をもつこと。
  • 対策を取ることができるよう適当な頻度で予算・予測値の差異を伝達する制度を有すること。
  • 新しいリスク或いは既存のリスク管理対策の失敗が認められた場合に、経営幹部に対し組織的かつ速やかに報告を行うこと。
各個人が行うこと
  • 各自のリスクに対する説明責任を理解すること。
  • リスクマネジメント対応をどう組織的に改善していくかを理解すること。
  • リスクマネジメント及びリスク意識が組織文化の重要な構成要素であることを理解すること。
  • 新しいリスク或いは既存のリスク・コントロール対策の失敗が認められた場合に、シニア・マネジメントへ組織的かつ機敏に報告を行うこと。
7.2 外部報告
 企業はそのステークホールダーに対し継続的な報告を行い、リスクマネジメント方針及び目標達成の実効性について説明する義務がある。
  
 これに従い、ステークホールダーも、組織がコミュニーティの問題、人権、採用慣行、健康・安全・環境等、組織の非財務面におけるパフォーマンスについても効果的管理を行っていることを証明することを期待する。
 優れたコーポレート・ガバナンスにおいては、以下を実現する為、企業がリスクマネジメントについて体系的な手法を採用することが要求される。
  • ステークホールダーの利益を守ること。
  • 取締役会が戦略について指示を与え、価値を構築し、組織のパフォーマンスを監視する責務を確実に果たすこと。
  • 経営管理が整備され、適切に機能していること。
リスクマネジメントの正式報告の手続きについて明確な記載を行い、これをステークホールダーが入手できるようにすべきである。
  
 正式な報告においては,以下について記載を行うべきである。
  • 管理方法、特にリスクマネジメントに関する経営陣の責任。
  • リスク特定のプロセス及びこれらのリスクがリスクマネジメント・システムおいて、どう対処されているか。
  • 重要なリスクを管理するための主要管理システム。
  • 整備された監視・見直しのシステム。
 上記のシステムで発見された重要な問題或いはシステム自体に問題がある場合には、これらの対策と共に報告を行うべきである。
 
【 所感 】
 ISO31000の記述に比し、「組織内の異なるレベルにより、リスクマネジメント・プログラムから入手すべき情報も異なる。」として、取締役会・事業部門・各個人と階層別に内部報告の内容を例示している点、大変特色があると思います。
 毎回書いていることですが、例えば、事業部門の記述の項目に「主要な事業・財務活動」と財務を当然の項目として挙げている点、イギリスにおいてリスクマネジメント活動において財務は欠くべからざるファクターだと認識されていると考えられ、わが国もでもそうあって欲しいとつくづく思います。  
外部報告では、「企業はそのステークホールダーに対し継続的な報告を行い、リスクマネジメント方針及び目標達成の実効性について説明する義務がある。」と記述されています。
「正式な報告においては、以下について記載を行うべきである。
  • 管理方法、特にリスクマネジメントに関する経営陣の責任。
  • リスク特定のプロセス及びこれらのリスクがリスクマネジメント・システムおいて、どう対処されているか。
  • 重要なリスクを管理するための主要管理システム。
  • 整備された監視・見直しのシステム。」

との要求事項を読むと、形式的なお座なりな説明も散見されるわが国企業の有価証券報告書における「リスク管理に関する規定・その他の体制」「対処すべき課題・事業等のリスク」の記述の内容がこれで良いのかと痛感されます。
 今回も同じことを書きますが、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合に、「A Risk  Management  Standard」の記述も参考にすることは大変意義があることだと思います。
 

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アンネ=ゾフィー・ムターさんのサイン

2013年6月10日月曜日 | ラベル: |

 1981年にムターさんが、カラヤン・ベルリンフィルと来日されたた際、たった二回だけの共演を聞くことが出来ず、残念に思っていました。今回の東京公演で、円熟したムターさんの演奏を聞き、32年前のプログラムにサインをして頂くことが出来ました。

○1981年来日時のカラヤンです(当時のプログラムより)。



○1981年来日時の17歳のムターさんです(当時のプログラムより)。その寫真の下にサインをして頂きました。 


○現在のムターさんです(公演プログラムより)。


 2年前、平成23年6月30日のブログで、「ソニー㈱とリスクマネジメント 大賀典雄様を悼む」と言う記事を書きました。私は大賀様がお亡くなりになるまで、ご一緒に東京二期会の監事を勤めて来ました。監査報告書にはいつも大賀様の下に署名をしていました。
 今回は、大賀典雄様が親しかったカラヤン、カラヤンが見出した天才少女アンネ=ゾフィー・ムターさんと言う繋がりで、「アンネ=ゾフィー・ムターさんのサイン」について書きます。
 「浅間通信員」と言うブログに「カラヤンと大賀典雄氏 2011.7.16」という記事が掲載されています。
http://asamatsuushin.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-40d8.html
 「カラヤンが亡くなった日、ソニーの前会長大賀典雄氏がカラヤン宅を訪れて、次期カラヤンの映像企画の打ち合わせをしていました。当日カラヤンは朝から体調がすぐれず、不調を訴えていたそうですが、打ち合わせ中に体調が急変しその場に倒れこんでしまいました。大賀氏が抱き起こして声を掛けましたが、その大賀氏の胸に抱かれて息を引き取ってしまったそうです。」

 私はカラヤン・ベルリンフィルを一度だけ聞く機会がありました。1981年にアンネ=ゾフィー・ムターさんがカラヤン・ベルリンフィルと来日されました。そのころムターさんのことは若くしてカラヤンに見出された天才少女ということで大いに話題になっていました。しかしこの時、ムターさんとカラヤン・ベルリンフィルの共演はたった二回だけでしたので、私はカラヤン・ベルリンフィルのブラームス交響曲第3番・第1番を聞くことは出来ましたが、ムターさんとの共演を聞くことが出来ず大変残念に思いました。
 1981年の来日はムターさんにとって、初めての日本であり、また日本におけるカラヤン・ベルリンフィルとムターさんの共演はこの時だけだったと思います。
今回、ムターさんの東京公演で、円熟したムターさんの演奏を聞くことが出来、その上32年前のプログラムの17歳の時のムターさんの写真の下にサインをして頂くことが出来ました。一生の思い出になりました。8月で80歳ですから、死んだらサイン入りのプログラムを棺に入れて貰って、あの世に持って行こうと思います。

○1981年カラヤン・ベルリンフィル日本公演の際の布装ハードカバーの立派なプログラムです。
 
 

 1981年公演のプログラムには、
「アンネ=ゾフィー・ムターは1963年ドイツ南西部ラインフェルデンに生れる。5歳の時よりピアノを始め、その半年後にヴァイオリンも習う。13歳の時ルツェルン音楽祭でデビューリサイタルを行い輝かしい成功を収める。この驚くべき才能を持った新人の噂がカラヤンの耳に入り、カラヤンはベルリンにある、フィルハーモニー・ホールでのオーディションに彼女を招いた。カラヤンは大事な会議があるので長くは聴けないと前もって断っていた。ゾフィーはバッハのシャコンヌを弾き始めた。カラヤンはその演奏に心を奪われて、席を立つことが出来なくなってしまった。しまいには、彼女にモーツアルトのコンチェルトの楽章を2つ弾くように要請したのだった。その結果、ただちに1977年ザルツブルグの聖霊降誕日の音楽祭でモーツアルトのコンチェルトを演奏する話が決まった。それ以来定期的にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とカラヤンと共に、ザルツブルグ、ベルリンにおいて、あるいは演奏旅行において、モーツアルトやベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトなどのソリストとして演奏活動を行っている。
 彼女は単なる神童ではなく、その若年を考慮に入れなくても、世界的なヴァイオリニストであることはもはや明らかである。このことを認識して連邦政府は、何と、ストラディヴァリウス(エミリアーニ)を購入して、彼女に永久貸与したのである。」
と記述されています。
 1981年、17歳のムターさんは、ベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルト ニ長調 作品61を10月29日と11月5日に、東京文化会館でカラヤン・ベルリンフィルと共演されています。
 それから32年、私は今回初めてムターさんの演奏をお聞きしました。私はヴァイオリンの演奏に関しては全くの素人ですが、何という流麗な美しい音色かと心を奪われました。近くの女性は涙を浮かべておられました。
 今回の公演のプログラムの記述によれば、「音楽の友」誌のアンケートで「あなたが好きなヴァイオリニストは?」で、ムターさんは堂々の第一位なのだそうです。
 この歳になっても、美しい音楽に感動出来るのは、誠に幸なことだと痛感しました。

 次回からは、また「A Risk  Management  Standard」のご紹介に戻ります。

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「A Risk  Management  Standard」について ⑥ 5.リスクの評価   6.リスク対応

2013年6月1日土曜日 | ラベル: |

52年前の1961年6月、1959年に操業を開始した最新鋭のトヨタ自動車元町工場を見学しました。

○前年1960年に完成したばかりのトヨタ自動車の旧本社です。
 

○当時の元町工場の模型。最先端のトランスファー・マシンに感動しました。
 

○見学に行った、日本生産性本部「中小企業コンサルタント指導者養成講座」Ⅳ期生のメンバーです。



「A Risk  Management  Standard」
5.リスクの評価
 リスク分析プロセス終了後、その算定されたリスクと,組織が策定したリスク其準との比較を行うことが必要となる。このリスクの判断基準には、関連する費用・利益、法的規制、社会・経済・環境要因、ステークホルダーの懸念等が含まれる。従って、リスクの評価は、組織にとってのリスクの重要性及び特定のリスクを受容するのか、又は対応すべきかどうかの判断を行う場合に利用される。

6.リスク対応
 リスク対応とは、リスクの修正方法を選択し、これを実行するプロセスを指す。リスク対応は、主にリスクのコントロール・軽減を行うことを指すが、更に、例えばリスクの回避、リスクの移転、リスクファイナンシングもこれに含まれる。

 (注)本基準においては、リスクファイナンシングとは、リスクの財務的結果について資金手当てを行う手段(例:保険)を指す。一般的には、リスクファイナンシングは(ISO・IECガイド73に定義するところの)リスク対応実行の費用に対する資金提供を指すとは考えられていない。
 いかなるリスク対応システムにおいても、最低限以下を実行するものとする。
  • 効果的かつ効率的な組織の運営
  • 効果的な内部統制
  • 法令遵守
リスク分析プロセスは、経営陣が注意すべきリスクを特定することにより、組織の効果的・効率的運営に資する。経営陣は、組織に利益をもたらす可能性という観点からリスク管理対策に優先順位を付ける必要がある。

 内部統制の効果とは、リスクが提案されたリスク管理対策方法により排除或るいは軽減される度合いを示す。

 内部統制の費用効率とは、期待されるリスク軽減利益とを比較した場合の管理実行費用を指す。

 実行されたリスク管理対策は、何ら対策が取られなかった場合に予想される経済的効果とその提案された対策に係る費用との対比の観点から測定され、必ず、即座に入手できるものよりも詳細な情報・前提が要求される。

 まず第一に、実行の為の費用を設定しなければならない。この計算は費用便益測定の基礎となるため、正確さが要求される。何ら対策が取られなかった場合の損失の見通しも同時に行い、これら結果の比較に基づき経営陣はリスク管理対策を実施すべきかどうかの決定を下す。

 法令遵守は選択の対象ではない。組織は適用される法律を理解し、コンプライアンスを達成するための管理制度を実行する義務がある。若干の柔軟性が許容されるのは、特定のリスクについてリスク軽減費用が明らかに不釣り合いに大きい場合のみである。

 リスクの影響に対する財務的保護を図る方法の一つは、保険等のリスク・ファイナンシングによるものである。しかし、損失或いは損失の要素の中には保険でカバーできないものがある。例えば就労に関する健康、安全又は環境に関連する保険ではカバーされない費用等があり、これには従業員の士気の低下及び組織の評価の損害も含まれることを認識すべきである。
 【 所感 】
  「リスクの評価」とは、「算定されたリスクと,組織が策定したリスク其準との比較」であり、「組織にとってのリスクの重要性及び特定のリスクを受容するのか、又は対応すべきかどうかの判断を行う」ことであると明確に定義されています。ISO31000の記述も類似していますが、このように簡潔には記述されていません。
 「リスク対応」は、①コントロール・軽減②回避③移転、④リスクファイナンシングとされています。リスクファイナンシングが当然のように加えられていて、「A Risk  Management  Standard」において、財務が重視されていることを改めて実感します。本項の最後にリスクファイナンシングに関し、「損失或いは損失の要素の中には保険でカバーできないものがある。」書かれています。例えばわが国では中小企業の地震保険のカバーは困難ですが、我が意を得たりです。
 ISO31000では、①低減②保有③移転④回避に加え、⑤リスクを増加(リスクを戦略的に生かす)⑥リスク源の排除⑦結果を変える(残余リスクを経営に生かす)が加えられ7項目になりました。
 
【「リスク分析プロセス」は、経営陣が注意すべきリスクを特定することにより、組織の効果的・効率的運営に資する。経営陣は、組織に利益をもたらす可能性という観点からリスク管理対策に優先順位を付ける必要がある。】と言う記述は、リスクマネジメントは経営マターであることを明確に示しています。
 さらに、内部統制との関係、法令遵守との関係も記述されています。毎回同じことを書きますが、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合に、「A Risk  Management  Standard」の記述も参考にすることは大変意義があることだと思います。
  
○「A Risk  Management  Standard」(日本語版)


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「A Risk  Management  Standard」について ⑤ 4.リスク分析、4.2 リスクの説明、4.3 リスクの算定、4.4 リスク分析手法

2013年5月20日月曜日 | ラベル: |

 拙宅のバラは5月上旬が満開です。
 
 

 
 



 「A Risk  Management  Standard」
4.リスク分析
4.2 リスクの説明
 リスク説明の目的は、特定されたリスクを、表を用いる等体系化されたフォ-マットにより表示することである。リスクの説明・アセスメントを円滑に行うため、以下の表を利用するのもひとつの方法である。総合的なリスクの特定・説明・アセスメントのプロセスには、十分に設計された制度が必要である。表に記載されている各リスクの結果及び発生確率を検討することにより、より詳細な分析を要する主要リスクの優先順位をつけることができるであろう。事業活動や意思決定に関するリスクの特定に関しては、戦略、プロジェクト・戦術、業務等に分類することができる。プロジェクトの構想段階及び特定のプロジェクトについてはプロジェクト期間全体を通シテリスク・マネジメントを取り入れることが重要である。

4.2.1 リスクの説明 

4.3 リスクの算定
 リスクの算定は、発生の確率及び起こりうる結果について数量的、標準量的又は定性的手法により行うことができる。

 
例えば,脅威(ダウンサイド・リスク)、機会(アップサイド・リスク)双方につきその結果が高、中、低に分類される(表4.3.1を参照)、発生確率も高、中、低と分類されるが、しかし脅威・機会に関しては別の定義が必要となる。(表4.3.2及び表4.3.3を参照)

 以下の表に具体例を示す。組織によって異なる結果・発生確率の測定基準を適用することがわかるであろう。
 例えば、多くの組織にとって、結果及び発生確率を高、中、低により評価することがそれぞれのニーズに非常に適しており、これを3x3のマトリクスにより表現することができる。
 また、他の組織にとっては、結果及び発生確率を5x5のマトリクスにより評価する方がより良い評価になることがわかるであろう。

4.3.1 結果 ― 脅威及び機会

4.3.2 発生の確率 - 脅威                                           


4.3.3  発生の確率 - 機会

4.4 リスク分析手法
 リスクの分析には様々な手法が用いられる。これらの手法はアップサイド・リスク或いはダウンサイド・リスクのどちらか一方のもの分析用のばあいもあり、両方に適用できる場合もある。(4月20日、5月10日記載の参考資料の具体例を参照)

4.5 リスク・プロフィール
 リスク分析プロセスの結果は、各リスクの重要性の格付けを行い、リスク対応の取組みに優先順位をつける手段を提供するリスク・プロフィールを作成することを目的に利用される。これは特定されたリスクについて相対的な重要性の概念を与えるためにリスクの順位付けを行うものである。
 

 このプロセスにおいてリスクの影響を受ける事業分野の位置付けを行い、主要な管理手順を説明し、どの分野においてリスク管理投資レベルが上昇・低下した或いは再配分されたのかを示す。

 説明義務の実行により、リスクの「所有」を認識し、経営資源の適切な配分を行うことが可能となる。

(所感)
 ISO31000には、リスクアセスメントのリスクの特定・リスク対応の項で今回ご紹介したことと同様の問題についての記述があります。何回も申しますが、「A Risk Management  Standard」の記述は、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合にも、大変参考になります。
 今回の記述で、4.2.1 リスクの説明の表は、リスクの内容を考える場合に参考になる項目が列挙されています。特に強調したいことは、4.3 リスクの算定の中の4.3.3 「発生の確率 - 機会に関する発生確率」の表です。わが国のリスクマネジメントの参考書では、「リスクの算定は発生確率及び起こり得る結果」と言う記述は必ずありますが、「機会に関する発生確率」に触れている記述は,寡聞にして私は知りません。
 「A Risk  Management  Standard」で言う「アップサイド・リスク」、或いは経済産業省の平成15年6月の「リスク新時代の内部統制」で言う「事業機会に関連するリスク」の算定に関して、大変参考になる表だと思います。
 アメリカのCOSO2 のリスクの定義では、「組織の戦略や目的達成に影響するような内的・外的事象をイベント という。正の影響を与えるイベントを機会(opportunity)・負の影響を与えるイベントをリスク(risk)という。」とされています。
 「機会のマネジメント」はリスクマネジメントの対象外なのかなと思います。
 わが国でも「機会のマネジメント」に関する議論はあまりなされていないと思います。 更に、安全の分野においては、一般的にリスクの結果はマイナス面のみであり、“安全リスクの管理”といった場合、それは危害の防止または軽減ということになるとされています。
 

 アメリカ一辺倒でなく、イギリスのリスクマネジメントの実務にも、わが国のリスクマネジメント関係者はもっともっと目を向けるべきだと私は思います。

  
○「A Risk  Management  Standard」(日本語版)
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf


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「A Risk  Management  Standard」について ④ 4.リスク分析

2013年5月10日金曜日 | ラベル: |

 大型連休の関係で5月1日は休みました。
 何年か前、旧軽井沢のロータリーでは5月5日に桜が満開でした。



 5月初旬の軽井沢は「からまつ」の若葉が綺麗です。
  

 「A Risk  Management  Standard」
4.リスク分析
4.1 リスクの特定
 リスクの特定とは組織の不確実性に対するエキスポージャーを特定することである。これには組織やその業務を行う市場、法的・社会的・政治的・文化的環境についての深い知識、及び成功に不可欠な要因や、目標達成に関する脅威・機会等、戦略・業務目標についての健全な理解が必要である。

 リスクの特定は、組織の全ての重要な活動を特定し、これらの活動から発生する全てのリスクの定義付けを確実に行うため、体系的な手法により行われる。また、これらの活動に関連する全ての変動性を特定し、分類しなければならない。
 
 業務上の活動、決定の分類は、以下の様々な方法により行われる。
  • 戦略・組織の長期的戦略目標に関するもの。これらは、資本の利用可能性、国家或いは政治に関するリスク、法規制の改正、社会的評価、物理的環境の変動等の影響を受ける。
  • 業務 ー 組織がその戦略目標を実行する際に直面する日常的な問題に関するもの。
  • 財務 - 組織の財務及び信用枠・為替レート・金利の変動・その他市場エキスポージャー等外部要因の影響の効果的な管理に関するもの。
  • 知識管理 - 知識の源泉、製作物及びその保護並びにこれに係るコミュニケーションの効果的な管理に関するもの。外部要因としては、知的財産の不正使用、地域の停電、競合する技術等が挙げられる。内部要因には、システム障害、主要スタッフの離職等がある。
  • コンプライアンス - 健康・安全、環境、商品表示、消費者保護、データ保護、雇用慣行、規制上の問題等に関するもの。
リスクの特定は外部のコンサルタントが行うこともあるが、組織内の十分なコミュニケーションに基づく、一貫性のある、協調のとれたプロセス及びツール(参考資料参照)による方がより効果的に行えるであろう。組織内においてリスクマネジメント・プロセスを「所有」していることが不可欠となる。

10.参考資料(再掲)

 リスク特定の手法  具体例
  • ブレーンストーミング
  • アンケート
  • ビジネス・プロセスの検討を行い、これらのプロセスに影響を与える内部プロセス及び外部要因双方について解説する、ビジネス・スタディー
  • 業界のベンチマーキング
  • シナリオ分析
  • リスク・アセスメント・ワークショップ
  • 事例調査
  • 監査・検査
  • HAZOP(ハザード&オペラビリティ・スタディ)
リスク分析の手法   具体例

アップサイド・リスク
  • 市場調査
  • プロスペクティング
  • テスト・マーケティング
  • 研究開発
  • ビジネス・インパクト分析
アップサイドリスク及びダウンサイド・リスク
  • 依存モデル化
  • SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)
  • イベント・ツリー分析
  • 事業継続計画
  • BPFST分析(事業・政冶・経済・社会・技術)
  • リアル・オプション・モデル化
  • リスク・不確実性の条件下での意思決定
  • 統計に基づく推測
  • 代表値・分散度
  • PESTLE(政冶・経済・社会・技術・法律・環境)
ダウンサイド・リスク
  • 脅威分析
  • フォールト・ツリー分析
  • FMEA(故障モード影響分析)
(所感)
 「ISO31000・JISQ31000」でも、リスクマネジマントの実践に当たっては、組織の状況を確定して、目的を明確にすべきだとしています。前回も書きましたが、企業がISO31000・JISQ31000に準拠してリスクマネジマントを実践する場合でも、「A Risk Management  Standard」の記述は大変参考になります。
 「ISO31000・JISQ31000」はどのような組織にも、どのようなリスクにも適用出来る汎用的なリスクマネジメント規格なので、抽象的な記述が多いによう思われます。これに比べ、「A Risk Management  Standard」の記述は大変具体的です。
平成15年6月の経済産業省のレポート「リスク新時代の内部統制」は、リスクを「事業機会に関連するリスク」と「事業活動の遂行に関するリスク」に分けています。
 「A Risk Management  Standard」の記述では、「事業機会に関連するリスク」については、〈資本の利用可能性、国家或いは政治に関するリスク、法規制の改正、社会的評価、物理的環境の変動等の影響を受ける。〉「事業活動の遂行に関するリスク」は、〈業務、財務、知識管理、コンプライアンス等の項目が関係する。〉と書かれています。
 いつものことですが、当然の項目として「財務」が挙げられています。どうしてわが国におけるリスクマネジメントの実務では、「財務」はあまり問題にされないのでしょうか。
 次回は、4.2リスクの説明、4.3リスクの算定の項をご紹介致します。
 
○「A Risk  Management  Standard」(日本語版)


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