ターンブルの実行―取締役会への説明 ③ 第一章-3 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2012年12月20日木曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 私事で申し訳ありません。12月7日娘明子が永眠致しました。亨年50歳。そのため10日のブログを休みました。
 16日(日)には、学生時代に家庭教師をした教え子の広部機型製作所社長の広部元勝さんと京都で素敵な初冬の1日を過ごしました。


○一番好きな冬の栂尾の高山寺は、世界遺産・国宝鳥獣戯画所蔵のお寺です。
 この時期は訪れる人もまばらで、静かな佇まいが心を洗います。



 
○恒例南座の顔見世興行

○「まねき」は京都の師走の風物詩です。

 
○ターンブルの実行ー取締役会への説明
~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか  
 
3.いますぐやること
 3-1  リスクマネジメントと内部統制に対するあなたの態度は正しいか。
 役員は、次のような問題に注意を怠ってはならない。
  • 役員会がリスクマネジメントは自分たちの問題ではないと考えている。
  • 会社が未だに内部の財務管理にのみ重点を置いている。
  • 事業目的が何かと言うことについて、役員会の中で合意が無い。
  • キーとなるリスクの指標が無く、従業員のための訓練も行われていない。
  • 内部統制の見直しが対外発表のため、定期的に行われる作業に過ぎない。
  • リスクマネジメントが、監査と保険と言った一部門の責任と考えられている。
もし、既に従業員のパフォーマンス向上に関係する変革の試みをしているのであれば、
新に「ターンブル」と言う改革を別途始めるのは止めること。その試みを続ける。ただし効果的なリスクマネジメントと言う方針を会社の目標の中に入れる。競合的な計画は作らない。既存の計画におんぶする
 
3-2 不要な複雑さとコストを回避する。
 中小企業の問題は、リスクマネジメントと内部統制のために使える資源の不足。プロセスを出来る限りシンプルに判り易くする。コストが利益を上回るようなプロセスはビジネスとしては無意味。
 製品ラインアップもキーパーソンも資産も少ない中で、会社を守って行くには、健全なリスクマネジメントは極めて重要であると認識すべきである。
 
○ケース・スタディで内容が更に詳細に解説されています。
 3-3 いま何をする必要があるか。
 組織のあらゆるレベルの人間の関与が重要。最初は、上級管理職と役員会のサポートを得なければならないが、業務レベルでの〝草の根〞の支持も必要。
 2段階の業務プロジェクトとして取り上げることを勧める。
 初期段階(initial stage) 
 プロジェクト計画策定は、そのために適当な時間を使うことのでき人に任せる。その人に協力し、計画を推進させる。主要な成果物、責任、期限を図示する。対応する必要のあるリスクの多くは業務に関わるものであるから、業務経験を持っている者に関与させることは特に有効。計画は複雑にし過ぎてはいけない。経営陣やスタッフから敬遠される。
 
○プロジェクトの推進案が図示されています。

  進行段階(ongoing stage)
  • 計画を組織の各段階に埋め込む。
  • 適切な報告の仕組みを実行する。
  • 情報開示のみならず、事業の発展を目指す。
進行段階は継続的なものである。リスクの監視と管理が必要。
 
○役員会に提出する書類の初期段階の重要な要素が記述されています。
  • ターンブルを実行する背景。  上場規則・コンバインドコード等
  • リスクの特定と順位づけ。
  • 実行すべき主要なタスク。 リスクマネジメント戦略とリスクマネジメント方針書の策定 等
  • 役員会の役割。
  • 資源の割り当て。
  • 計画の各段階における責任。
  • 重要なリスク一つ々々についての経営陣の責任。
企業のリスクマネジメントと内部統制の戦略と方針は、エクスポージャーの変化に応じて微調整しなければならない。過ちから学習し、事業の発展とリスク軽減の可能性を活かすためには、フィードバックの過程が極めて重要である。

(所見)

 今から10年ほど前、住友銀行の子会社のコンサルタント会社に勤務中、広島の自動車メーカーのリスクマネジメント体制確立のお手伝いを致しました。
 先にご紹介した下記の記述などは、将に当時会社側と議論した事項と一致しています。
  • 内部統制の見直しが対外発表のため、定期的に行われる作業に過ぎない。
  • リスクマネジメントが、監査と保険と言った一部門の責任と考えられている。
  • 既に従業員のパフォーマンス向上に関係する変革の試みをしているのであれば、新に「ターンブル」と言う改革を別途始めるのは止めること。その試みを続ける。ただし効果的なリスクマネジメントと言う方針を会社の目標の中に入れる。競合的な計画は作らない。既存の計画におんぶする
  • コストが利益を上回るようなプロセスはビジネスとしては無意味。
  • 組織のあらゆるレベルの人間の関与が重要。最初は、上級管理職と役員会のサポートを得なければならないが、業務レベルでの〝草の根〞の支持も必要。
企業が内部統制とリスクマネジメントを導入するについての留意事項が、具体的に判り易く記述されていて、大変参考になると思います。