BCMSにおける企業トップのリーダーシップのあり方

2014年12月7日日曜日 | ラベル: |

 最初にアップした原稿を若干訂正致しました。再度アップ致します。申し訳ありませんでした。

 12月3日にある学会の、ISO 22301(JIS22301)*の内容を検討するWGで、私ともう一人の方が担当で、ISO22301の「5.リーダーシップ及びコミットメント」に関する部分の議論をしました。
 *地震や火災、金融危機、新型インフルエンザの感染爆発<パンデミック>など、危機に際しさまざまな企業や組織が、対策を立案し効率的かつ効果的に対応するための事業継続マネジメントシステム<BCMS>の国際規格
 ISO22301の「5.1 リーダーシップ及びコミットメント」では、先ず
「トップマネジメントにある者,及びその他の関連する管理層の役割を担う者は,BCMSに関してリーダーシップを実証しなければならない。」とされています。
 このISO22301で想定しているマネジメントスタイルは、欧米、特に米英豪型のものであり、その観点からは当然の内容ですが、わが国の企業に持ち込む場合、これを実行することは容易なことでは無いと思われます。

私どもは、
『日本の経営者は、ボトムアップ型の組織の頂点にいて部下の補佐によって職務を遂行するケースが多いため、日本の経営者が本規格で想定しているマネジメントスタイルを実行するためには、日本の組織を前提とした補完的なサポート策を加味したやり方を考えるべきではないか。
更には、ISO22301の認証を受ける場合、既存の経営環境・経営者の状況や組織運営とISO22301の要求するレベルとの狭間で深刻な問題が発生するのではないか。』
という問題提起をしたのですが、WGの実務家のメンバーの多くの方々からは、このことに対する深刻な問題意識は殆ど感じられませんでした。


「5.2 経営者のコミットメント」では、
「トップマネジメントは,次に示す事項によって,BCMS に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。」とされています。
詳しくは、
  • BCMS の方針及び目的を確立し,それらが組織の戦略的な方向性と両立することを確実にする。
  • 組織の事業プロセスへのBCMS の要求事項の統合を確実にする。
  • BCMS に必要な資源が利用可能であることを確実にする。
  • 有効な事業継続マネジメント及びBCMS の要求事項への適合の重要性を伝達する。
  • BCMS がその意図した成果を達成することを確実にする。
  • BCMS の有効性に寄与するよう指示を与え,支援する。
  • 継続的改善を促進する。
  • その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップ及びコミットメントを実証するよう,管理層の役割を支援する。
トップマネジメントは,BCMS の確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善へのコミットメントの証拠を次の事項によって示さなければならない。
  • 事業継続方針を策定する。
  • BCMS の目的及び計画が策定されることを確実にする。
  • 事業継続マネジメントのための役割,責任及び力量を決定する。
  • BCMS の実施及び維持に責任を負うために適切な権限及び力量を備える1 名以上の者を,BCMS の責任者に任命する。
トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限を割り当て,組織内に伝達することを次に示す事項によって確実にしなければならない。
  • リスク許容基準及びリスクの許容可能レベルを定める。
  • 演習及び試験の実施に積極的に関与する。
  • BCMS の内部監査の実施を確実にする。
  • BCMS のマネジメントレビューを実施する。
  • 継続的改善へのコミットメントを明確に示す。」
と記述されています。

この節では、
  • BCMS に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証するためにやるべき内容を示し、トップマネジメントがリーダーシップを発揮するとともにBCMSに関し参画する具体的な中身及びその方法を明確にすることに狙いがあります。
  • BCMSの方針及び目的を明確にし、それを組織内の拘束的条件とすること及びそれが組織の戦略的な、進んできた方向に合致するものであることを明確に示し、それに則って業務が行われるようにすることはトップマネジメントの責務であるとしています。
  • BCMSが要求する内容が確実に事業実施の1部として行われるようにすることはトップマネジメントの責務であると明定しています。
  • 人材、資金等の組織の資源がBCMSにおいて必要とする量だけ確保できるようにすることはトップマネジメントの責務であるとしています。
  • 組織内において、十分役に立つ事業継続マネジメント及びBCMSであるためには、それらの求める条件に適合することが必要であることを関係者に伝達し認識させることはトップマネジメントの役割の一つであるとして指摘しています。
  • BCMSによって果たそうとした目的が間違いなく達成されるようにすることはトップマネジメントの責務であるとしています。
  • BCMSの活動が効果的なものとなるように指示、支援することはトップマネジメントの責務であることを明確にしてます。
  • BCMSの改善が継続的に行われるようにする役割をトップマネジメントが担っていることを明確にしています。
  • 管理層がその各々の所掌に応じてBCMをしっかりと行うように支援することがマネジメントの責務であることを明らかにしています。
  • トップマネジメントは,BCMS の確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善を行う必要があり、その具体的なやり方としては、以下のことを行うことによって、自らの責任において事業継続マネジメントを行っていることを証拠立てる必要があるとしています。
事業継続方針を策定するにあたっては、
  • BCMS の目的及び計画がその責任のある者によって作成されること確実にする
  • 事業継続マネジメント実施における組織内の者の役割,責任を決めるとともにその力量を評価し明確化しておく。
  • それを実行するにふさわしい能力を持ったBCMSの責任者を少なくとも一名任命する。
さらに、トップマネジメントは BCMS関連する業務に従事する者および部局に,責任及び権限を割り当て,その旨を組織内に伝達するが、それは、具体的には、以下のような内容のことを行うことによって、それが実効性のあるものと必要があるとしています。
  • リスク許容基準及びリスクの許容可能レベルの決定
  • 演習及び試験の実施に積極的関与
  • BCMS の内部監査の確実な実施
  • BCMS のマネジメントレビューの実施」

 ここで示されていることをトップマネジメントが実施するという考え方は欧米流の経営におけるアプローチの方法で、欧米プロの経営者としての方法論です。日本の経営者はこのようなシステムアプローチをするように教育を受けていません。むしろ、このようなアプローチをするタイプの者は、それぞれの部門の中から選抜して役員になる日本流のシステムの下においては、途中で排除されることが少なくないようにさえ思えます。
 創業者型の経営者、欧米の子会社のトップを経験し、欧米型の経営に同感している経営者を除いて、現状日本の経営者の多くは、ここで要求されていることは実行出来ないと思われますので、当面は次善の策として、部下がサポートをして実行可能となるような対応策を講ずべきだと私は思います。
 『ここに示されているような内容のことをトップマネジメントが実際に行えるようになるためには、基本的素養や考え方の教育をしっかりとされている必要があります。少なくとも、BCMSにおいて行われようとしている内容が、どうして必要なのか、概略どのようにして行うべきものなのか、どのような効果を持ち、どのような弊害やリスクを伴っているかなどを推測できる必要があります。そのような能力は付け焼刃で身に付けようとしても付くものではありません。また、そもそもマネジメントとは何かについてのしっかりとした考え方や哲学が必要で、日本的経営スタイルでは容易ではない要求ではないか。』とWGのメンバーのメンバーに対して問題提起を致しました。
 1950年代、QC導入に際し、推進の中心であった「日本科学技術連盟」のトップは初代経済団体連合会会長石川一郎氏で、また導入の中心人物の一人は石川一郎氏のご令息、石川馨東京大学教授でした。石川教授らは日本の状況を活かしたQCの実行を明確に意識して導入を図られました。
 日本的な経営スタイルの下で、ISO22301(JISQ22301)事業継続マネジメントシステムの「経営者のコミットメント」の要求事項に応えるためには、QC導入時のように、日本経済団体連合会等の経営者団体の関与や日本的な企業組織を前提とした補完策の検討が必要であるという,私どもの問題提起に対して多くのWGメンバーの方々はあまり問題意識の共有をされませんでした。
5.3、5.4については内容のみお示し致します。
5.3 方針
 内容
トップマネジメントは,次の事項を満たす事業継続方針を確立しなければならない。
- 組織の目的に対して適切である。
- 事業継続目的の設定のための枠組みを示す。
- 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
- BCMS の継続的改善へのコミットメントを含む。
 
BCMS 方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
- 文書化した情報として利用可能である。
- 組織内に伝達される。
- 必要に応じて,利害関係者が入手可能である。
- 定期的に及び大きな変更があった場合に,継続的に適切であるかをレビューする。
組織は,事業継続方針に関して文書化した情報を保持しなければならない。
  
5.4 組織の役割,責任及び権限 
 内容
 トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限を割り当て,組織内に伝達することを確実にしなければならない。
トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
a) BCMS が,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
b) BCMS のパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。
 
【 所見 】
 日本の企業が、現在の日本的な経営スタイルの下でISO22301事業継続マネジメントシステムの「5 リーダーシップ」の要求事項に応えるためには、非常んい大きな問題があると私は思うのですが、実務に従事する多くの方々はそのような問題意識を持っておられないように見受けられます。
 これは、日本の企業がISO22301事業継続マネジメントシステムの「5.リーダーシップ」の項目の内容を真摯に受け止めていないからではないかと私は考えます。ISO22301をJIS規格にした政府の意図は、日本の企業の経営形態を欧米型に近づけたいと思ったからだと考えますが、多くの日本企業はそう思っていないのではないかと思われます。日本の企業経営形態を、直ちに欧米型するべきかについては、意見は分かれると思います。
 問題は「ISO22301の実践は、日本の経営形態に対し、非常に大きな問題を提起している。ではどうすれば良いのか」という問題について、もっともっと議論すべきだということです。
 この点に関し、翌4日別の研究会で東京ガスの吉野太郎様から 「企業におけるERMの役割とその実施方法に関する考察」というお話をお聞きし、企業のBCMSや危機管理の実状についての具体的なお話をお聞き出来て大変参考になりました。次回にご報告致します。
 


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グローバル目線の欠如がもたらす日本経済の偏り

2014年11月23日日曜日 | ラベル: |

 俳優の高倉健さんがお亡くなりになりました。私は昭和43年(1968年)10月から約3年間銀座の松屋デパートの前にあった旧住友銀行銀座支店の貸付係長でした。嘗て高倉健さんが所属しておられた東映㈱は銀座支店の大事なお得意様でした。そのころは高倉健さん主演、藤純子さんも出演されていた「日本侠客伝」「昭和残侠伝」シリーズの全盛期で、高倉健さんは旧住友銀行銀座支店の業績にも大いに寄与して頂きました。11月19日の夕方私は白いバラを持って、銀座の東映本社(丸の内TOEI)に設えられた献花台に赴き、昔を偲んで拝んで来ました。

〇丸の内TOEIの献花台(毎日新聞ニュースより)

 私は鉄道趣味なので、高倉健さん主演の映画では「鉄道員(ポッポヤ)」が一番好きです。

〇パンフレットより。

 高倉健さんに献花した後、駿河台に行き明治大学グローバル・ビジネス研究科の特別招聘教授中島厚志経済産業研究所理事長による講義(一般公開、)「グローバル目線の欠如がもたらす日本経済の偏り」をお聞きしてきました。
 2月20日のブログでもご紹介致しましたが、経済産業省の経済産業研究所はBBLセミナーを開催し、そのデータはHPにアップされています。
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/

 中島厚志経済産業研究所理事長は旧日本興業銀行のご出身で、調査部長をされた方です。私は昭和35年に旧住友銀行の東京調査部の企業調査部門に転勤し、重電・家電・弱電(通信機)部門を担当しました。当時基幹産業の分野に関しては、日本興業銀行の「調査月報」の記事はは必読の資料で、日本興業銀行の調査部は大変権威ある存在でした。

「グローバル目線の欠如がもたらす日本経済の偏り」の中島厚志経済産業研究所理事長のご講義は、
①2000年から2010年の我が国の実質経済成長率0.7%は世界182ヶ国中173位。
②歴史上ない人口減少の可能性。
③財政赤字は過去最悪。
④我が国は輸出入と対内直接投資残高のGDP比率は世界最小クラスで、世界経済との関係
が世界で最も薄い国の一つ。
⑤企業が高度人材を活用しない。
⑥我が国の企業縮み志向が強く、貯蓄超過幅が大きく、米独企業ほど投資をしていない。
⑦我が国経済はアップダウンが激しく、安定した経済成長ができていない、
結論として、「グローバル経済の中で主要先進国の経済動向と経済マインドの理解(グローバル目線)が不可欠」だということでした。

あと、ご自身のご体験に基ずくフランスのお話がありました。
①哲学教育で自らの論理的思考で判断出来る人間を育てる。
 物事を鵜呑みにするのではなく、その是非を自ら判断出来る人間を行育成する。
②少子化対策。(今回は触れません)

【 所感 】
 「グローバル経済の中で主要先進国の経済動向と経済マインドの理解(グローバル目線)が不可欠」に関して、
 私は旧住友銀行で幾つかの支店長を経て、最後に研修の責任者になりました。当時主な海外支店のあった欧米の海外現地職員の研修のため、欧米の銀行のjob descriptipn を読むと、企業理念・組織の在り方の違いがあまりにも大きく、言語の壁と共に、研修の難しさを痛感しました。
 11月4日(火)京都の住友資料館にお伺いし、末岡副館長様にお会いしました。その際「現在三井住友銀行には非常に多くの国籍の社員がいます。彼らは住友グループの(三井グループも同様です)歴史や経営思想に興味を示し、その知識と理解が彼らの三井住友銀行に対する一体感の育成にに有益だと実感致します。」というお話をお聞きし大変感銘しました。現在の三井住友銀行の海外社員研修の主体ははアジア地域かと思います。日本人はアジア地域に対して上から目線の癖があるように感じます。そうした偏見を捨てて、フェアな態度で我が国の歴史や実情を理解して貰うことも大事なのだと思いました。 
 〇住友資料館  http://www.shiryokan.jp/

 フランスにおいて、「哲学教育で自らの論理的思考で判断出来る人間を育てる。物事を鵜呑みにするのではなく、その是非を自ら判断出来る人間を行育成する。」に関して、
 私は京都大学で民法のゼミに所属し、指導教授の林良平先生から「論理的思考の重要性」と「個人の価値観の重要性」を徹底的に教育されました。当時の多くの企業の方針は「企業の方針に忠実な良き社員を養成する」というもので、個人の価値観・考えとか、個人固有の能力はあまり重視されませんでした。このことは、今もあまり変わっていないのではないかと思います。私は、旧住友銀行勤務中、最後まで自分の価値観と会社の方針との狭間で悩み続けていました。私は勤務期間中、忠実な旧住友銀行員であるべく努力しましたが限界がありました。

 我が国の伝統的な大企業では、多分今も世界の状況を見据えた複眼的な思考(グローバル目線)を持った社員の存在・その社員の考えを活かすこと、さらには個人の能力を活かす「高度人材の活用」については、まだまだ多くの課題があるのではないかと愚考致します。それでは我が国の企業の将来は危ういと思います。
 我が国企業の美点も勿論多くあります。中島厚志経済産業研究所理事長のお話をお聞きして、我が国企業の美点は活かしつつ、然しグローバル目線で足らざるところを補っていかなければ、我が国企業の将来、延いては我が国の将来は無いと痛感致しました。

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栗田美術館と劉薇さんの演奏会

2014年11月9日日曜日 | ラベル: |

 顧問をしている会社で、お隣の方から10月25日(土)に、「足利市の栗田美術館で中国の方のバイオリンの演奏会がありますがおいでになりませんか。」と誘われました。
 栗田美術館は、足利市の郊外にあり、伊万里・鍋島を館蔵する世界最大級の陶磁美術館です。私は小・中・高と佐賀で育ちましたので伊万里・鍋島は身近なものでした。栗田美術館の館長様直々のご説明は大変勉強になりました。



〇栗田美術館 本館 (栗田美術館 パンフレットより)


〇重要文化財 鍋島色絵付植木鉢文大皿(栗田美術館 パンフレットより)

 
〇ヨーロッパへ輸出された伊万里の品々(栗田美術館 パンフレットより)

・肥前国(佐賀)における磁器の製造について
 初代佐賀藩の藩主鍋島直茂が1592-1598の文禄・慶長の役に参加したことをきっかけに、朝鮮から多くの陶工が日本へ渡り、通説では「陶工李参平が有田の泉山で磁器の原料になる磁土を発見し、1616年(元和元年)有田で磁器の製造を始めた。」とされていますが異説もあるようです。
 1670年代になると、「濁手」という殆ど青みのない乳白色の素地が作られるようになり、この素地に色絵で文様を書く「柿右衛門様式」が確立し、17世紀末には西欧の王侯貴族達はオランダの商館を通して、大いに日本の磁器を購入しました。
 私はこれらの製品は主に有田地区で生産されたと思うのですが、佐賀県の西北部にある輸出港の名をとって「伊万里」と言われています。
 一方、鍋島藩は1640年ころから、将軍家・諸大名などへの贈答用の高級磁器を製造する藩窯の活動を開始します。この藩窯の製品を「鍋島」と言います。藩窯は技術漏洩防止のため有田や伊万里から離れた山間の大川内にありました。
 大川内藩窯は1871年(明治4年)の廃藩置県によりその歴史を閉じましたが、「鍋島」の技法と伝統は有田・赤絵町の「今泉今右衛門家」によって復興・継承されています。
 私事で恐縮ですが、私の父は戦前内務省という役所の官吏で、私は子供の頃は、父の転勤に伴って各地の県庁所在地を転々としました。
 昭和15年に父は佐賀県知事になりました。当時の今右衛門窯は戦時中は贅沢品ということで技術保存のため細々と職人さんが仕事をされていたようですが、父から貰った今右衛門窯の品物は大変緻密な職人芸のもので、戦後今右衛門窯の関係者の方から「大事になさって下さい」と言われました。朝鮮総督府の局長を最後に、昭和17年に父が退官後は一家は佐賀に住みつきました。そういう関係で、今でも今右衛門窯、柿右衛門窯、唐津の中里様の品々が身近にあります。父は11代今右衛門様と面識があったようです。私は13代今右衛門様と2回お話をする機会がありました。
 今回、今まで断片的に知っていた伊万里・鍋島のことについて栗田館長様直々のご案内で実物を目のあたりにし、系統的に理解することが出来て誠に幸せでした。栗田美術館は、かねてから一度訪れてみたいと思っていましたが、期待していたより遥かに大きな感銘を受けました。足利の地にこのような素晴らしい美術館があることを佐賀の人々はもっともっと知っているべきだと痛感しました。



〇バイオリンの演奏会場
 

〇劉薇(Liu Wei)さん(後援会ニュースより)

 栗田美術館見学の後、美術館のホールで中国の西安音楽学院ご出身の劉薇さんのバイオリンの演奏会をお聞きしました。
 100人ほどの演奏会は大変緊密な環境になります。伴奏のギターとのコラボがこんなにも素晴らしいとは思ってもいませんでした。伴奏をされたギターの小川和隆様はスペインのナルシソ・イェペスに師事されたとの事ですが、私どもの年代にとってイェペスはルネ・クレマン監督の映画「禁じられた遊び」の音楽です。クレマンは「海の牙」「太陽がいっぱい」「パリは燃えているか」など優れた作品を作った映画監督です。
 私の青春時代、キャロル・リード監督の「第三の男」のアントン・カラスのチターの演奏と、ルネ・クレマン監督の「禁じられた遊び」のナルシソ・イェペスのギターの演奏は忘れられない映画音楽です。
 秋の一日、素敵な週末を過ごすことが出来ました。   

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警察庁のレポート「平成26年度上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」

2014年10月26日日曜日 | ラベル: |

 9月22日(月)に、ある研究会で警察庁の専門家から、サイバー空間の脅威についてのお話をお聞きし、その方が「ロンドンオリンピックにおけるサイバー攻撃」に関する記事をお知らせ下さったことは、前回書きました。
 「次回は、私たちの身の回りのサイバー攻撃、例えば、インターネット不正送金事犯等についてのお話をご紹介致します。」と申し上げました。
 今回はそこでお話が出た、警察庁のレポート 「平成26年度上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」のうち「インターネット不正送金事案」の部分について書きます。
  http://www.npa.go.jp/kanbou/cybersecurity/H26_kami_jousei.pdf

 警察庁はサイバーセキュリティ担当の審議官、同参事官を新設して司令塔とし、サイバー3課(サイバー課、僃企課、情解課)、組織犯罪対策部、情報管理課、警察大学校サイバーセキュリティ研究・研修センターと言う体制を構築しています。「平成26年度上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」はサイバー参事官室がまとめたものです。
 以下はその内容のうち「インターネット不正送金事犯」の部分のご紹介です。
 ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊  
  この報告書では、サイバー空間の脅威に関して、手口の悪質・巧妙化、新たな技術・サービスの実社会への影響、インターネット利用に係るリスクの顕在化が総括されています。
 特に、インターネットバンキングの不正送金事案は、平成26年度上半期だけで被害総額は約14億5,200万円と既に前年1年の被害総額を上回り、その被害は個人口座から法人口座へ、都市銀行から地方銀行へと拡大している由です。
 またパソコンに感染したコンピューターウイルスがインターネットバンキングへのログインを検知し、自動的に不正送金をする、MITB攻撃と呼ばれる被害は従来海外で確認されていましたが、国内でも確認されました。
 情報窃取を企図したメール攻撃では、対象を絞り込んだメール攻撃、Windowsのショートカットファイル(LNK)を利用した不正プログラム、就職活動を装ったメールの増加が指摘されています。他にも無償ソフトウェアの更新を悪用して不正プログラムに感染さ新手口などが確認されているとのことです。
 警察では、インターネットバンキングに係る不正送金事案に対する対策として、金融機関関係団体に対してはセキュリティ対策の強化を要請していますが、他方インターネットバンキング利用者に対しても、
①ウイルス対策ソフトの導入、最新パターンファイルへの更新。
②基本ソフト(OS)、ウエブプラウザ等各ソフトウエアの最新の状態への更新。
③インターネットバンキングにアクセスした際に不審な入力画面等が表示された場合ID,パスワード等を入力せずに金融機関等へ通報する。
④可変式パスワード生成機(ハードウエアトークン)等によるワンタイムパスワードの利用。
などの対策を講ずるよう要請しています。
◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ 
【 所見 】
 私たちの身の回りのサイバー攻撃、例えば、「インターネットバンキング」に係る犯罪等についての状況には、慄然とせざるを得ません。
 個人であれば、毎度ATMを使うとか、銀行の窓口で処理すれば良いと思いますが、企業などでは事務効率上インターネットバンキングを使うについて便利さの中に潜む危険を痛感します。
 「平成26年度上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について」では、更に情報窃取を目的としたサイバー攻撃についても、①標的型メール攻撃の情勢と手口、②標的型メール攻撃の事例等が記述されています。
 更に新たな技術・サービスに起因する事犯として、3Dプリンター、ビットコインについても記述されていますので、是非ご一覧ください。

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「ロンドン五輪を狙っていたサイバー攻撃」

2014年10月12日日曜日 | ラベル: |

10月初めに所用で京都に行き、次いで家族で4日間沖縄へ行って来ましたので、ブログのアップが1週間遅れて申し訳ありませんでした。
 京都では私が学生時代に止宿していた、父の従兄弟の島文次郎(京都大学文学部英文科教授・附属属図書館長)のお墓が法然院旧墓地にありますのでお参りして来ました。法然院旧墓地には谷崎潤一郎や戦前の経済学者河上肇、「老いらくの恋」で有名な川田順のお墓などもあり、併せて拝んで来ました。
  

〇島文次郎・楳乃の墓

台風18号の影響は殆どなく、沖縄はまだ夏でした。
  

〇ムーン・ビーチ

 ロンドン五輪を狙っていたサイバー攻撃

 9月22日(月)に、警察政策学会の「テロ・安保部会」で警察庁の専門家から、「サイバー空間の脅威」についてのお話をお聞きしました。その方がロンドンオリンピックにおけるサイバー攻撃に関する記事をご紹介下さいました。
 「ロンドン五輪を狙っていたサイバー攻撃」
 (株)情報通信総合研究所  グローバル研究グループ 佐藤 仁
http://www.icr.co.jp/newsletter/global_perspective/2013/Gpre2013115.html
 以下はその内容の概略です。
 ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊  
 「2012年夏のロンドンオリンピックでは、開会式がサイバー攻撃の標的にされていた。」とロンドンオリンピックのサイバーセキュリティ責任者であるOliver Hoare氏がBBCのインタビューで答えています。
 電力のインフラへのサイバー攻撃によってオリンピック開会式の照明が消されてしまったかもしれなかったということです。実際には照明が落とされることはありませんでしたが、世界中で何十億の人が見ているオリンピックの開会式で照明が消えてしまっては一大事です。万が一サイバー攻撃で停電になったとしても、30秒あれば手動で電気は復旧するとOliver Hoare氏は報告を受けていましたが、開会式では30秒の停電でも大パニックになっていた筈です。
 ロンドンオリンピックを標的にしたサイバー攻撃はこれだけではありませんでした。ロンドンオリンピックのサイトは400億のページビューにも耐えられるようになっていましたが、オリンピックのサイトには2週間の開催期間で2億2,100万のサイバー攻撃があったそうです。
 またロンドンオリンピックのCIO(Chief Information Officer)を務めたGary Pennell氏はオリンピック期間中に1億6,500万回のサイバーセキュリティに関わる問題が発生し、CIOのオペレーションセンターに報告されたサイバー攻撃は97件だったと言っています。例えば、オリンピック開催直前の2012年7月26日、東欧からのサイバー攻撃がありましたが、実際に被害はなかったそうです。 
 また、オリンピック開会式(2012年7月27日)での照明システムへの攻撃は40分間続いて、北米や欧州の90のIPアドレスから1,000万のアクセスがありましたが被害はなかったそうです。
2008年の北京オリンピックでは1日に1,400万回のなにかしらの攻撃があったことから、ロンドンオリンピックが開催される前からロンドンではサイバー攻撃が行われると確信しており、それに備えた対策を事前に講じてきたのだそうです。
 サイバー攻撃は政府だけや1企業だけでは対応策することに限界があるので、多くの企業や政府との協力、連携が必要になります。
 サイバー攻撃はこれからも進化していきます。イギリスの前の安全保障・対テロ担当大臣で、現在はイギリス政府でサイバー攻撃対策の特別代表を務めるネヴィル・ジョーンズ上院議員は、2020年に東京で開催される東京オリンピックについて「オリンピックを成功させるためには、日本がサイバー攻撃への対策を強化する必要がある。私たちには豊富な経験がある。」と述べ、2012年のロンドンオリンピックの経験を日本側と共有するなどして協力していく考えを示しておられます。
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【 所 見 】
 今から50年前、東京オリンピック直前の昭和39年(1964年)10月1日(木曜日)に東海道新幹線が開業しました。
 前日まで雨だったお天気は奇跡的に晴れ上がり、昭和39年10月10日(土曜日)の午後、私は住友銀行の人形町支店の中庭から航空自衛隊の「ブルー・インパルス」が青空に描いた五輪を見上げました。
 当時はパソコンもインターネットもなく、ここに記述されているようなオリンピックを狙ったサイバー攻撃など全く考えられない長閑な時代でした。
 9月22日(月)の研究会では、警察庁の専門家に2020年の東京オリンピック開催時の
サイバー攻撃の防禦についての質問が出ました。彼は「過去の事例と今後予想される事態を考慮して万全の対策を講じます。中身については申し上げられません。」と返事をされていました。
 次回は、私たちの身の回りのサイバー攻撃、例えば、「インターネット不正送金事犯」等についてのお話をご紹介致します。
 2020年東京でオリンピックを開催の頃にはどのようなサイバー攻撃が主流になっているのか想像もつきませんが、英国との情報交換や連携はサイバーセキュリティにおいて重要なことだと痛感しました。

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「リスクとキャッシュフロー」について ㉗

2014年9月21日日曜日 | ラベル: |

 今回から、事務上の都合で、隔週日曜日にアップすることに致します。

  11.「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の「財務診断モデル」 ⑬
 
 今回は「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の「財務診断モデル」初級コース、中級コースの「 事前対策の考え方 」をご説明致します。

 ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊ ◊  
〇「財務診断モデル」基本コース 参考.4 財務診断とキャッシュフロー対策 (2)キャッシ
ュフロー対策 
 ③事前対策の考え方
 事前に対策を講じておけば、災害時の復旧費用総額は間違いなく減少します。事業の継続に重大な影響を与える欠陥がある場合は、借入をしてでも事前に対策を講ずることは当然です。

〇「財務診断モデル」中級コース 参考.4 事前対策の考え方
 事前の対策をする場合は、資金調達の形が下表のように変わります。対策費用を自己資金で行うか、資金を借り入れるかで、別途の検討が必要になります。
事前の対策を自己資金で毎期着実に実行していくことが望ましいのですが、緊急に対策を講ずる必要がある場合には、災害防止対策資金の借入を検討することが必要になります。
  〇事前対策検討表                      (単位 千円)
    必要資金の金額 調達可能金額 備 考
(災害防止対策費用)( F )   手元現金・預金
損害保険金
会社資金売却
(会社調達分 計)
 
 
 
( )
 
(復旧資金)
資産の復旧費用( A )
事業中断によるキャッシュフローの悪化額( B )
復旧費用総額
( C )=( A )+( B )
 
経営者から支援  
災害防止対策資金借入金額( G )  
災害時新規借入金額( E )  
計( F )+( C )=( H )         計  

事前に対策を講じておけば、災害時の「設備の復旧費用+事業中断によるキヤッシュフローの悪化額」即ち「復旧費用総額」は間違いなく減少します。このことを、計数で表すことは難しいのですが、下記はその概念図です。



事前に何も防災対策を講じていない場合の復旧資金総額(C1)より、有効な事前防災対策を講じた場合の必要資金総額(H2)は少なくなる筈です。
理論的には事前の防災対策を全く行わない場合の復旧費用(A1+B1=C1)が、事前対策を講じた場合の総費用(A2+B2+F2=H2)より大きい場合 C1>H2であれば、事前防災対策を講じるべきです。(概念図参照)
企業としての費用負担総額は、上記のケース(2)、(3)の図のように累計で考えなければなりません。
過度の災害防止対策を実施した結果、災害防止対策を何も行わなかった場合より企業の累
資産の復旧費用計負担額が大きくなる ケース(3) (A1+B1=C1)<(A3+B3
+F3=H3) =C1<H3も考えられます。これは行き過ぎです。
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 「事前対策費用の効果概念図」で言いたいことは、何も事前対策をしない場合の災害発生時の「資産の復旧費用+事業中断によるキャッシュフローの悪化額」に比べ「事前の災害対策費用+資産の復旧費用+事業中断によるキャッシュフローの悪化額」の合計が小さくなるはずだと言うことです。
 従って「ケース3」は、過大なあるいは効果が少ない「事前の災害対策費用」をかけて、「資産の復旧費用+事業中断によるキャッシュフローの悪化額」に比べ「事前の災害対策費用+資産の復旧費用+事業中断によるキャッシュフローの悪化額」の合計が小さくならないようなことは意味がないと言っている訳です。
 中小企業の場合、効果的な「事前の災害対策」を確立し、その費用を算定することは仲
々困難だと思います。従って自社で考えられる限りの「事前の災害対策」を、自社で調達出来る資金の範囲で行っておくしかありません。
 但し、緊急に対策を講ずる必要がある場合には、災害防止対策資金の借入等を検討することが必要になります。
 何回も繰り返しますが、「とても無理だからと言って、何も対策を講じないよりも、ご自分で考えられることは対策を講じておく、そして、最低1ヶ月くらいの出費を賄えるだけの資金を持っていて、災害発生後1ヶ月くらいの間に事業の継続やその後のキャッシュフロー対策を講ずること」が現実的な中小企業のBCPだと私は思います。


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「リスクとキャッシュフロー」について ㉖

2014年9月10日水曜日 | ラベル: |

  11.「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の「財務診断モデル」 ⑫

引き続き「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の「財務診断モデル」「参考.4 直接原価方式による損益計算書の作成・計算手順」をご説明致します。

 下記は、「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の「財務診断モデル」「参考.4 直接原価方式による損益計算書の作成・計算手順」 「参考.3 緊急事態発生後のキャッシュフローの算定」の記述の続きです。

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表 参考.3-1 災害発生直後1ヶ月目のキャッシュフロー検討表(例)
  上旬
(緊急事態発生)
中旬  下旬  
 計
  稼働率    0% N 1% N2%
営業
 
収入
前月分の影響      〇〇〇
今月分        0    0   0     0
営業収入計      〇〇〇
 
営業
 
支出
変動費 前月分の影響        △ 1 △ 1
 今月分        △ 2 △ 2
固定費 前月分の影響       ✫ 1 ✫ 1
今月分     ✫ 2 ✫ 2
  営業支出計       ▲▲▲
   復旧 費用       0    0   0    0
   資金 収支       ✳✳✳


表 参考.3-2 キャッシュフロー対策
                              (単位:千円)
 科  目   上旬 中旬 下旬   計
現金・預金取り崩し        
新規借入 1        
 損害保険金 2        
 会社資産売却 3        
 経営者から支援         
 総合資金収支        


 緊急事態発生直後1ヶ月目は、前月の影響がありますから、細かく予想することが必要です。緊急事態発生が、上旬か、中旬か、下旬かによってもキャッシュフローは大きく変ります。
注1)新規借入、注2)損害保険金の支払い、注3)会社の資産売却の3項目については、
資金になるまでには時間がかかりますから、緊急事態発生直後の時期は手元に現・預金がないと大変です。
 段階的に稼動率がアップすると予想される場合は、手作業で稼働率を補正して下さい。
さらに、災害発生後1年間あるいは2年間のキャッシュフローを考えておく必要があります。災害復旧資金を借入れた場合、2年据置き後3年目から返済が始まりますから、復旧にあたり貴方の会社の収益体質の改善(返済原資の増加)を図ることが大事になります。
 災害後あなたの会社の、稼働率をどう推移させるのかも考えて下さい。また、何ヶ月目にどのくらい資金がピークで不足するのかを予想しましょう。
資金不足の対策(新規借入・資産売却・経営者から支援)を何時、どうするかも、考えておいて下さい。 

〇災害発生後1年間のキャッシュフロー検討表
                                      (単位:千円)
   科  目
(稼働率)
1ケ月目
(0%)
2ケ月目
(3 0%)
3ケ月目
(60%)
4ケ月目
( 100% )
5ケ月目
( 100% )
6ケ月目
( 100% )
資金
 
収支
営業収入            
営業
 
支出
固定費            
変動費            
小 計            
事業資金収支            
  復旧費用            
月次 資金収支 ( B 0 ) ( B 30 ) ( B 60 ) ( B 100 ) ( B 100 ) ( B 100 )
累計 資金収支            


〇キャッシュフロー対策
  1ケ月目 2 ケ月目 3 ケ月目 4 ケ月目 5 ケ月目 6 ケ月目
現金・預金取崩し            
 新規借入            
 損害保険金            
 会社資産売却            
経営者から支援            
 総合資金収支            




                                            (単位:千円)
 科  目
稼働率 100% 以上
7 ケ月目
(  %)
8 ケ月目
(   %)
9 ケ月目
(  %)
10 ケ月目
(   % )
11 ケ月目
(   % )
12 ケ月目
(   % )
資金
 
収支
営業収入            
営業
 
支出
固定費            
変動費            
小 計            
事業資金収支            
  復旧費用            
月次 資金収支            
累計 資金収支            



〇キャッシュフロー対策
  7 ケ月目 8 ケ月目 9 ケ月目 10 ケ月目 11 ケ月目 12 ケ月目
現金・預金取崩し            
 新規借入            
 損害保険金            
 会社資産売却            
経営者から支援            
 総合資金収支            



各月ごとの稼働率(0%、30%、60%、N%)に基づき、キャッシュフローを予測する場合は、下記の表で数字を記入して下さい。


〇稼働率0%の場合のキャッシュフロー
  科     目   稼働率  100%  稼働率0%の場合
  営 業 収 入  
営 業
 
支 出
 変動費    変動費 × 0    
 固定費    
 小 計    
 月次資金収支額    ( B )    ( B 0 )



〇稼働率30%の場合のキャッシュフロー
  科     目   稼働率  100%  稼働率30%の場合
  営 業 収 入    
営 業
 
支 出
 変動費     変動費 × 0.3
 固定費    
 小 計    
 月次資金収支額    ( B )    ( B 30 )




〇稼働率60%の場合のキャッシュフロー
  科     目   稼働率  100%  稼働率 60 %の場合
  営 業 収 入    
営 業
 
支 出
 変動費     変動費 × 0. 6
 固定費    
 小 計    
 月次資金収支額    ( B )    ( B 60 )



〇稼働率N%の場合のキャッシュフロー
  科     目   稼働率  100%  稼働率 N %の場合
  営 業 収 入    
営 業
 
支 出
 変動費     変動費 × 0. N
 固定費    
 小 計    
 月次資金収支額    ( B )    ( B N )



復旧後の稼働については、復旧後の条件で改めて、損計算の内訳(変動費・固定費)を計算し直す必要があります。


〇復旧後のキャッシュフロー                  (単位 千円)
     直接原價計算 月簡キャッシュフロー
  営業  収入    
営業
 
支出
変動費    
固定費
(内減価償却費)
   
  小 計    
  営業 利益       ―
 キャッシュフロー     ―  



○災害復旧後の損益計算予想または実績で直接原価計算をやり直しましょう。
災害復旧資金を借入れた場合には、2年据置き後3年目から返済が始まりますから、復旧にあたり貴方の会社の収益体質の改善(返済原資の増加)を図ることが大事になります。


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 「財務診断モデル」「参考.4 直接原価方式による損益計算書の作成・計算手順」 「参考.3 緊急事態発生後のキャッシュフローの算定」の記述を読んで下さってい
る方は殆どいないのではないかと私は思います。
 前回、「緊急事態の発生時のキャッシュフローの変動を精密に行う意味はあまりないと私は思います。」と書きました。然しキャッシュフローがどうなるかはおおまかにでも事前に検討しておくべきです。
7月1日にご紹介した『国土交通省首都直下地震対策計画 [第1版](中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ)』によれば、例えば、「首都圏の交通・物流システムが発災直後から長期間に渡り機能不全に陥る」「輸送ルートの被災等によりサプライチェーンが寸断され、企業の生産活動が低下。その影響が長期化した場合には、生産機能の国外移転等が進み、我が国の国際競争力が低下。」と記述されています。「首都圏の交通・物流システムが発災直後から長期間に渡り機能不全に陥る」のは一体何ヶ月になりそうかなど事前に想定出来るわけがありません。さすれば、地震発生後に状況を見て判断し、自社の工場は大丈夫だったとしても、サプライチェーンが寸断され、原材料の供給がストップする、あるいは製品が出来てもお得意先へ送ることが出来ない等々、自社での対応を超える部分について十分考慮して、操業出来ない、売上が立たない期間はどのくらいになりそうか。その結果のキャッシュフローはおおまかにどうなるのかの検討が出来るように是非事前に考えておく必要があります。
 お金が全てではありませんが、首都直下地震発生後1ケ月くいの間にかねてから検討していたデータと現実の状態を勘案して、キャッシュフーの見通しをたて、中小企業庁の「災害復旧貸付」制度を利用してキャッシュフロー対策を講じ、生き延びることが必要です。BCPの色々な準備や対策が外的要因で有効に機能しない「首都直下地震」のようなケースでは、キャッシュフロー対策が当面の最重要課題になると私は考えます。


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