大賀氏しのび鎮魂歌=ソニー元社長、お別れの会 (asahi.comサイト記事へのリンク)
リスクマネジメント、特にキャッシュフロー・リスクとソニー㈱はどこで繋がっているのでしょうか。
実は、2004年3月期のソニー㈱のアニュアルレポートには、「流動性マネジメントおよびコミットメントライン」と言う項目があります。その記述は下記です。
「ソニーは手元流動性の範囲を(a)現金・預金および現金同等物、定期預金と(b)銀行との間で設定されるコミットメントラインの内ムーディーズによる財務格付け"c"以上の銀行と締結したものと定義しています。その上でソニーは流動性の確保のために、グループ全体で、年度における平均月次売上高および予想される最大月次借入債務返済額の合計の100%以上に相当する手元流動性を維持することを基本方針としています。」6月20日の記事で、中小企業庁の「中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針」の財務診断モデルでは、緊急時に備え、平素から「月商の1ヶ月分くらいの資金(現金・預金)」を用意しておくことを勧めています。これは流動性リスクに対する経験則です。と書きました。
私の知る限り、日本企業のアニュアルレポートで「流動性マネジメント」の記述があるのはソニー㈱だけです。しかも「年度における平均月次売上高および予想される最大月次借入債務返済額の合計の100%以上に相当する手元流動性を維持することを基本方針としています。」とは、将に我が意を得たりです。
残念乍らその後ソニー㈱の業況の変化により現在はこの記述は削除されています。
大賀様のご生前を偲び、ソニー㈱の現況を考え、複雑な感慨に耽りました。