「A Risk  Management  Standard」について ①

2013年4月1日月曜日 | ラベル: |

ブログを始めて2年経ちました。今年度もどうか宜しくお願い申し上げます

○東京の櫻
 3月23日(日)靖国神社・千鳥ヶ淵に行って来ました。
・靖国神社

 
・東京で櫻の開花宣言をする標準木の内の1本が靖国神社の能舞台の前にあります。


・千鳥ヶ淵   いつもながら、千鳥ヶ淵の桜は絶景です。


1. リスクマネジメント規格について
 私が初めてリスクマネジメントに接したのは、1987年1月です。銀行退職後或る製薬会社の経理部長になり、損害保険も担当でしたので、どのように損害保険を掛けるのかを損害保険会社にお聞きしたところ「それにはリスクマネジメントを勉強すべきです。」と言ってリスクマネジメントに関する資料を頂きました。それから25年経ちました。
 昨年3月10日にも書きましたが、25年前は部門別の個別のリスク管理の時代でした。1992年にアメリカで「COSO報告書」が公表され、従来型のリスクマネジメントとは別の、不正な財務報告リスクの防止を主眼とする内部統制と結びついたリスク管理の手法が導入されました。
 1995年に世界で初めてオーストラリア・ニュージーランドでリスクマネジメントに関する国家規格「AS/NZS4360」が制定されました。
 わが国では2001年に「JISQ2001リスクマネジメントシステム構築のための指針」が制定されました。
 2002年8月にアメリカでサーベンス・オックスリー法(SOX法)が成立し、2004年9月には 「COSO2報告書〈Enterprise Risk Management Framework〉」が公表されEnterprise Risk Management (全社的リスク管理)の時代になりました。
 2009年11月に発行された、リスクマネジメントに関する国際規格・「ISO 31000:2009 "Risk management - Principles and guidelines(リスクマネジメント-原則及び指針)"」は、2010年9月にJISQ31000となり、JISQ20001は廃止されました。
 これらの経緯については参考文献もあり、またISO31000等についても参考書がありますが、上場企業でない大企業や中小企業でリスクマネジメントを実践する場合に企業のリスクマネジメントの担当者がこれらの経過の全てを理解するのは大変で、担当者はどうしたら良いのか困惑することが多いと思います。

2.「A Risk  Management  Standard」について
 前回までにご紹介した「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」もそうですが、イギリスでは極めて実務的な規格や解説がなされていて、特に中小企業では参考になります。
 2002年9月に,英国の3大リスクマネジメント機関である、
  • IRM :The Institute of Risk Management  
  • AIRMIC :The Association of Insurance and Risk Managers
  • ALARM :The National Forum for Risk Management in the Public Sector 
が、「A Risk Management Standard」を発表しました。 「A Risk  Management  Standard」は日本語版を下記で読むことが出来ます。従って、これからは読者が日本語版を読むことを前提に解説を書こうと思います。

3.『「A Risk  Management  Standard」はじめに』の記述
 「A Risk  Management  Standard」の「はじめに」には、下記のように記述されています。
 はじめに
 リスクマネジメントは急速な発展を遂げている規律であり、その適用範囲,遂行方法および目的については様々な意見・記述がある。従って、以下の各事項についての合意を形成するためには、一定の様式による基準を設ける必要がある。
  • 使用される用語
  • リスクマネジメントの遂行プロセス
  • リスクマネジメントの組織構造
  • リスクマネジメントの目的
 ここで、重要なのは、リスクにはアップサイド・リスク及びダウンサイド・リスクの2タイプがあることを基準において認識していることである。
 リスクマネジメントは企業や公共団体のみをその対象としているのではなく、短期・長期を問わず、いかなる活動についても適用されるべきものである。利益や機会は、単に活動自体の観点のみならず、これにより影響を受けるであろう様々なステークホルダーとの関連において考慮されるべきである。
 リスクマネジメントの目的達成には多様な方法があり、その全てを一つの文書に記載することは不可能であろう。このため、該当項目にチェックする方式となるであろう規範的な基準の作成や、証明可能なプロセスの策定は、これまで行われてこなかった。方法は異なるであろうが、本基準の定める様々な規定に従うことにより、組織は法令を遵守している、という報告をすることが出来る。本基準は組織が自身についての判断を下す際の基準となるベスト・プラクチスをまとめたものである。
 
4.「A Risk  Management  Standard」の目次
 「A Risk  Management  Standard」の目次は次の通りとなっています。 
  1. リスク
  2. リスクマネジメント
  3. リスク・アセスメント
  4. リスク分析
  5. リスクの評価
  6. リスク対応
  7. リスクの報告及びコミュニケーション
  8. リスクマネジメントの制度及びその運営
  9. リスクマネジメント・プロセスの監視及び見直し
  10. 参考資料
(所感)
 中小企業や、中堅以下の大企業などで、経営資源や人材の不足、またノウハウの不足から、リスクマネジメントや内部統制の実行に苦労されている担当者や、リスクマネジメントの実践に苦労をされている心ある経営者に対し、前回までの「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」に続き、「A Risk  Management  Standard」も必ずやご参考になるものと、私は確信致します。
 
○「A Risk  Management  Standard」(日本語版)
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf

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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑫ 9.その他の検討事項 10. 結び ターンブルはあなたの会社にどんな効果をもたらすか ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年3月20日水曜日 | ラベル: |

 今回まで、「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

○引続き北野天満宮です。





○ターンブルの実行ー取締役会への説明


          ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

 以下は、記述の抜粋です。

9.  その他の検討事項  

9.1 役員委員会

 役員会は会社の内部統制に責任を負う。内部統制について適切な方針を策定し、そのシステムが効果的に機能しているかどうかを定期的に確認する必要がある。ターンブルの最終版における主要な変更点は、管理職が役員会で採用された方針の実行に責任を負っていることを明らかにしたことである。しかし、役員委員会についての言及がある。これらの委員会(監査、リスク、上級役員、その他、何れであろうと)は、その委任事項に関わる内部統制についての報告を定期的に受け取ってレビューすることが出来る。 
 
 委員会が問うことが出来る有用な質問は次のようなものである。
  • ターンブルに対処するための計画は作られたのか。そしてそのタイムテーブルは達成可能なものか。
  • ターンブルの計画の策定と実行について責任をもたされたのは誰か。
  • 重要なリスクについて責任を負っている上級管理職は、それぞれについての統制戦略、早期警告メカニズム、および残存リスクを確認しているか。
  • 会社にリスクマネジメントと内部統制プロセスをどのように定着させているか。
  • 不正、環境、財務およびIT関連リスクの領域において、どんな特別な手段が取られているか。
  • ターンブル作業部会ガイダンスの勧告に応ずるために、まだやることが残っているのはどの領域か。
  • 会社は、ロンドン証券取引所の要求に沿って報告を行えるようになるか。
  • 年度報告及び決算において開示されている何か重要な問題に関して、重大な内部統制の側面はあるか。
監査委員会に負荷がかかり過ぎないように注意しなさい。リスクを確認し管理するのは監査委員会の責任ではない。それは経営陣の責任である。

 監査委員会の関与の範囲は役員会自身が決定するものである。コンバインド・コードは、全ての企業が、規模に関わりなく、監査委員会を持つよう規定している。許された時間を考えると、監査委員会は、ターンブル。ガイダンスを遵守するのに必要な段階のうち、ハイレベルな仕事に限られるだろう。役員会は、監査委員会の役割を内部財務統制に限定したいと考えるかもしれない。
 会社によっては、特に大きな上場企業や金融機関にの場合、優れたリスクマネジメントと内部統制を育てるためのリスク委員会を作りたいと思うかもしれない。しかし、他の会社はリスクマネジメントと内部統制の見直しを出来る限り上級役員委員会の中にはめ込みたいと思うだろう。これは勿論、議題と経営情報が改善出来るかどうかを、リスクマネジメントと内部統制の観点から内部でレビューすることを是認する。
 
9.2  ベンチ・マーキングの効果
 最先端を行くためにはどこまでやる必要があるのだろうか
 願わくは、企業がターンブル・ガイダンスで求められている基本的な、定着した手続と
モニタリング活動を定着したら、そのシステムを継続的に改善して行く努力をするであろう。
 下記は、中小上場企業が、ターンブルの手続きに関して、他の会社との比較における評価をするための方針の概要と、確立することが出来る手順を示したものである。もっとやりたい者にはさわしい良いアイディアは他に沢山あるだろう。しかし、これをこコストと利益に基づいて行うことを目的とすべきである。

ベンチマーキングの目的のレベル
最低限レベル
  • 最低限の情報開示
  • 事業目標との緩やかな結びつき
  • 役員会における限定的な議論
  • コンプライアンスの実施としてのターンブル
  • ターンブルを守るのに必要なだけの、役員会でのレビュー
  • 役員自身に相当に依存したモニタリング
  • 従業員はほとんど関与しない
中間レベル
  • 事業を活発にするものとの連関
  • 従業員の適度な関与
  • リスク意識の訓練
  • 内部監査の積極的な受け入れ
  • 各管理職レベルのコミットメメント
  • ワークショップ技術の部分的な利用
  • 優れたリスクマネジメントと内部統制の原則の適用
  • 簡潔で直接的な早期警告メカニズム
最先端
  • 会社全体における事業目標の認識
  • 〝受容できる〞レベルへのリスクマネジメントへの注力
  • 内部監査機能が、リスクと統制の観点から助言の入手源となっている
  • その他の独立的なモニタリング活動
  • ターンブルが事業を促進させるものとして利用されている
  • リスクマネジメントと内部統制が、事業全体においてボキャブラリーの一部となっている
  • 会社全体での意見交換
9.3 避けるべき落とし穴
 ターンブルは、出来る限りスムーズに行う必要がある。会社が陥り易い重要な領域を下記する。
 最も大事なことは、不必要な官僚主義を行うことでは無く、必要に応じ、事業が頼りとしている基本的な仕事をしている人々のリスクマネジメント意識を向上させることである。既存のチャネルに沿ったリスクの伝達速度と、反応の早さと適切さに重点を置くことも必用である。多くの企業では、既存の手順を活用すること、そして既存のソフトウェアと報告システムを強化することが必要となるだろう。
 
潜在的な落とし穴
  • 早期警告システムが無い
  • 確認されたリスクが多すぎる
  • 手遅れになるまで放っておく
  • 官僚主義を助長する
  • 基本的な内部財務統制を無視する
  • 監査委員会のオーバーロード
  • 業務管理職のコミットメントが得られない
  • 高いリスクに適切に取り組んでいない
  • 優れたリスクマネジメントの原則を十分に重視していない
あなたが十分にやっているかどうかを計るには、業界のリスクマネジジメント・コースに人を送り、あなたの会社に似た会社のリスクメンジメントもしくは評価している人材とのつながりを作ることがしばしば有効である。

10. 結び  ターンブルはあなたの会社にどんな効果をもたらすか 
 これまで述べて来たプロセスを一通り経たからといって、勝利を宣言してはならない。ターンブルが想定しているのは「一回限りの」試みではない。あなたは事業を継続的に発展させるためにこのプロセスを利用すべきである。そうすれば次のような結果が得られるに違いない。
  • 企業の目標達成がより現実に近くなる
  • 重要なリスクが認識され、監視される
  • 〝意外な出来事〞が少なくなる
  • 計画の仕方が進歩する
  • 事業が向上する
  • 役員そして株主に取って、眠れない夜が少なくなる
(所感)
 繰り返しになりますが、「ターンブルの実行 ー 取締役会への説明」では、内部統制に支えられたリスクマネジメントを実行する主体は経営者・役員会であるということを明確に述べています。 今回の記述でも、最低限レベル の最後に「従業員はほとんど関与しない」と書いてあります。また、「監査委員会に負荷がかかり過ぎないように注意しなさい。リスクを確認し管理するのは監査委員会の責任ではない。それは経営陣の責任である。」
など、わが国の経営者は良く噛みしめるべきだと思います。
 潜在的な落とし穴 の中では、「早期警告システムが無い」ことを再度強調し、更に「確認されたリスクが多すぎる」は耳が痛いところです。本ガイダンスは終始財務の重要性にも触れていて「基本的な内部財務統制を無視する」との記述は、アメリカにおけるSOX法制定の遥か以前のことで,慧眼に敬服致します。
 
11月20日から4ヶ月に亙った「ターンブルの実行 取締役会への説明」についてのご紹介は今回で終ります。
 
 次は「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)をご紹介したいと思います。


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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑪  8 情報開示 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年3月11日月曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 早春の一日、列車で京都から亀岡を通りました。
○北野天満宮
 

○雪の保津峡
 

○亀岡は一面の雪でした。
 

○ターンブルの実行ー取締役会への説明
             ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

8.情報開示
 1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間についての、グループとしての情報開示の例を示す。これが標準の文言であると言う訳ででは無く、会社の状況に応じて作成することが望ましい。

中小企業のための内部統制報告書(ステートメント)の見本
 (1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間について)

内部監査
 当グループは,1999年9月末にロンドン証券取引所から上場企業に対して出された通達
 のコンバインド・コードに対する暫定的なアプローチを採用し、次の通り報告する。

内部監査のより広汎な観点
 当役員会は『経営監査 - コンバインド・コードに関する役員会のためのガイダンス』*1の実行に必要な手続を確立した。
 もしくは、
 当役員会は200年5月に『内部統制 - コンバインド・コードに関する役員会のためのガイダンス』*1の実行に必要な手続きを整備する予定である。
これは、役員会が合意した手続きが実行されるのに必要な時間を考慮に入れている。
 これには、変更の問題やグループの目標およびリスクの優先順位付け、ならびに主要なリスクそれぞれに対する統制戦略の決定とともに、全ての役員が出席するリスクマネジメントに関するワークショップの開催も含まれる。リスクマネジメント方針書も、事業リスクに関わるリスクへの役員会の姿勢を示し、全ての従業員に回付する。月次経営情報も、いくつかの主要リスク指標とともに改善する。*2
 当役員会は内部監査の必要性について検討したが、グループの規模から見て、現時点では必要であると判断出来ない。この決定については、来年、再検討する予定である。*3当役員会はリスクマネジメントおよび内部統制について一年を通して定期的に検討出来るように会議日程および議題を変更した。そして2000年12月31日締めの年度末報告の前にリスク及び統制に関する完全な評価を行うこととした。*4


*1:本段落では、このグループが1999年12月23日以降に終了する最初の会計期間において、翌会計期間なためのガイダンスを完全に遵守するのに必要な手続きの準備を整えることによって、証券取引所の実行計画を満たしたと仮定している。
*2:あるいは本段落では、このグループが証券取引所の実行計画のもとで手続を準備中である仮定している。会社がガイダンスを実行するのに必要な手続きを準備できていない時は、それをいつまでに行うかと言う期日を示さなければならない。何を行おうとするかについての議論は、付加的で自発的な情報開示である。ここでの説明は、誤解の恐れのある印象を与えることのない、意味のある、高度な情報を提供しようとするものである。(*1と*2は二者択一)
*3:この開示は義務付けられていないが、目下のところ内部監査が無いことを示すのに役立つであろう。しかし、もし内部監査機能を持っておらず、その必要性について見直したことが無い場合は、それを開示することが求められる。
*4:この開示は義務付けられていないが、役員会は翌年報告プロセスの見直しについて言及することが有効だと考えるかもしれない。


○内部財務監査
 当役員会は、内部監査のグループ全体のシステム及びその効果のレビューについて、責任を負う。このようなシステムは重大な虚偽表示(material misstatement)及び損失に対して合理的な(reasonable)保証を与えるものであり、絶対的な保証を与えるものでは無い。
 主要な手順は次の通りである。
 当役員会は、毎月財務成績の見込みと実際の比較を行う。○○ポンドを超える支出の申請の全てについて見直し、財務担当役員(financial director)は費用抑制の理由で外部委託された給与について見直す。役員は皆、それぞれの担当事業の財務成績について、役員会に対し責任を負う。この1年、外部監査人が調達システムについて特別な見直しを行ったので、この部分のコントロールは強化されている。
 役員会は1999年12月31日に終了する年度の財務に係る内部統制システムの有効性についてレビューを行い、年度末以降に実現した重要な進展を考慮に入れた。このレビューは1994年12月に発行された、役員のためのガイダンス『内部統制と財務報告』に示されている基準に基づいて行われた。*5

*5:内部統制に関する報告書は外部監査人によるレビューを受けることが条件であり、ターンブルはこの報告書のために役員会が健全、且つ適切に文書化されたサポートを期待している、ということに留意すべきである。
このグループがターンブル・ガイダンスをまだ完全に遵守していないことを踏まえ
て、ルッテマン・ガイダンスに基づく財務に係る内部統制の開示が求められる。
http://www.icaew.com/en/library/subject-gateways/corporate-governance/codes-and-reports/rutteman-report

(所感)
 我が国の企業では、情報の開示は必ずしも積極的にはなされません。情報の機微性を重視するあまり、記録を出来るだけ簡略化する傾向さえあると思われます。
 特にリスクマネジメントに関してはこの点を再考すべきだと痛感します。今回の記述もそう言った部分に関して参考になります。
 また、常に財務に関しても言及されています。経済産業省の「リスクファイナンス研究会報告書」で言っている「全社的な財務戦略の中で自社のリスクファイナンスの最適化を検討するためには、こうした(リスク管理)部門の知見と企業財務の観点を融合させることが重要である。」 にも相通ずるところがあり、我が意を得たりの思いがします。 
 
 下記のように、11月20日から4ヶ月に亙り「ターンブルの実行 取締役会への説明」についてご紹介して来ましたが、次回で終る予定です。その後は「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)をご紹介致したいと思っています。
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf

○ターンブルの実行 取締役会への説明 

 1. 何故ターンブルか        (11.20)
 2. 付加価値の付け方       (12.1 )
 3. いますぐにやること       (12.20)
 4. リスク               (1.1)(1.10)
 5. プロセスの定着         (1.20)(2.1)
 6. モニタリングと内部監査    (2.10) 
 7. 役員レベルで検討すべきこと (2.20)(3.1.)
 8. 情報開示             (3.10)
 9. その他の検討事項       (3.20予定)
 10. 結び  ターンブルはあなたの会社にどんな効果をもたらすか(3.20予定)


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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑩ 第一章 7-2・7-3 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年3月1日金曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 長崎シリーズその4です。

○孔子廟
 

○グラバー園から長崎港を望む


○元船町 唐船   
グラバー園のそば、長崎伝統芸能館(重要無形民俗文化財「長崎くんち」の資料館)にて
 

○ターンブルの実行ー取締役会への説明
                ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか 
 
 7.役員レベルで検討すべきこと

 7-2.役員会はどこで確信を得られるか

 中小企業のリスクマネジメントと内部統制に関する確信の根拠となりうるものを次に示す。


●確信の根拠
  • リスクマネジメントプロセスの役員会での見直し
  • 業績およびリスク指標に関する月次報告
  • 取締役(Maanaging Director)の意見
  • 管理職による確認
  • 早期警告メカニズム
  • 独立的なモニタリング活動  
  • 財務諸表の監査
  • 特定の研究・リスク見直し
  • 主要従業員の意見と確認
  • 業務担当役員の意見
  • 財務担当役員の意見
これらの根拠の効果は、以下の要素によって変わる。
  • プロセスが実施されている範囲
  • 役員までの伝達速度
  • 残余リスクの管理能力
  • 主要事業目標に対する重点
  • リスクか確認のタイミング
 
 コストと利益を検討することは、〝独立したモニタリング活動〞をどこまで使うかを決めるにあたって、中小企業にとっては特に大切になるだろう。

 確信の根源は、ラインの管理職から得られるであろう。内部監査、健康および安全、そして環境の監視チームは〝独立したモニタリング活動〞になり、会社がこれらの機能を持っていれば、通常は客観的な保証と助言のためのよい形態である。また役員会は求められる根拠を得るのに、事業リスクの確認のための有効な技術(1月20日 ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑥ 第一章 5 ○Deloitee & Toucheによる事業リスク確認のための有効な技術に関する調査〈1999年〉参照)を使うこともできる。例えば、役員会はCSA(Control Self Assessment)を使ったワークショッや、体系化された面談、もしくは円卓会議などで従業員の意見を纏めることが出来よう。

 役員たちは、年に一度の評価を行うとき、最初に確認された重要リスク、すべての新しいリスク、統制が満足に機能しているかどうか、そして彼等が考慮している確信の根拠のしるしを記載したペーパーを作ることが有用であると知るであろう。

7―3. 役員会は報告をレビューするとき何を考える必要があるか

 ターンブルは、管理職から役員会に提出される報告は、それぞれの担当領域に関連して、それらのリスクを管理する統制システムに関するバランスの取れた評価を提供するものであると言っている。重要な統制の失敗や弱点を見つけたら、それらが会社にもたらした、あるいはもたらしたであろう影響と、それを正すための行動について、報告書の中で述べるべきである。検討すべき有効な問題は下記のようなものである。
  • 報告書が新しい重要リスクを示すものかどうか
  • 前に確認したリスクが今もあてはまるかどうか
  • 手順に修正が必要かどうか
  • システムの監視を追加する必要があるかどうか
  • リスクマネジメント方針書をアップデートする必要があるかどうか
  • 変化への対応の時間を早める必要があるかどうか
  • 会社全体の情報伝達経路が有効であるかどうか、また修正を加える必要があるかどうか

 
●評価の頻度
 役員が現在の統制の状況を常に知っておくことを確実にするため、役員への報告は定期的に行われることが望ましい。これは実際、事業におけるすべての重要事項に取り組みがなされていることを確実なものとするのに必要な、機械的な評価プロセスなのである。

 重要な統制の失敗や弱点が発生した場合、責任を持っている管理職は、この問題を議論する役員会、もしくは任命された委員会に呼ばれるべきである。

(所感) 
 前回に引続き、経営資源や人材の不足、またノウハウの不足から、リスクマネジメントや内部統制の実践に苦労されている中小企業に対し、自社のリスクマネジメント・内部統制が確実に行われているかを確認する要件と、モニタリング・評価について、極めて現実的な解説が書かれています。必すや参考になるものと確信されます。

 また書きますが、わが国の関係者は「Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing」や、「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)

http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf
などをもっと実務の参考にして、「中小企業なりのリスクマネジメント・内部統制」を行って、企業の価値を高めるべきだと痛感します。



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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑨ 第一章 7-1 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年2月20日水曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 長崎シリーズその3です。

○日本二十六聖人殉教碑


 豊臣秀吉の禁教令により京都や大阪でとらえられた外国人宣教師6人と子供を含む日本人20名は長崎に送られ、慶長元年(1597)2月5日に、長崎西坂の地で処刑されました。
 このことは、長崎に滞在していたルイス・フロイス神父によりヨーロッパに伝えられ、ローマ教皇は26名の殉教者を聖人に列し、「日本二十六聖人」と称せられました。昭和36年、26聖人の殉教碑と資料を展示した記念館、記念聖堂が建てられました。

○長崎名物石畳

○中華街入口


○ターンブルの実行ー取締役会への説明
            ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか  
 7.役員レベルで検討すべきこと

 7-1.役員会はいつ、リスクメネジメントと内部統制について検討出来るか
 リスクマネジメント及び内部統制に重点をおいた役員会のスケジュールは、下記のようになる。ここでは12月を年度末とし、最初から全てをやろうとするのではなく、段階的な実施計画を想定している。

●リスクマネジメントと内部統制のための役員会スケジュール

1999年10月
  まだ行われていないならば、役員会に提出された初期段階の書類の検討、特に
  • 完了するべき主要リスク
  • 資源の配分
  • タイムテーブル
1999年12月
  ターンブル計画の進捗状況の検討、特に
  • ターンブル・ガイダンスの付録にある質問事項すべてに取組がなされているか。
  • リスクマネジメント方針書の文言が適切であるか。またその普及宣伝のための手配がなされているか。
  • 内部監査機能が必要かどうか(もしまだ存在しないならば)。もし必要でない場合には役員会は管理職から十分かつ客観的な保証を得ているかどうか。
  • すべての開示項目に適切に取り組んでいるか。
2000年2月
  リスクと統制について行われている業務の検討。実行計画に照らした、可能性のある重要リスクの確認、および内部統制に関する情報開示についての初期検討。
2000年3月
  年度末報告書の最終文言、およびこれに関わる財務に係る内部統制の効果についての役員会における再評価のための補助書類の検討。
2000年5月
リスクマネジメントおよび内部統制を一層向上させる手順についての検討、および目標と主要リスクお見直し(必要であればアップデート)。
  最も重要なリスクと問題を抱える部署への、資源の再配分。
2000年10月
  リスクマネジメントおよび内部統制の進捗状況を、内部監査の要否に関する毎年1度の見直しを含めて、さらに再検討する。
2001年2月
  年に一度の評価の検討(ターンブルの、効果の再評価手順に関する章を参照)。
2001年3月
  2000年12月の年度末報告書における、全ての情報開示の最終文言、およびこれに関わる役員会における再評価のための補助書類の検討会議。

 ターンブルは、毎年の評価に加えて、役員会が内部統制に関する報告を定期的に受け、再検討すべきであると述べている。

 主要なリスク指標と、モニタリング定着の成果は、役員会もしくは指名された委員会に対し継続的に報告されるべきで、それで役員会会長は、リスクマネジメントおよび内部統制の問題について役員会のたびごとに議論を進めることが出来る。他の委員会、例えば上級管理職および監査委員会などからの報告も、リスクと統制について議論する機会を提供する。
 年間の通常の役員会議事に付け加えられるのは、〝リスクと統制に関する問題〞かもしれない。定例会議で役員が質問するのに役立つのは次のような事柄である。
  • (明紀された)プロジェクトの規模から考えて、もしそれが上手くいっていない場合、どんな主要リスク指標が早期警告を発するように設定されているか。
  • 買収におけるデュー。ディリジェンス(債務の査定)の一環として、完全なリスク分析が行われているか。
  • 戦略実行の一環として、リスク分析が行われてきたか。もしそうなら、自分たちはどのようにリスクをマネジメントしているか。
  • (特定の分野で)確認された重要なリスクに応じたコントロールが行われているか。
  • 具体的な内部統制に関する事項が盛り込まれた年度末報告書および決算報告に、何か開示されている問題があるか。
  • (競争相手についてマスコミで報導された事件が)自分たちに影響するのを防止するために、どんなリスクマネジメントおよび内部統制の手続きを踏んでいるか。
中小企業の役員は、彼らが日ごろよく顔を合わせ、会社経営について〝手渡し〞の方法を採っており、しかしリスクマネジメントおよび内部統制の問題にお割ける管理職の人材は少ないことを考えた場合、この問題についてもっと頻繁に議論したいと思うだろう

(所感)
 中小企業や、中堅以下の大企業などの場合、経営資源や人材の不足、またノウハウの不足から、リスクマネジメントや内部統制の実行に苦労されているケースが多いと思われます。そのことを経営者が自覚していなければ「何をか言わんや。」ですが、心ある経営者で苦労をされている場合、本章の記述は身に沁みることと思います。
 本章の例示には異論がある方もあるかと思いますが、具体例を挙げて記述されていますので、必すや何らかの参考になるものと確信されます。
 次回の後半の記述にもご期待下さい。

 
 何回も書きますが、わが国の関係者は何故「Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing」や、「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf
などを、もっと実務の参考にしないのでしょうか。


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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑧ 第一章 6 ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~

2013年2月10日日曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。
 長崎シリーズその2です。

○原子爆弾の爆心地です。



 
○平和公園にある北村西望氏作平和祈念像です。


○浦上天主堂に残されている、原子爆弾による被災像です。

  

○ターンブルの実行ー取締役会への説明
          ~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか  
6.モニタリングと内部監査

●内部監査機能は何を貢献できるのか?

 役員会および上級管理職は、リスクマネジメントと内部統制が適切に機能していると納得している必要がある。ラインの管理職は、上級管理職および役員会に対し、会社のリスクマネジメントと内部統制の枠組みに関し確信を与えることに最重要責任を負っている。役員会は客観的な見方、つまりライン管理職からは独立した見方をしても良い。内部監査機能は、適切なレベルの資源を持ち、以下のことを行えなければならない。
 a) 役員会と管理職に対し、リスクマネジメントと内部統制の枠組みの適切さと有効性を客観的に保証する。
 b) リスクの確認とマネジメントのプロセス改善について、管理職を手助けする。
 c) リスクマネジメントと内部統制の枠組みを強化・向上させる役員会の責任を助ける。

 内部監査は会社に対し、次のことによって重要かつ価値ある貢献を行うことが出来る。
  • リスクマネジメント、特に内部統制システムの設計、実行、運営を巡る問題について助言を与える。
  • 業務上などの損失を制御し及び/若しくは回避にかかるコストを節約するチャンスを見つけることにより、効率的かつ効果的なリスクと統制のマネジメントを強化する。
  • 例えば統制に関する自己評価プログラムの実施や促進などにより、リスクと統制のコんセプトを推進する。
内部監査機能を導入する価値はあるのか?
  答えは、会社のおかれた状況によるであろう。もし内部監査機能が無ければ、ターンブル・ガイダンスでは、コンバインド・コードにおいて要求している〝折に触れて(from time to time)〞の監査を、毎年の要件と解釈する。従って役員会は毎年、見込まれるコストに対する事業利益の入念な見直しをして、内部監査のために事業計画を検討する必要がある。
 
 内部監査機能の利点は次のようなものである。
  • 優れたリスク確認、リスクマネジメントおよび内部統制の手順について、会社の全部門が価値ある助言を得ることが出来る。
  • 会社の色々な部門の活動をモニターしてもらい、客観的な保証を得るこことが出来る。
  • 役員会が内部統制の有効性を再評価するための材料作りに、支援を得ることが出来る。
もし既に内部統制機能がある場合、再配置する必要はあるだろうか?
 上級管理職および役員会は、その機能による会社への付加価値を検討し、何らかの変更を要するかどうかの基準を定める必要がある。

 変更を決める指標としては、
  • 内部監査部門が〝警察官〞のように見られていると言う古い考ええ方がある。
  • 現代的なビジネス・パートナーシップというやり方でなく、経営陣に対して何をなすべきか命令するという時代遅れのやり方をしている。
  • 内部監査が経営陣の信任を得ていない。
  • ビジネスに対する意識が低く、経営および人間関係に関して貧弱なスキルしか持たない不適格者である。
内部監査が自分の〝リスクの世界〞を持って、経営陣や従業員に対してそのリスクが何
であるかを言ったりするようなことはさせないのが肝要である。内部監査は、リスクの確認と、経営陣によるリスクの評価が客観的なものであることを保証し、効果的なリスクマネジメント・プロセスと内部統制を奨励するということにおいて、業務担当の管理職および従業員と共に有効に仕事をすることが出来る。

 もし内部監査機能を持つのに十分な資源が無い場合はどうするか?
 ターンブルは、会社のリスクマネジメントの継続的な有効性を監視するプロセスを作る必要を強調している。これは内部監査機能がないところであっても、当てはまる。

 役員会においては、特に小企業の場合、内部監査機能を持たないという決定をするかもしれない。このような状況の場合、役員会は次のようなことを自問してみるべきである。
  • 定期的に役員会に提出している情報の質を上げることが出来るか。
  • ハイリスクな領域において特定の仕事をする外部監査人と、意見を一致させることが出来るか。
  • 主要部門もしくは業務単位を担当する者に、役員会に定期的に出席させ、担当事業の運営およびリスクマネジメントについて責任を持ち、質問に応え答えるよう求めることが出来るか
  • 役員会、もしくは経営委員会の定例議事を変更し、リスクおよび統制に継続的にもっと力を注げるようにすることが出来るか。
  • 主要な従業員による、会社の方針と行動規範が守られていることの確認をもっと活用することが出来るか。
  • ターンブルが〝1回限り〞のものではないことを確実にするために、もっと何かをすることが出来るか。例えば、統制の戦略が継続しているかどうか。事業目標に対するリスクが適切に処理されているかということについて、役員がもっと実務部隊の相談に乗るなど。
  • 役員が〝頂上を目指して〞モニタリングにおける役割をもっと果たすことが出来るか。
ターンブルは内部監査機能が無い場合、役員会は、他のモニタリングプロセスが十分かつ客観的な確約得与えているかどうか評価する必要があると述べている。

(所感)
  アメリカにおいては、1992年のCOSO報告書「Internal Control Framework」が内部統制の重要性を顕在化させました。2002年7月にSOX法(Sarbanes-Oxley Act)が制定されました。我が国では2006年6月に金融商品取引法ⅧJ-SOX法)がSOX法比4年遅れで成立しました。以降内部統制に支えられるリスクマンジメントが我が国企業でも重要な問題になりました。
 更に2004年9月の COSO2報告書「Enterprise Risk Management Framework」により、企業経営において、内部統制によって支えられる全社的リスクマネジメントが強調されています。然し、わが国の企業でこれらのことが有効に機能しているのか、私は疑問を持っています。 参考書も、どちらかと言えば各論的・技術的な記述が多く、企業経営者が理解するには不十分であるように思われます。
 内部監査とリスクマネジメント、内部統制に関しては、昨年5月10日の『藤井範彰著「内部監査の課題解決法」を読んで』の記事で、監査法人に所属され、企業の内部監査・内部統制・リスク管理のコンサルに従事された、藤井さんの実務経験に基づく我が国の内部監査の問題点をご紹介致しました。
 Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing は、内部監査について極めて具体的に在り方・問題点を指摘しています。これが公表された1999年はSOX法も、COSO2報告書もまだ無かった時期ですが、今でも大変参考になると思います。
 何回も書きますが、わが国の関係者は何故 Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing や、次にご紹介しようと思っている、 
「A New Risk Management Standard」(日本語版が公表されています)
http://www.theirm.org/publications/documents/Japanese_Risk_Management_Standard_031125.pdf
などを、もっと実務の参考にしないのか不思議だと思います。

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ターンブルの実行ー取締役会への説明 ⑦ 第一章 5-(2)

2013年2月1日金曜日 | ラベル: |

 引続き「ターンブルの実行 取締役会への説明(Implementing Turnbull A Boardroom Briefing)」を辿って行きます。

 私はご縁があってオペラの団体・公益財団法人東京二期会の監事ですが、長崎のグラバー園にはオペラ「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」ゆかりの像があります。
○グラバー園の由縁、貿易商グラバー氏の旧邸です。

 
○長崎を舞台にしたオペラ「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」を作曲したジャコモ・プッチーニの像です。



○マダム・バタフライを演じて世界的に名をあげた三浦環の像です。
 


  
○ターンブルの実行ー取締役会への説明
~ Implementing Turnbull  A Boardroom Briefing ~
http://www.icaew.com/~/media/Files/Technical/Research-and-academics/publications-and-projects/corporate-governance%20publications/implementing-turnbull.pdf

 以下は、記述の抜粋です。

○第1章 なぜターンブルか  
 5.プロセスを定着させる。

●財務に係る内部統制については、どうだろうか?
 財務に係る内部統制は極めて重要であって、役員および上級管理職が正しい意志決定をすることが出来るよう、十分に質の高い情報が彼等に提供されなければならない。考慮されるべき重要事項として、次のようなことが必要である。
  • きちんとした会計記録
  • 定期的な調整
  • あやふやな会計処理の一掃と,異常事項の見直し
  • 〝真実かつ公正な〞年度末会計と,信用出来る内部報告書
  • 不正リスクとの闘い
  • 資産を不正使用或いは損失から守ること
  • デリバティブや金融商品による損失を回避すること
  • 会社内外からの信用出来る経営情報
  • 確認し管理すべき責任」
財務に係る内部統制は、事業リスクの幅広い見方を支える、優れたリスクマネジメン
トの主要部分をなす。

 
優れたリスクマネジメントと内部統制の多くが既に実施されているということは良くある。既に機能しているものを取換えてはいけない。
 
 中小企業の役員が、この領域に関して問うことが出来るであろう質問は次の通りである。
  • 従業員が事業目標と、自分たちの関係するリスクについて十分に理解しているか
  • 潜在的な問題の報告のスピードを上げるにはどうしたら良いか
  • 主要な財務、業務およびコンプライアンスの統制、例えば調整(reconciliations)などが十分にアップデートされているか
  • 世間に対してまずいことになりそうな事業分野はないか。もしあれば、どうすれば改善出来るか。
(事例)
 製造業の会社で、会社の規模から経営陣はフルタイムの内部監査は必要でないと考えていた。顧客の数は少なく、競争相手が製造コストの有利な海外に製造設備を移すにつれて、この会社は市場シェアを失ってきていた。経営陣は、上級および中間管理職に対し、リスクの確認および認識プログラムを始めることを決定した。プログラムは身内の偏見を排除し、訓練をやり通す力を与えるため外部のアドバイザーによって行われた。
 プログラムを開始した時の経営陣の懸念は、どうやったらプロジェクトが組織に確実に価値を付加出来るものになるかということだった。プログラムが単に届け出とか規則に従うという形式だけのものに見られてはならないと願っていた。

 プログラムは3段階に分けられた。
第一段階 - 平役員も含めた役員会との最初のミーティング。これは会社の戦略を明確にし、戦略におけるリスクを確認するため。
第二段階 - 中間管理職とマンツーマンで、業務、財務そしてITに関するリスクと、事  
第三段階 - 在庫の注文と使用、在庫記録と経営情報の準備を含む主要手順のテスト

 結果、役員会でのディスカッションは、会社の戦略に関する大事な議論を生み、これが戦略の明確化と、従業員への戦略プレゼンテーションへと繋がっていった。このディスカッションによって、多くのリスクへのアプローチが正式なものとなった。そのリスクは、単体ではどれも会社に取って新しいものではなかったが、それらをマネジメントしようとする方法はこれまで開発されていなかった。特別な二つの例は、海外における調達と製造の機会を調査する役割を作ったことと、重要顧客関係に関して、マーケティング部門によるその評価への関与を含めて、役員会に報告することとした、というものである。

 
(所感)
 私の最も力を入れている分野は、「リスクとキャッシュフロー」です。
 「財務に係る内部統制は、事業リスクの幅広い見方を支える、優れたリスクマネジメントの主要部分をなす。」という記述は、我が意を得たりです。我が国のリスクマネジメントの解説書で財務との関連に触れられているものは殆どありません。BCPにおいても、中小企業庁の指針以外は、財務についてはあまり重視されていないように思われます。何回も書きますが、わが国のリスクマネジメントの解説書とは一味違っています。

また、「優れたリスクマネジメントと内部統制の多くが既に実施されているということは良くある。既に機能しているものを取換えてはいけない。」も実務上痛感することで、至言です。

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