「政府の東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の最終報告書(1) ~ 東京電力の問題点について ~

2012年8月1日水曜日 | ラベル: |

2011年12月26日に公表された畑村洋太郎先生・柳田邦男氏が中心の「政府の東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」中間報告書の最も重要なテーマは「想定外」の問題だと2012年1月20日に書きました。 同報告書の「最終報告書」が7月23日に公表され、私は主として同報告書の「Ⅳ、総括と提言」「委員長所感」を読んで感想を書きました。長くなりますので分けて書きます。

 ロンドンオリンピックが始まりました。私は1995年に1度だけロンドンに出張しました。
 ○ハイドパークの朝です。

 ○私はバラが趣味なので、出張の日程で半日だけあった自由時間に、キュー・ガーデン(Royal Botanic Gardens, Kew)へ行って来ました。大温室です。

○「政府の東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の最終報告書(1) ~東京電力の問題点について~ 

「Ⅳ、総括と提言」の書き出しの記述です。
『今回の事故は、直接的には地震・津波という自然現象に起因するものであるが、当委員会による調査・検証の結果、今回のような極めて深刻かつ大規模な事故となった背景には、事前の事故防止策・防災対策、事故発生後の発電所における現場対処、発電所外における被害拡大防止策について様々な問題点が複合的に存在したことが明らかになった。例えば、事前の事故防止策・防災対策においては、東京電力や原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)等の津波対策・シビアアクシデント対策が不十分であり、大規模な複合災害への備えにも不備があり、格納容器が破損して大量の放射性物質が発電所外に放出されることを想定した防災対策もとられていなかった。東京電力の事故発生後の発電所における現場対処にも不手際が認められ、政府や地方自治体の発電所外における被害拡大防止策にも、モニタリング、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用、住民に対する避難指示、被ばくへの対応、国内外への情報提供などの様々な場面において、被災者の立場に立った対応が十分なされないなどの問題点が認められた。加えて、政府の危機管理態勢の問題点も浮かび上がった。』 
我が国の原子炉施設の安全確保のための対策の問題点は、地震・津波等の外的事象によるリスクが重要であるとの指摘があったにもかかわらず、実際の対策に十分反映されなかった。(中略)また原子力発電の安全を確保するためには、単に発生した個別問題への対応にとどまらず、国内外の最新の知見はもとより、国際的な安全規制や核セキュリティ等の動向にも留意しつつ、国内規制を最新・最善のものに改訂する努力を不断に継続する必要がある。』

○東京電力に関する問題点

a 危機対応能力の脆弱性
b 専門職掌別の縦割り組織の問題点
c 過酷な事態を想定した教育・訓練の欠如
d 事故原因究明への熱意の不足
e より高い安全文化の構築が必要

報告書は、東京電力に関する分析の項目で、上記の項目を指摘しています。指摘の内容は報告書をお読み下さい。さらに、
『東京電力の対応を追ってみると、同社には原発プラントに致命的な打撃を与える恐れのある大津波に対する緊迫感と想像力が欠けていたと言わざるを得ない。そして、そのことが深刻な原発事故を生じさせ、また、被害の拡大を防ぐ対策が不十分であったことの重要な背景要因の一つであったと言えるであろう。』
「想定外」問題に対する東京電力の危機感の希薄さに関しては
『そもそも「想定外」という言葉には、大別すると二つの意味がある。一つは、最先端の学術的な知見をもってしても予測できなかった事象が起きた場合であり、もう一つは、制度や建築物を作ったり、自然災害の発生を予測したりする場合に、予想されるあらゆる事態に対応できるようにするには財源等の制約から無理があるため、現実的な判断により発生確率の低い事象については除外するという線引きをしていたところ、線引きした範囲を大きく超える事象が起きたという場合である。今回の大津波の発生は、この10 年余りの地震学の進展と防災行政の経緯を調べてると、後者であったことが分かる
(中略)大きな地震が発生した記録のない領域については対象から外す、というものだった。「発生の可能性に関する十分な知見が得られていない(=科学的な研究が未成熟)」というのが想定外の理由であった。』
と言っています。

○ 東京電力の在り方に関する提言(最終報告Ⅵ1(6)e)では、
東京電力は、原子力発電所の安全性に一義的な責任を負う事業者として、国民に対して重大な社会的責任を負っているが、津波を始め、自然災害によって炉心が重大な損傷を受ける事態に至る事故の対策が不十分であり、福島第一原発が設計基準を超える津波に襲われるリスクについても、結果として十分な対応を講じていなかった。組織的に見ても、危機対応能力に脆弱な面があったこと、事故対応に当たって縦割り組織の問題が見受けられたこと、過酷な事態を想定した教育・訓練が不十分であったこと、事故原因究明への熱意が十分感じられないことなどの多くの問題が認められた。東京電力は、当委員会の指摘を真摯に受け止めて、これらの問題点を解消し、より高いレベルの安全文化を全社的に構築するよう、更に努力すべきである。』
としています。

 私のブログでも屡々書いていますように、今回の福島第一原子力発電所の事故における東京電力の対応には大いに問題があったと思います。然し、畑村洋太郎委員長は、「委員長所感」の中で、
『中間報告及び本最終報告で述べたとおり、個々の事象への対処には不適切なものがあったことは否めないが、他方で、現場作業に当たった関係者の懸命の努力があったことも是非ここに記しておきたい。』
と触れておられます。

(所感)
 私は、リスクマネジメントに携わる者として、また元銀行員としてリスクファイナンスの視点から、今回の福島原子力発電所の事故発生以来、新聞や諸雑誌の記事を読み、テレビの報道を見、4つの事故報告書を読み、事態の推移をフォローして来ました。
 その結果は、折々のブログに書いておりますが、結果としてわが国のトップ企業と評価されていた東京電力の在り方について非常な違和感と疑問を持ちました。
 6月20日(水)に公表された東京電力㈱の「福島原子力事故調査委員会」による「福島原子力事故調査報告書」は、自社の損害賠償責任のことを考えているのかも知れませんがこの期に及んでも事故の原因はあくまでも想定外の津波の結果だとしていて、想定出来なかったことに対する深刻な反省・責任の自覚は皆無です。まるで他人事で、他の3つの報告書の内容と大きく違っています。

 私は、戦争を知っている世代として、戦後我が国で「日本が第2次世界大戦で敗戦に至った経緯の分析と反省」が十分に行われず、その結果が現在のわが国の社会や企業に禍根を残していることを非常に遺憾に思っています。福島第一原子力発電所事故の調査がその轍を踏まないようにしなければなりません。
 畑村洋太郎委員長は、今回の報告書の「委員長所感」の最後を、『我々は、この事故を通じて学んだ事柄を今後の社会運営に生かさなければならない。この事故は自然が人間の考えに欠落があることを教えてくれたものと受け止め、この事故を永遠に忘れることなく、教訓を学び続けなければならない。』という言葉で結んでおられます。全く同感です。

 7月31日に国の資本が東京電力に注入され、東京電力は実質国有化されました。7月30日の日本経済新聞2面「東電再建へ7施策」の報道では、施策の最初が職員の「意識改革」です。これが原点です。米倉経団連会長は「国営では上手く行かない。」と仰せられていますがあのままではこうは行かなかったと思います。新経営陣のガバナンスに期待します。東電の社員の方々は辛いでしょうが、率直に今までの在り方を反省して教訓を活かす努力をして頂きたいと切にお願い申し上げます。

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QC(品質管理)とリスクマネジメント② 〜 リスクマネジメントの実務における経営的視点の欠如 〜

2012年7月20日金曜日 | ラベル: |

私は1961年に生産性本部の中小企業コンサルタント指導者養成講座に1年間参加し,石川馨教授の「SQC(統計的品質管理)」の講義を受講しました。その経験から、1年前の7月1日の記事で「QC(品質管理)とリスクマネジメント」について書きました。
 「QC(品質管理)とリスクマネジメント」、特に「リスクマネジメントの実務における経営的視点の欠如」について「QC(品質管理)の普及のプロセス」と比較して再度考えてみたいと思います。

 2009年に中小企業庁のBCP普及セミナーで高知市へ出張しました。
○早春の桂浜です。

 
○桂浜の小高い丘の上には阪本龍馬の銅像がそそり立っています。



○QC(品質管理)とリスクマネジメント 
          〜リスクマネジメントの実務における経営的視点の欠如〜

 東日本大震災の東京電力福島原子力発電所における事故、みずほ銀行のシステム障害に関する報告書を読みますと、「原子力の災害対応に当たる関係機関や関係者、原子力発電所の管理・運営に当たる人々の間で、全体像を俯瞰する視点が希薄であったことは否めない」と書かれています。また、みずほ銀行のシステム障害特別調査委員会の報告書でも「一連の障害を通じて、システム全体を俯瞰でき、かつ、多重障害の陣頭指揮を執り得るマネジメントの人材も不足していた」ことが指摘しされています。何れのケースでも「事故や災害発生時に企業全体を見ている人がいなかった」ということだと思います。「木を見て森を見ず」といいますが、部分・部分の対応ばかりに追われて、企業全体としていかに対応するかが疎かになっていたと指摘されています。
 私は、リスクマネジメント・BCMの実務において、企業全体を見るという視点が欠如しているのではないかと思います。私はこれを「経営的視点の欠如」と言いたいのです。
 経営者は、リスクマネジメントの技術的な部分は担当部門が保有するとしても、経営に重大な影響を及ぼすリスクをトータルに認識し評価出来るかが問題です。さらに、ERMの土台をなす、「従来型のリスクマネジメント」が確実に実行されていることを認識・評価出来ていなければなりません。
 経営者に危機意識があれば経営者自らがリーダーシップを取って対処することになる筈です。後述する戦後の,品質管理導入時の精神に立ち帰ることが必要です。当時はQCは経営の問題であるという自覚がありました。
 また、リスクマネジメントでは、中心となって推進する団体、リーダーがありません。QC導入時には,財団法人日本科学技術連盟(会長は初代経済団体連合会会長石川一郎氏)が中心になって推進されました。今は企業はバラバラにリスクマネジメントを推進し、コンサルタントの業務は個々のリスク対応の技術的部分が中心で、経営問題としての対応は少ないように思われます。
 学問の世界で見ても,コーポレート・ガバナンス論,監査論(外部、内部、監査役),リスクマネジメント論など専門分野が多岐に亙るので,内部統制,リスクマネジメントを企業に導入するについて指導的な役割を果す経営学者の存在も見つかりません。      
 
 昨年7月1日の記事でも触れていますが、財団法人日本科学技術連盟創立50年史の記述によれば、「我が国が第二次世界大戦に敗北した翌年の1946年11月に,連合郡最高司令部(GHQ)の担当者が統計的品質管理の導入を勧告した。」とされています。
 QC(品質管理)導入の中心人物だった東京大学石川馨教授らは、当初からわが国に適したQC手法の確立という思想を持っておられました。品質管理の普及活動は経営層・管理層・現場の3本立てで行われ、現場のQCサークル活動は“カイゼン”の名のもとに海外でも取り入れられました。
 統計的品質管理の本質を経営者が理解するのは容易でした。なぜならば、品質管理は主として製造部門の問題であって,理論は単純であり,製造担当役員を頂点とする製造部門が推進すればよく、縦割りの日本企業においては,きわめてやり易いことであったと思います。
 しかし、QC普及の当事者の自覚と努力により、生産部門の管理手法であった統計的品質管理は,我が国で独自の発展を遂げ,経営管理手法としての総合的品質管理(Total Quality control :TQC) へと発展して行き、その後のわが国の経済発展に大きく寄与しました。
 前記石川馨教授の弟さんである石川六郎氏が1978年2月に鹿島建設の社長に就任された際、「大企業病がはびこっている社内の精神作興を計るためにTQCを導入した。」と日本経済新聞の私の履歴書に書いておられます。
 管理手法は、経営の根幹をなすものであって、個々のテクニックの問題では無いと言うことを、QC導入当時の学者や経営者はしっかりと認識しておられたのだと思います。



 昭和29年に書かれ、昭和39年に改定された、石川馨先生の「新編 品質管理入門」の前書きには、「QCは学問や勉強では無く実行するのみである。(中略)本書に書かれていることを実行して、企業の体質改善をしていただきたい。」と書かれています。 
 第1章新しい品質管理とは 1.1品質管理とは の書き出しは
「あなたの会社の製品についての責任は、経営者にある。」です。
 さらに、 1.1.1品質管理の定義 
 「新しい品質管理とは、経営に関する1つの新しい考え方,見方である。
新しい品質管理とは、もっとも経済的に、もっとも役に立つ、しかも買手が満足して買ってくれる品質の製品を開発し,設計し、生産し、販売し、サービスすることである。この目的を達成するために(中略)会社全体として総てが協力して、各部門が同じように努力しやすい組織を作り上げ、標準化を行い、これを確実に実行していくことが必要である。」
 と記述されています。

 私は約25年間リスクマネジメントに関ってきて痛感することは、中小企業のみならず、大企業でも(なおさら)リスクマネジメントの実行に当たり、技術論が先行し、経営的視点(全体像を俯瞰する視点とも言えます)が不足していることです。これは現在多くの経営者にリスクマネジメントの本質に対する理解が不足している結果であり、官庁・大企業の人事政策が、高度の専門家を官庁・大企業内で育成するシステムになっていないことが原因です。わが国企業のリスクマネジメントの在り方を根本的に再検討すべきだと思います。
 更に、東日本大震災の教訓についてBCPの実務家と議論をした際、わが国のような企業組織の場合は、事故・災害発生後速やかに会社の状況を把握し、経営判断の基礎になるデータを作成するソフトがあればという議論になりました。まだ世の中には無いと思いますし、ソフトを作成するのは容易ではありませんが、東日本大震災に対する企業の対応に関する報告書の指摘に対し、規模が大きく、連鎖の複雑な大企業の場合には各社固有の状況を踏まえて経営者自らの経営判断をするのに役立つデータが直ちに提供出来るかが問題です。 企業が被災時にとる実際の対処について、或いは平素PDCAサイクルを回すについて、わが国企業の現実を直視した実務の体制を考えるべきではないでしょうか。
 リスク対策COM.7.25号にも本稿と同じく「リスクマネジメントの実践における経営的視点の欠如」について書いています。もうすぐ発売されますのでご興味があったら読んで下さい。

○参考文献:一橋大学 佐々木聡教授 『戦後日本のマネジメント手法の導入』
        『一橋ビジネス レビュー』(東洋経済新報社)2002年秋号
        :財団法人日本科学技術連盟 「創立50年史」
        http://www.juse.or.jp/about/pdf/history/history_60.pdf

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国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書について

2012年7月10日火曜日 | ラベル: |

7月5日(木)国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書が公表されました。6日朝の各紙が大きく報道しています。
 同報告書は、『この事故が「人災」であることはあきらかで、歴代および当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人の命と社会を守るという責任感の欠如があった。』と断定しています。ここがこの報告書の最大のポイントだと思いました。以下は私の感想です。
                                              *アンダーラインは筆者

 1987年高松に出張しました。当時の高松空港は滑走路が短く、YS11が就航していました。YS11は低空を飛ぶので下界が良く見えました。
○神奈川県の真鶴半島上空です。今が海のシーズンです。

○高松市の栗林公園です。

○国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書(要約版)

1.「はじめに」の記述
『原子力は人類が獲得した最も強力な圧倒的エネルギーであるだけでなく、巨大で複雑なシステムであり、その扱いは極めて高い専門性、運転と管理の能力が求められる。(中略)世界の原子力に関わる規制当局は、あらゆる事故や災害から国民と環境を守るという基本姿勢を持ち、事業者は設備と運転の安全性の向上を実現すべく、持続的な進化を続けてきた。
 日本でも大小さまざまな原子力発電所の事故があった。多くの場合、対応は不透明であり、組織的な隠ぺいも行われた。日本政府は電力10社の頂点にある東京電力とともに、原子力は安全であり日本では事故などは起こらないとして原子力を推進してきた。
 そして、日本の原発は、いわば無防備のまま3.11の日を迎えることとなった。

 想定できたはずの事故がなぜ起こったのか。その根本的な原因は、日本が高度経済成長を遂げられたころまで遡る。政界、官界、財界が一体となり、国策として共通の目標に向かって進む中、複雑に絡まった「規制の虜(Regulatory Capture)」が生まれた。そこには、ほぼ50年にわたる一党支配と、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった、官と財の際立った組織構造と、それを当然と考える日本人の「思いこみ(マインド セット)」があった。経済成長に伴い「自信」は次第に「おごり,慢心」に変わり始めた。入社や年次で上り詰める「単線路線のエリート」たちにとって前例を踏襲すること、組織の利益を守ることは、重要な使命となった。この使命は、国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向を知りながら、それらに目を向けず安全対策は先送りされた。(中略)
 この事故が「人災」であることは明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人の命と社会を守るという責任感の欠如があった。』
2.津波対策 
東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」では、津波への備えについて、国の審査・確認を得て行っていたこと。国の調査研究機関である地震調査研究推進本部の意見を参考にしていたこと。貞観津波に対する対策等も終始土木学会の「津波評価技術」に基づき評価することで一貫していと述べています。
 国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書では、
『平成18年(2006年)には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は東電が対応を先伸ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。(中略)この全交流電源喪失の可能性は考えなくても良いとの理由を事業者に作文させていたことが判明した。また、当委員会の参考人質疑で、安全委員会が深層防護「原子力施設の安全対策を多段的に設ける考え方。IAEA(国際原子力機構)では5割まで考慮されている。」について、日本は5割のうちの3割しか対応できていないことを認識しながら、黙認してきたことも判明した。
 規制当局は海外からの知見の導入にも消極的であった。(中略)防衛に関わる機器情報に配慮しつつ、必要な部分を電気事業者に伝え、対策を要求していれば、今回の事故は防げた可能性がある。

このように今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣がそれぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、お安全対策が取られないまま3.11を迎えたことで発生したものであった。
 当委員会の調査によれば、東電は。新たな知見に基づく規制が導入されると、既設炉の稼働率に深刻な影響が生ずるほか、安全性に対する過去の主張を維持できず、訴訟などで不利になると言った恐れを抱いており、それを回避したいという動機から、安全対策の規制化に強く反対し、電気事業連合会を介して規制当局に働きかけていた。(後略)』
と記述されています。

東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」の(16.事故原因と対策 <事故原因>) においては、
想定した津波高さを上回る津波の発生までは発想することができず,事故の発生そのものを防ぐことができなかった。このように津波想定については結果的に甘さがあったと言わざるを得ず,津波に対する備えが不え十分であったことが今回の事故の根本的な原因である。
とまるで人ごとのように記述されています。

(所感)
 国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書は、646ページに及ぶ膨大なものです。各方面に亙る報告の内容は貴重なものですが、私は今回要約版を読んだ感想を申し上げます。
 何よりも印象的なのは、6月20日公表の東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」の内容との大きな差異です。
 東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」が事故の責任の回避・弁明に終始しているのに対し、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書は、
『この事故が「人災」であることは明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして事業者である東京電力による、人の命と社会を守るという責任感の欠如があった。
と断定しています。
 東京電力㈱は『想定した津波高さを上回る津波の発生までは発想することができず,』と言っていますが、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書は
『福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は東電が対応を先伸ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。』
と明記しています。
 更に、同報告書は「東京電力㈱のリスクマネジメントの考え方の歪み」を指摘しています。
 『東電はシビアアクシデントによって周辺住民の健康等に被害を与えること自体をリスクとして捉えるのではなく、シビアアクシデント対策を立てるに当たって、既設炉を停止したり、訴訟上不利になったりすることを経営上のリスクとして捉えていた。
 これは極めて重大な指摘だと思います。リスクマネジメントの実践に際し、色々な事象から、将来起こるであろうリスクを想定し評価する場合、想定リスクの内容は当事者によって大きく変わってきます。
 私は、ずっと東京電力㈱を筆頭とする原子力発電の事業者は、原子力発電所の事故の恐ろしさを十分自覚していて、然し表向きは安全だと主張しているのだと信じていました。リスクの認識・評価はリスクマネジメントの基本です。もし国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書の指摘が事実ならば、東京電力㈱のリスクの評価はリスクマネジメントの関係者として驚き以外の何物でもありません。
 1月20日のブログに、『2011年12月26日に公表された「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」中間報告書の最も重要なテーマは「想定外」の問題だと思いました。』と書きました。同報告書は「想定外」に関して、 
『「想定する」とは、考える範囲と考えない範囲を決め、境界を設定することである。人間は物事を考えるとき、考える範囲を決めないときちんとものを考えることができない。そこで、物事を考えようとするとき、どの範囲までを考えることにするかという境界を設定する。この境界を決めた後は、その境界の内部について詳細に考えを進め、考えを作り上げていく。
 それでは、境界はどのようにして設定されるのであろうか。境界は様々な制約条件の影響を受けて定まる。経済的な制約はもとより、社会的制約、歴史的制約、地域的制約等の様々な制約があり、その制約を満たすように境界が設定されていく。これらの制約は、明示的に示されているものばかりではない。どこにも文言として明示はされていない、関係者間の暗黙の前提という形をとる制約も存在するということに注意が必要である。一方、境界の外側については「考えない」と決めたことになるので、考えなくなる。いったん想定が行われると、どのような制約の下にその境界が作られたのかが消えてしまう。ことが起こった後で見えるのは、この想定と想定外との境界だけである。境界がどのようにして決まったかを明らかにしなければ、事故原因の真の要因の摘出はできない。
と言われていますが、事故原因の根本は「東京電力㈱のリスクマネジメントの考え方の歪み」だったのだと思いました。
 ピーター・バーンスタイン著「リスク」(日経ビジネス文庫)の原題は「AGAINST THE GOODS (神々への挑戦)」です。この本の「はじめに」に、
「未来を現在の統制下に置くためにはどうすべきか。リスクをどのように理解し、またどのように計測し、その結果をどのようにウエート付けるかを示すことにより、リスクを許容するという行為を今日の西側社会を動かす基本的な触媒行為に変えていった。
 ギリシャ神話に出てくるプロメティウスが神に挑戦し、火を求めて暗闇に明かりをもたらしたように、未来という存在を敵から機会へと変えた。
 将来に何が生起し得るかを定義し、代替案の中からある行為を選択しうる能力こそが現代社会の中核に存在すべきものである。リスクマネジメントによって多岐にわたる意思決定問題についての指針が与えられることになる。」
と書いてあります。
 西側の社会では、多くの人々は神を信じているので、「リスクを想定すると言うことは、プロメティウスが神に挑戦し、火を求めて暗闇に明かりをもたらしたことに匹敵する大変なこと(AGAINST THE GOODS )だ。」という認識があるのだと思います。前記のように、 「原子力は人類が獲得した最も強力な圧倒的エネルギーであるだけでなく、巨大で複雑なシステムであり、その扱いは極めて高い専門性、運転と管理の能力が求められる。(中略)世界の原子力に関わる規制当局は、あらゆる事故や災害から国民と環境を守るという基本姿勢を持ち、事業者は設備と運転の安全性の向上を実現すべく、持続的な進化を続けてきた。」にも拘わらず、我が国の規制当局、そして事業者である東電の経営陣が自己の組織に都合の良い判断を行い「シビアアクシデント対策を立てるに当たって、既設炉を停止したり、訴訟上不利になったりすることを経営上のリスクとして捉えていて、津波に対する原子力発電所の真のリスクを正しく想定していなかった。」ことは、将に神をも恐れぬ思い上がったリスク想定であったと思います。
 しかも、東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」が、依然本件事故は想定外のことであったと主張していて、深刻な反省が無いことは非常に遺憾なことだと思います。わが国のリーディングカンパニーとされ、経団連会長も輩出した東京電力㈱の現状と将来は将に暗澹たるものがあります。
 東京電力㈱は、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」中間報告書の提言を真摯に受け止め、新経営陣の下で今回の事故原因の真の要因の摘出に努力すべきだと思います

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東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」について

2012年7月1日日曜日 | ラベル: |

6月27日(水)に東京電力㈱の株主総会が開かれ、東京電力㈱の実質国有化が決まりました。しかし、原子力発電所の再稼働の見通し、廃炉費用の見通し、除染費用の見通し、原子力損害賠償総額・賠償事務費用の見通しは何れも不明のまま、発電と送電の分離問題、発電事業者の参入問題、企業体質の改善問題等も先送りのままの実質国有化なので、前途は暗澹たるものがあると思います。
 6月20日(水)には東京電力㈱の「福島原子力事故調査委員会」による「福島原子力事故調査報告書」が公表されました。
 概要版44ページ、概要版別添26ページ、正誤表1ページ、本編373ページ、別紙①11ページ、別紙②155ページ、添付資料567ページ、平成23 年12 月2 日の中間報告書からの主な変更点について54ページ,正誤表27ページ合計1,258ページの極めて膨大な報告書です。私は主に概要版を読んでこの感想を書きました。

 今回は九州の唐津市の景色です。佐賀県の北部にあり、風光明媚、唐津焼も有名です。
 唐津市の西隣りが、九州電力・玄海原子力発電所のある玄海町です。
○唐津(舞鶴)城です。藩主小笠原氏の居城でした。
 天守閣からの大パノラマが素敵です。 

○虹の松原 
 全長5km、幅1kmにわたって続く松は、約100万本と言われています。
 三保の松原、気比の松原とともに日本三大松原の一つに数えられ、国の特別名勝に指定されています。有明海は干潟なので、佐賀市からは唐津に海水浴に行きます。


 ○東京電力㈱の「福島原子力事故調査報告書」概要版の抜粋
                                            *アンダーラインは筆者

1.本報告書の目的
 福島第一原子力発電所(以下,「福島第一」)の事故について,これまでに明らかとなった事実や解析結果等に基づき原因を究明し,原子力発電所の安全性向上に寄与するため,必要な対策を提案すること。
このため,同様の事態を再び招かぬよう,現に生起した事象を設備や運用の改善につなげていくことが重要であるとの観点から,炉心損傷の未然防止に関する課題を中心に検討した。

2.福島原子力事故の概要
 平成23年3月11日,福島第一では,1 号機~3号機は運転中,4号機~6号機は定期検査のため停止中,福島第二原子力発電所(以下,「福島第二」)では1号機~4号機が運転中。14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震を受けて,運転中の原子炉は全て自動停止した。
 福島第一では,全ての外部電源が失われたが,非常用ディーゼル発電機(以下,「非常用D/G」)が起動し,原子炉の安全維持に必要な電源が確保された。
 その後,史上稀に見る大きな津波により,福島第一では,多くの電源盤が被水・浸水するとともに,6号機を除いて非常用D/Gが停止し,全交流電源を喪失,交流電源を用いる全ての冷却機能が失われた。1号機~3号機では直流電源喪失により交流電源を用いない炉心冷却機能も順次停止した。(後略)

3.東北地方太平洋沖地震の概況と地震・津波への備え
 (5) 津波への備え
① 津波高さの評価
当初,小名浜港で観測された既往最大の潮位として,昭和35年のチリ地震津波による潮位(O.P.+3.122m)を設計条件とした。国の審査においても,この潮位により「安全性は十分確保し得るものと認める」として原子炉設置許可を取得している。設置許可申請書に記載されているこの津波高さについては,現状でも変更されていない。
 当社は津波評価技術に基づく津波評価を行うとともに,必要な対策を実施し,平成14年3月に国へ報告し確認を受けた。
 その後も,確立された最新の知見に基づき津波の高さを評価してきた。
② 地震本部の見解,貞観津波に対する当社の取り扱い決定経緯
 当社は,津波高さについては,土木学会の「津波評価技術」に基づき評価することで一貫しているが,津波に関する知見・学説等が出された場合は,試算も含め,自主的に検討・調査等を実施。その一環として,津波評価に必要な波源モデル等の知見が定まっていない中,以下の2つの仮定に基づく試算や津波堆積物調査を実施。
 平成14年に国の調査研究機関である地震調査研究推進本部(以下,地震本部)が「三陸沖から房総沖の海溝沿いのどこでもM8.2前後の地震が発生する可能性がある」との見解(以下,「地震本部の見解」)を公表。
  • 当社は,平成20年に,耐震バックチェックにおいて,地震本部の見解をどのように扱うか社内で検討するための参考として,試し計算を実施(福島県沖の海溝沿いの津波評価をするために必要な波源モデルが定まっておらず,三陸沖など他の地域に設定されていた波源モデルを仮に借用して計算したに過ぎない)。
    この概要について,当時の武藤原子力・立地本部副本部長,吉田原子力設備管理部長は以下のように判断・決定(平成20年7月)。後日武黒原子力・立地本部長に報告。
  • 津波評価技術による評価は保守性を有し,発電所の安全性は担保。
  • 地震本部の見解には具体的な波源モデルもなく,即座に津波高への影響が定まるものではない。
  • 原子力発電所の津波評価は,津波評価技術に従って実施していることなどから,大きな地震は起きないとされてきた福島県沖の日本海溝沿いを含む太平洋側津波地震の扱いを土木学会に検討依頼し,明確にルール化した上で対応。それまでは現行ルールである津波評価技術に従って評価。
<貞観津波の波源モデルによる試し計算と津波堆積物調査>
  • 平成20年10月,産業技術総合研究所(当時)佐竹氏から貞観津波に関する投稿準備中の論文の提供を受け,未確定ながら示されていた波源モデル案を用いた試し計算を実施。
  • その後,吉田部長は,貞観津波の正確な情報を得ることを主たる目的に,福島県沿岸の津波堆積物調査を決定するとともに,地震本部の見解と同様に貞観津波も土木学会へ審議を依頼することとし,後日武藤副本部長,武黒本部長に報告。
  • 平成21年6月に土木学会へ審議を依頼。
  • 津波堆積物調査の結果,福島県南部では津波堆積物を確認できず。調査結果と試し計算に使用した波源モデル案で整合しない点があることが判明したことから,貞観津波の波源確定のためには,さらなる調査・研究が必要と考えた。
    なお,今回の地震は,地震本部の見解に基づく地震でも,貞観地震でもなく,より広範囲を震源域とする巨大な地震であったことが判明している。

16.事故原因と対策 
 <事故原因>
  • 今回の福島第一1号機~3号機が炉心損傷事故に至った直接的な原因は,1号機では津波襲来によって早い段階で全ての冷却手段を失ったことであり,2,3号機では津波による瓦礫の散乱や1号機の水素爆発により作業環境が悪化したため,高圧炉心注水から安定的に冷却を継続する低圧炉心注水に移行できず,最終的に全ての冷却手段を失ってしまったことである。
  • すなわち,これまでの原子力発電所における事故への備えは,今般の津波による設備の機能喪失に対応できないものであった。津波の想定高さについては,その時々の最新知見を踏まえて対策を施す努力をしてきた。この津波の高さ想定では,自然現象である津波の不確かさを考慮していたものの,想定した津波高さを上回る津波の発生までは発想することができず,事故の発生そのものを防ぐことができなかった。このように津波想定については結果的に甘さがあったと言わざるを得ず,津波に対する備えが不十分であったことが今回の事故の根本的な原因である。
<対策の考え方>
 今回の津波のような事例に対するためには,基本的な考え方として想定を超える事象が発生することを考慮した上で,以下の考えに沿って対策を講じる。
① 津波に対して遡上を未然に防止する対策を講じる。
② さらに,津波の遡上があったとしても,建屋内に侵入することを防止する。
③ 万一,建屋内に津波が侵入したとしても,機器の故障と違って,津波の影響範囲は甚大で多くの機器に影響を与える可能性があることから,その影響範囲を限定するために,建屋内の水密化や機器の設置位置の見直し等を実施する。
④ 上記①~③の徹底した対策の実施により津波によるプラントへの影響は,最小限にとどめることが出来ると考えられるが,それさえも期待せず,津波により発電所のほとんど全ての設備機能を失った場合を前提としても,原子炉への注水や冷却のための備えを発電所の本設設備とは別置きで配備することで事故の収束を図る。
 以上の考え方に従い,設計想定として,蓋然性のある脅威に対して徹底した設備設計で対抗することを基本とするとともに,今般の事故のようにほぼ全ての設備の機能が喪失する場合についても対抗策を備えておく。
 すなわち,『今回の事故原因となった津波事象を含む外的事象に対して,事象の規模を想定し,徹底した対応をすることで事故の発生を未然に防止することを基本とするが,さらに発電所の設備がほぼ全て機能を喪失するという事態までを前提とした事故収束の対応力を検討すること』が安全思想面からの対策として必要不可欠と考える。

(所感)
 『本報告書の目的は、福島第一原子力発電所(以下,「福島第一」)の事故について、これまでに明らかとなった事実や解析結果等に基づき原因を究明し,原子力発電所の安全性向上に寄与するため,必要な対策を提案すること。』とされています。

 東京電力㈱は福島第一原子力発電所を運転していた事業者です。福島第一原子力発電所(以下,「福島第一」)の事故について原因を究明した場合、これだけの大きな事故を起こしたのですから、痛烈な反省が述べられていて然るべきだと思って報告書を読みましたが、淡々とした記述ばかりで、全くそのような記述はありません。
 「地震発生後、福島第一では,全ての外部電源が失われたが,非常用ディーゼル発電機いて(以下,「非常用D/G」)が起動し,原子炉の安全維持に必要な電源が確保された。
 その後,史上稀に見る大きな津波により,福島第一ででは、(中略)全交流電源を喪失,交流電源を用いる全ての冷却機能が失われた。1号機~3号機では直流電源喪失により交流電源を用いない炉心冷却機能も順次停止した。(後略)」と記述されています。ここも本当にそうだったのか議論がある点だと思います。
 津波への備えについては、国の審査・確認を得て行っていたこと。国の調査研究機関である地震調査研究推進本部(以下,地震本部)の意見を参考にしていた。貞観津波に対する対策等も終始土木学会の「津波評価技術」に基づき評価することで一貫していたと述べられています。更に『今回の地震は,地震本部の見解に基づく地震でも,貞観地震でもなく,より広範囲を震源域とする巨大な地震であったことが判明している。』と記述しています。

 2011年12月26日に公表された畑村洋太郎氏・柳田邦男氏等の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の中間報告書には、
『何かを計画、立案、実行するとき、想定なしにこれらを行うことはできない。したがって、想定すること自体は必ずやらなければならない。しかし、それと同時に、想定以外のことがあり得ることを認識すべきである。たとえどんなに発生の確率が低い事象であっても、「あり得ることは起こる。」と考えるべきである。発生確率が低いからといって、無視していいわけではない。起こり得ることを考えず、現実にそれが起こったときに、確率が低かったから仕方がないと考えるのは適切な対応ではない。確率が低い場合でも、もし起きたら取り返しのつかない事態が起きる場合には、そのような事態にならない対応を考えるべきである。今回の事故は、我々に対して、「想定外」の事柄にどのように対応すべきかについて重要な教訓を示している。』
と記述されています。
 これだけの事態が発生した後なのに、畑村洋太郎氏・柳田邦男氏等の報告書の指摘の最も重要な部分についての東京電力の反省は全く見られません。
 16.事故原因と対策  <事故原因> において、『想定した津波高さを上回る津波の発生までは発想することができず,事故の発生そのものを防ぐことができなかった。このように津波想定については結果的に甘さがあったと言わざるを得ず,津波に対する備えが不え十分であったことが今回の事故の根本的な原因である。』とまるで人ごとのように記述されています。『津波想定については結果的に甘さがあった』ことの東京電力としての反省が全くありません。<対策の考え方>においても、起こった結果の対策であって、東京電力㈱が今回の津波発生前に立てていた津波対策に関する問題点の反省は全くなされていません。 事故を起こした当事者の報告書では無く、まるで第三者からみた報告書のようです。
 今回のような厳しい状況を想定しておくことは、原子力発男電事業を行う東京電力も含む関係者の責務であったはずです。もし損害賠償責任のことを考えているのならば、こう言うことで自社の責任が軽くなるとでも思っているのでしょうか。
 本報告書は、これ以外にも事故の詳細・災害時の対応態勢・事故想定に対する甘さ・情報伝達・情報共有・情報公開等々にも大きなページを割いています。然し、『あくまで国・或いは学会の方針に従ってやってきたことで、「想定外」のことが起こったのだから仕方がない。』と言うスタンスは変わっていません。これでは如何に分厚い報告書でも、その内容が今後の教訓になる筈がありません。
 たまたま、29日の朝日新聞19面、原子力委員会近藤駿介委員長のインタビュー記事で「事実は何よりも雄弁です。専門家として、とことん突き詰められなかったことを深く反省しています。(中略)日本の過酷事故対策はお詰めが甘かった。悪い時にはさらに悪いことが起こると考えるのが、事故対応を考える人間の基本。それが現場でどこまで貫徹されていたのか。」と近藤委員長は言っておられます。
 本報告書を読むと、東京電力は実際に原子力発電事業を行っている者としての責任感が不足していたのではないかと私は思います。もし徹底した安全策をとることが私企業としての限界を越えると言うのであれば、原子力発電事業の「国策民営」を返上すべきであったのかも知れません。
 本報告書は東京電力旧体制下の最後の主張だと思います。トップは交替しましたが、このままでは東京電力の前途は真っ暗だと思います。

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㈱資生堂の「企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス」について

2012年6月20日水曜日 | ラベル: |

5月29日(火)に経済産業研究所のBBLセミナー*1で㈱資生堂の前田新造会長の「企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス」のお話をお聞きしました。㈱資生堂がトップの強力なリーダーシップの下、企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス体制の確立に努力しておられる状況が良く理解出来ました。コーポレートガバナンスは、企業のリスクマネジメント体制にも大きな影響を及ぼします。以下にその内容をご紹介申し上げます。

 今回の景色は、私が小・中・高校時代に住んでいた九州の佐賀市です。佐賀平野にあり、目立たない小さな街ですが、緑が多く綺麗な川やクリークが市内至るところに流れています。

○市内を流れる多布施川です。

○神野公園 ・藩主鍋島家のお茶屋の跡です。


○㈱資生堂の「企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス」について
Ⅰ.社名の由来
  『至哉坤元 万物資生』   易経 坤卦の巻
  「至れる哉(かな)坤元(こんげん) 万物資(と)りて生(しょう)ず。」
  (大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものはここから生まれる。)

Ⅱ.資生堂の企業理念
  「私たちは、多くの人々との出会いを通じて,新しく深みのある価値を発見し、美しい
   生活文化を創造します。」
  「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレーヤー」

Ⅲ.コーポレートガバナンスの基本的考えかた
  「目指すミッションを高いレベルで果たし、それぞれのステークホルダー(お客さま・
  株主・社会・社員・取引先)から価値を認めていただくこと。」
    ↓
  「企業価値の向上」
  「企業は社会の公器である。」
  「ガバナンス強化は企業価値向上の前提条件。仕組み・ルールだけに頼らず
  企業理念・使命で統治する企業へ。」

Ⅳ.コーポレートガバナンスの基本方針
  責任体制の明確化
  経営の透明性・健全性の強化
  意思決定機能の強化
  監督・監査機能の強化

① 取締役会
 取締役が独立性や倫理性に欠けることなく、十分な権限をもって取締役会に「多様な視点」「多様な経験」「多様なスキル」を持ち込み、十分にその機能を果たしていく。
 定款で取締役の定数は2001年度までは「7名以上」とされていたが、2002年度以降「12名以内」とした。現在8名である。
 その構成は、会長・社外取締役3名・執行役員兼務取締役4名(社長・専務1名・常務1名・取締役1名)。因みに専任執行役員は常務2名・執行役員12名。
 監査役は5名、社外監査役3名・社内監査役2名。
 役員の任期は取締役1年・監査役3年、社内ルールで同一役位での在任上限期間を設定している。原則4年最長2年延期可能。その後は昇格か退任。
 取締役会の諮問委員会として、役員報酬諮問委員会・役員指名諮問委員会がある。
社外役員の起用に当たっては「経営に外部視点を取り入れ、業務執行に対する一層の監督機能強化を図ることを目的に起用している。
 招聘段階から恣意性を排除し、社外役員の独立性、倫理性を徹底して確保できる環境を整え、それを維持する。

② 役員報酬制度
 ○2005年 - 2007年
50
固定報酬
〈 月額基本報酬 〉
50
業績連動報酬
〈 賞与・ストックオプション 〉
 

 ○2008年 以降 
 
(平均)
 
40
固定報酬
〈 月額基本報酬 〉
60
業績連動報酬
〈 賞与・ストックオプション 〉
 
社 長
31
固定報酬
69
業績連動報酬
副社長・専務・常務(平均)
44
固定報酬
56
業績連動報酬
執行役員
48
固定報酬
52
業績連動報酬

Ⅴ.前田会長の3つの夢
① 100%お客様指向の会社に生まれ変わること。
② 大切な経営資源であるブランドを磨きなおすこと。
③ 魅力ある人で組織を埋め尽くすこと。

(所感)
 5月10日の『藤井範彰著 「内部監査の課題解決法」を読んで』で、私は「新会社法・金融商品取引法と内部統制・リスク・リスクマネジメントの関係を理論的に整理することは極めて重要だと思っています。」と書きました。さらに、根底には、コーポレートガバナンスの在り方があります。
 5月29日のBBLセミナーで、現職の社外取締役の方から、前田会長に対し、「社外取締役は、企業の内容を十分に把握出来ないのではないかと懸念ずる。」との質問がありました。前田会長のお答えは、『執行役員が会社の業務を遂行しているのに対して、社外取締役の方々からは、「多様な視点」「多様な経験」「多様なスキル」を持ち込み、十分にその機能を果たして頂いている。』と言うことでした。私はお話を聞いていて、経営がしっかりしていれば、優秀な社外取締役は「経営あるいは経営者の後継者に関して十分な意見をお持ちになれるのだ。」と痛感しました。総ての会社がこうなっているとは思えませんが。
 「和魂洋才」と言いますが、㈱資生堂が欧米と異なる日本の会社組織に、かくも見事にコーポレートガバナンスを根付かせているのは、優れた経営者の徹底したご努力の結果だと感銘致しました。特に、「役員の任期は取締役1年・監査役3年、社内ルールで同一役位での在任上限期間を設定している。原則4年最長2年延期可能。その後は昇格か退任。」を厳格に実行されているのは、トップの確固たる信念がなければ行えないことだと思いました。コーポレートガバナンス体制は各社で異なると思いますが、一つの模範例かと思います。
 なお最後に前田会長が言われた、『人は「コスト」ではなく、「キャピタル」である。人材育成を重視し、社員の成長と会社の成長が重なるような会社にしたい。』と言うお言葉には全く同感致しました。

*1 BBLセミナー (RIETI 独立行政法人 産業経済研究所HPより)
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/index.html

米国の大学や研究機関では、先生、学生たちの間でBrown Bag Lunch Meetingというものが頻繁に行われています。(自分の昼食を茶色の紙袋に入れて集まるところから、この名前がついたそうです。)
BBL(Brown Bag Lunch Seminar Series)とは、ワシントンのマサチューセッツアべニューにあるシンクタンクで日夜繰り広げられているような政策論争の場を日本にも移植し、policy marketを作りたいという思いで、当研究所が企画しているブレインストーミングセッションです。
国内外の識者を招き、様々な政策について、政策実務者、アカデミア、産業界、ジャーナリスト、外交官らとのディスカッションを行っています。会場スペースの制約もあり、現状では非公開としておりますが、これまでに行われたセミナーの概要や配付資料、今後の開催予定等は、こちらでご覧頂けます。

●㈱資生堂前田新造会長の「企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス」
BBLセミナー資料 (引用許可済)
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/12052901.pdf

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内田知男著「リスクマネジメントの実務」を読んで

2012年6月10日日曜日 | ラベル: |

内田知男さんの「リスクマンジメントの実務」をご紹介致します。内田さんがリスクマネジメントのコンサルティング実務に従事されたご経験と、慶応義塾大学・大分大学・関西学院大学・名古屋商科大学におけるリスクマネジメントの講義の集大成で、リスクマネジメント、BCP(事業継続計画)の実務の解説と、「リスクマネジメントの教科書」としての基礎的事項の解説の双方を含んでいます。リスクマネンジメントに関わる者に取って、この分野についての広い視野を与えて頂けるご本だと思います。
 3月10日に東京ガス吉野太郎さんの「事業会社のためのリスク管理・ERMの実務ガイド」をご紹介致しました。これは吉野さんが長年企業のリスク管理・ERMの実務に従事されたご経験をご本に纏められたものです。
 5月10日の藤井範彰さんの「監査の課題解決法」も藤井さんの長い実務経験に基づく視点で内部監査の現在の問題点を論じたご本です。
 私がお付き合いしているリスクマネジメントの各分野の優れた実務家の方々が、ご経験に基づく解説書を次々に出版されていることは、誠に意義深いことです。

今回から趣向を変えて、私の印象に残った各地の景色をお目に掛けます。
バーミューダの主要産業は観光と損害保険です。損害保険代理店時代に研修旅行で2泊3日滞在しました。
バーミューダの夕焼け。


志摩半島大王崎の夕日。


○内田知男氏について
 内田さんは、1973年一橋大学商学部卒業後住友銀行にご入行、経済調査部・企画部金融調査室長・企画部部長を経て、銀泉保険コンサルティング㈱(現銀泉リスクソリューションズ)社長・理事長として、リスクコンサルティングの実務に従事されました。
昨年6月エリーパワー㈱監査役に就任されました。エリーパワー㈱は大型リチウム・イオン電池製造のベンチャー企業です。http://eliiypower.co.jp/

○リスクマネジメントの実務【ISO31000への実践的対応】 














同書「はじめに」で、
「この十数年間に、米国COSOの内部統制フレームワークに始まり、英国ターンブルガイダンス、米国COSOのエンタープライズリスクマネジメントフレームワークあるいはわが国の会社法並びに金融商品取引法の下での内部統制への要請など、様々な形でのリリスクマネジメントに対する考え方や組織的対応への要請事項が示されてきた。(中略)これまで様々な形で取組が進められてきたリスクマネジメントについてISO31000をガイドラインとして用いて、いかに現在のリスクマネジメントシステムを効率的に改善し運営していくかが多くの組織にとっての課題となろう。」
と述べておられます。
 第1編リスクマネジメントでは、①リスクマネジメントトは、②リスクとは、③リスクマネジメントのア枠組み、④リスクマネジメントプロセス、⑤リスクマネジメントを支える枠組み、⑥リスク定量化とリ企業価値経営、⑦リスクファイナンシングの順で
リスクマネジメントに関する広汎な解説がなされています。 
 第2編では①事業継続管理(BCM)とは、②BCM体制の実践的対応の順で、内田さんが企業のBCMのコンサルタントに当たられた実務経験に基づく叙述がなされています。
 リスクマネジメント、BCMについての広い視野を得るには絶好の入門書だと思います。


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東京電力の現状と将来の見通し⑩ ~ 平成24年3月期決算 ~

2012年6月1日金曜日 | ラベル: |

東京電力平成24年3月期決算が公表されました。決算短信「来期見通し」添付資料に、除染費用については、「法律に基づく具体的な実施内容を把握出来る状況になく、賠償額を見積もることが出来ないから計上しない」と記載されています。こんな前提での業績予想の開示で良いのでしょうか。 以下は東京電力平成24年3月期決算についての感想です。

素敵な京都の6月その1.2です。

善峰寺  経堂下 さつき HP 「京都の四季」より

同上 HP 「京都の四季」より
 京都では東山、西山と言います。東山三十六峰が有名ですが、私は西山が好きです。西山に善峰寺があります。素敵なお寺です。

 ○業 績 (連結)
  平成 22 年度実績 平成 23年度実績  
 前期比増減
(22.4.1 - 23.3.31) (23.4.1 - 24.3.31)
売上高 53,685 53,494 △ 191
営業利益又は損失
 (同上率)
3,996
( 7.4 %)
△ 2,725
(△ 5.1 %)
△ 6,721
(△ 12.5 %)
経常利益又は損失
(同上率)
3,177
( 5.3 %)
△ 4,004
(△ 8.1 %)
△ 7,181
(△ 13.4 %)
引当金増減 61 24   △ 37
特別利益
特別損失
   ―
△ 10,777
25,169
△ 28,679
25,169
△ 17,902
税金等調整前当期損失 △ 7,661 △ 7,538 123
法人税等 4,784 228 △ 4,556
当期純利益又は損失
 (同上率)
△ 12,473
(△ 23.2 %)
△ 7,816
(△ 14.6 %)
4,657
( 8.6% )
 月  商 4,474 4,458 △  16

 平成23年度売上高は前期比1910億円減の53,494億円、人件費・経費の圧縮に努めたものの、撚料費の大幅増により営業利益は△2,725億円、経常利益は△4,004億円となっています。

○特別損益内訳                   (単位 億円)
 項  目 平成 23 年度実績
(22.4.1 - 23.3.31)
平成 23 年度実績
(23.4.1 - 24.3.31)
 
増  減
特別利益 ①
(原子力損害賠償支援機
構交付金)
(有価証券売却益)
(固定資産売却益) 
( 関係会社株式売却益 )
   -
   -
   -
   -
  -
25,169
( 24,263 )
( 288 )
(416)
( 202 )
25,169
 
( 24,263 )
( 283 )
( 416 )
( 202 )
特別損失 ②
( 災害特別損失 )
(資産除去債務会計基準
適用に伴う適用額)
(原子力損害賠償費)
(有価証券売却損)
(関係会社株式売却損)
10,777
(10,205)
 
  ( 572 )
   -
   -
   -
28,679
(2,978)
 
 -
( 25,249 )
  ( 404 )
   ( 47 )
17,902
•  7,277
 
•  572
25,249
404
47
① - ②  △ 10,777
 
•  3,519 7,258

 特別損失中、原子力損害賠償費は原子力損害賠償支援機構交付金で賄っていて、東日本大震災による損失2,978億円が赤字を拡大させています。
 いつも思うことですが、キャッシュフロー計算書では、原子力損害賠償の支払い額は5,663億円となっており、未収原子力損害賠償支援機構交付金が17,627億円も計上されています。折角原子力損害賠償支援機構からの支援が決まっているのですから、残りについても早期に支払われることを希望します。

○ キヤッシュフロー  (連結)                     (単位 億円)
科  目  
平成 22年度実績
 
平成 23年度実績
前年同期比
増  減
現金及び現金同等物の期首残高 1,531 22,062 20,531
       
営業活動によるキャッシュ・フロー 9,887 △ 29 △ 9,916
投資活動によるキヤッシュフロー △ 7,920  △ 3,351 4,569
事業のキヤシュフロー 1,967 •  3,380 △ 5,347
財務活動によるキヤッシュフロー 18,596 △  6,147 △ 24,743
当期総合キヤッシュフロー 20,563 •  9,527 △ 30,090
       
現金及び現金同等物の期末残高 22,062 12,539 △ 9,523
月 商 比 4.9  ヶ月 2.8  ヶ月 △  2.1 ケ月

 営業活動によるキャッシュ・フローは,前期比9,916億円の大幅悪化です。投資は大幅に削減されていますが、社債償還を主因として財務活動によるキヤッシュフローは△6,147億円です。

○社債・借入金残高推移                  (単位 億円)
   
22.3.31
 
23.3.31
24.3.31
 残 高 23.3.31 対比
  社   債 47,396 44,266 36,775 △ 7,491
長期借入金 16,144 34,238 32,761 △ 1,477
1 年以内に返済の長期借入金 7,476 7,748 9,325 1,578
短期借入金 3,636 4,062 4,418 356
合   計 74,652 90,314 83,279 △ 7,035

 上記の残高推移で明かなように、社債減7,491億円が大きくキャッシュフローを悪化させています。長期借入金と1年以内に返済の長期借入金の合計額は101億円増加しています。これは平成23年3月31日期末の1年以内に返済の長期借入金7,748億円を返済後7,849億円を改めて借り入れていることを意味します。短期借入金も356億円増加しています。金融機関は引続き貸出を継続して残高を維持しています。
 問題は社債の償還です。資金調達にあたり社債に対する依存度が大きいと事故災害発生時に、社債の償還がキャッシュフロー悪化の大きな要因となります。その結果大事な現預金は9,523億円の大幅減となっています。

  ○来期業績見込み                   (単位 億円)
  平成 23年度実績 平成 24 年度見込  
 前期比増減
(23.4.1 - 24.3.31) (24.4.1 - 2 5 .3.31)
売上高 53,494 60,250 6,756
営業利益又は損失
 (同上率)
△ 2,725
(△ 5.1 %)
△ 2,350
(△ 3.9 %)
375
( 1.2 %)
経常利益又は損失
(同上率)
△ 4,004
(△ 8.1 %)
△ 3,550
(△ 5.9 %)
454
( 2.2 %)
当期純利益又は損失
 (同上率)
△ 7,816
(△ 14.6 %)
△ 1,000
(△ 1.7 %)
6,816
( 12.9% )
 月  商 4,458 5,021 563

前回の繰り返しになりますが、

① 家庭用電気料金の値上げを前提としているが、どの程度認められるかは現状不明。
② 廃炉費用については、「現段階では、各(廃炉)工程の具体的な費用の積上げによる総額の見積りは困難である。」とされている。
③ 除染費用については添付資料に、「法律に基づく具体的な実施内容を把握出来る状況になく、賠償額を見積もることが出来ないから計上しない」と記載されていて、平成23年3月期の実績の記載も無い。
等の問題点があり、来期業績の見通しを検討することは困難です。
 廃炉費用・除染費用・原子力損害賠償の事務経費等を何処まで国が負担するのか、発送電を分離するのかなど、根本的な議論を行った上で対処しなければ東京電力の再生は困難だと思います。依然前途は暗澹たるものがあります。

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